昨年から応援している川根本町・かみなか農場の【奥大井蕎麦街道プロジェクト】。7月8日に(一社)静岡県ニュービジネス協議会、県中部農林、川根本町役場、支援金融機関等の皆さんと一緒に蕎麦蒔き体験をしました。
蕎麦畑は静岡市との境に位置する川根本町梅地・通称「下別当(げべっと)」という高地にあります。8日は川根温泉に集合し、17人の参加者が車を連ねて千頭~接岨峡~井川湖を経て、険しい山道を約2時間かけ、標高1100メートルにある圃場に到着しました。
上中さん曰く、「この圃場は、川根本町内にありながら静岡市井川を経由し山を登っていかなければならない。自分が住んでいる徳山からも1時間15分程かかる。かつては、イチゴの"山あげ"や"高原野菜"の圃場として利用されていた場所だが、今は実際に耕作している方は数人で、広大な土地は雑木が茂り、シカやイノシシの溜まり場と化している」状態。シカは数頭~数十頭という単位で駆け回っているそうです。
ちょうど晴れ間が広がったお昼時、青空と高原のコントラストが美しい圃場の一角で、上中さんが体験者のために土起こしをしてスタンバイ。私たち参加者は2人1組になって、一人が鍬を入れ、もう一人が蕎麦の種をパラパラと蒔きました。
前日の雨の影響で、事前に土起こしできた面積が限られていたため、30分ほどで体験終了。参加者はこの地までわざわざ来てくれた静岡新聞さんの取材に応じながら、ニュービジネス協議会会員が仲介した別の圃場まで歩いて見学。高原野菜が植えられた畑を眺めながら、この地の農業ビジネスの可能性について語り合いました。
上中さんは3年前にこの地を視察し、「桃源郷に来た思いだった」と語ります。確かに通うには不便な場所ですが、高品質な夏野菜や蕎麦の供給産地になるかもしれない、と直感。住所は川根本町梅地でも地主の多くは静岡市の住民で、土地利用や補助金制度を利用するのにさまざまな障壁があり、一筋縄ではいかなかったそうですが、県や町と粘り強く交渉し、地主と利用権設定が無事完了。 圃場を整備し、今年は約4.5haの秋蕎麦栽培を始める予定だそうです。
大井川源流部は、本州で唯一、原生自然環境調査保全地域に指定されています。山地帯から高山帯に至る典型的な垂直分布が見られる寸又川流域1,115ヘクタールの原生林は、厳重な保護下にあります。蕎麦圃場見学の後、川根本町役場のはからいで、特別に川根本町梅地にある貴重なアカマツ樹林を見学させてもらいました。
学術参考保護林に指定されているという梅地のアカマツは、胸高直径70cm、樹高30m超。スカッとまっすぐ高くそびえ立ち、周囲の若い植林スギを上から見下ろすような威風堂々とした姿です。
樹肌は赤味がかった龍のウロコのような原始的な模様で、本当にマツの木?と不思議な感動を覚えました。
午後3時近くになって接岨峡温泉会館に到着し、持参した弁当でようやく食事。ひと息ついたところで改めて上中さんから蕎麦産地化プロジェクトについてうかがいました。
このプロジェクトは、以前ブログ(こちら)で紹介したマイクロファンド『ミュージック・セキュリティーズ』のファンドに採用され、現在、小口投資家を募集中です。こちらをご覧になるとプロジェクトの要項と、上中さんのこれまでの活動や人となりが解りますので、ぜひご覧になり、応援してあげてください!
接岨峡温泉は“若返りの湯”と称されるだけあって、肌がしっとり、筋肉のコリや痛みもスーッと癒される、極上の泉質でした。
温泉会館は銭湯に集会所が併設されたような素朴な造りで、それはそれで味がありますが、静岡県はもとより日本でも指折りではないかと思われる温泉をアピールするのに、もう少し整備できないものかと素直に感じました。
川根温泉は島田市のキモ入りでホテルまで新設して大々的に売り出し中ですが、接岨峡温泉は、それこそミュージック・セキュリティーズのようなファンドを活用し、全国の秘湯ファンから支援金を集めてみたらどうかと思います。
川根本町千頭駅には、今週末から運行が始まる機関車トーマスのHIROが駐停車していました。トーマス効果でこの夏は親子連れで大いに賑わうことでしょう。
農業、自然保護、温泉観光・・・どれも素晴らしい地域資源です。川根本町が上中さんのような、汗を流す実践者が必ず報われる地域であってほしいと心から願います。