杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

利休百首の教え

2012-03-09 09:53:11 | 駿河茶禅の会

 7日(水)は『茶道に学ぶ経営哲学研究会』の例会でした。

 お点前の所作は、場数をこなさないとなかなか身に着かないんですが、茶室に欠かせない掛け軸の禅語や、利休百首の数々は、言葉を操る仕事をする上で大変勉強になります。

 習い事をするとき、カタチから覚えるか、リクツから入るか・・・どっちが性に合うかといえば、自分は後者かもしれません。変にリクツっぽくならない若いうちから、カタチを徹底的に叩き込んで置くのが理想なのかもしれませんが。

 

 

 

 利休百首の中にこんな句を見つけました。

『稽古とは 一より習ひ 十を知り 十よりかへる もとのその一』

 

 

 とりあえず1から10まで順を追って覚える。10まで覚えてこれでよいと思ったら、それ以上の進歩はない。もう一度、1に戻って覚えなおすと、1の教えの意味やリクツがすんなり解る。こうしたことを繰り返すうちに、茶の湯の真意が理解できる・・・そういう意味のようです。心得ておかねばならない一句です。

 

 

 『稽古』を、『勉強』や『仕事』に置き換えてみてもいいですね。酒造りの取材でも、基本に立ち戻って手順の一つ一つに、真摯に向き合うベテラン職人さんをたくさん見てきました。その境地まで至らないうちに、手を抜く知恵を付けてしまった若い職人さんもいました。それでも、市場で評価される酒が出来れば、結果オーライなのかもしれないけれど、自分は、“十を知り、十よりかへる”精神に感動できる取材者でありたいなと思います。


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2 コメント

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利休百首の好きな句に、 (鈴木真弓)
2012-03-10 08:38:16
『規矩作法 守りつくして破るとも 離るるとても 本を忘るな』 
があります。
規則や作法をわきまえた上で、状況によってある程度アレンジするのはいい。
でも本質から離れてはいけないという意味だと思います。
マンガも映画も小説も、そういう目で楽しめたら、と思います。
あまりにも本質からズレてしまった作品は、おのずと淘汰されるんじゃないでしょうか。
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裏千家の大きな集会の時、富士市が担当の年があり (猫爺)
2012-03-09 21:04:50
千利休を研究しました。おかしいけど織部という人を
主人公にしたマンガと出会い実像(誇張しているかも)
の千利休に静かなおっとりとした茶人のイメージが
がらがらと崩れて驚いたのを思い出しました。
BSでアニメーション化していました。
明日は、時間があれば富士錦へ見学に行きます。
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