JA静岡経済連の情報誌『スマイル』49号が完成しました。今回は静岡茶の特集です。
お茶の特集はスマイルでも2年おきぐらいの定番特集で、毎回、手を変え品を変え、さまざまな切り口で取材しています。今回も実に多様な生産者、製茶業者と出会い、それぞれにこだわりを持ってリーフ茶低迷打開に努力されていることを知りました。試飲したお茶も、同じ茶葉なのにこうも違うのかと驚かされます。酒と同様、何年経っても知れば知るほど奥が深くなる、底知れない魅力を再認識しました。
『スマイル』は県内の主だったJA支店やファーマーズマーケット、首都圏での頒布会等、配布先が限られているので、ご覧になれない方も多いと思います。
とりあえずここでは、今回の静岡茶特集で取り上げたお茶をピックアップしますので、機会があったらぜひお味見くださいませ!
佐々木製茶(掛川市上内田)は大正10年創業の老舗製茶販売店。掛川深蒸し茶ブームにのって店頭に並ぶ商品も多種多様です。
今回取り上げたのは、2009年と2012年に世界味覚コンクール(iTQi)リーフ茶部門で、日本茶としては唯一、三ツ星を獲得した『かごよせ』というオリジナル商品。値段を聞いたらエッと驚いたんですが、高級茶ではなく、ふだん飲み茶価格なんですね。
これが、世界の料理人やソムリエなど味覚のトッププロが、純粋に、味覚だけで審査をする国際コンクールで三ツ星を獲ったというのは、日本酒でも特別純米や純米吟醸など中級クラスの味がしっかりした酒が国際コンペで評価される流れと同じなのかなあと実感しました。
佐々木製茶のもう一つのウリは、深蒸し茶をスポンジに練りこみ、茶農家が冬場に育てたいちご・紅ほっぺのフリーズドライを生クリームにプラスしたロールケーキ『掛川ロール』。静岡のお茶屋さんのスイーツとしては、これ以上ないという組み合わせですね。
同じく掛川の製茶販売店『茶果きみくら』は、丸山製茶がプロデュースする掛川茶のランドマークショップ。創業者の旧宅敷地にオープンしたモダン和風の小売&カフェ&ギャラリーです。
嬉しかったのは、以前、取材した掛川城南茶業組合のお茶が買えること。昨年夏に取材し(こちらを)、その直後に全国茶品評会で農林水産大臣賞を受賞されたことで、掛川城南茶業組合の良茶づくりにかける思いが一層胸に残っていただけに、ここでいつでも買えると分かって本当によかったです。
この店、静岡酒ファンにとっては、掛川駅から『開運』の土井酒造場に向かう県道38号線沿いにあるので、看板を見かけた~!という人も多いと思います。県外の酒徒をご案内した折には、ぜひお帰りに一服なさってくださいな!
今回は掛川茶の販売店を3軒取り上げました。3軒目は掛川市生涯学習センター裏にある『お茶の実の雪うさぎ工房』。ららぽーと磐田にもテナントショップがあります。
五十右園という製茶問屋がプロデュースするスイーツショップで、お茶屋さんが経営する店では珍しく、商品はすべて自家製。10人の専従パティシエを要して、焼き菓子類は別工房で、生ケーキ類は店内厨房で作り立てを提供しています。今回は店長でチーフパティシエの岡崎久留美さんに、看板商品の抹茶のベイクドチーズケーキのレシピを紹介してもらいました。
取材時には五十右社長に抹茶ベイクドチーズをはじめ、いろいろな商品を味見させてもらい、「お茶屋さんが片手間で売ってるスイーツのレベルをはるかに超えている…!」と実感。とくに焼き菓子の美味しさにはビックリ。
それらが手ごろな商店街価格で、ばら売りやセット売りなどさまざまなパッケージでアレンジできます。店にはつごう3回通いましたが、さほど便のいい場所にあるとは思えないのに、毎回、お客さんがひっきりなしにやってきて、学校行事の記念品に大量注文する人もいました。
「食材に妥協しない」「ホンモノの職人の手作り」の姿勢を、こういう場所でも貫きとおせるのは、長年のお茶作りで培ったものなんだろうし、ショップの運営はパティシエや女性販売スタッフに一任し、パッケージデザインや売り方なども彼女たちの自由な発想に任せることで、お客さんのハートをしっかり掴んでいるようです。
取材の後、私用で買い物に行ったときも、黒服の女性販売スタッフが、若いのにマナーがとてもよくて、久しぶりに気持ちのいい買い物が出来たって感じがしました。
長くなりましたので、続き(生産者編)はその2で。