杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

エピファニーのセルリー料理

2008-12-06 10:50:30 | 農業

Imgp0113  昨日(5日)は、三ケ日の入河屋さんの取材の後、浜松市のフレンチレストラン『エピファニー』でセルリー料理の取材。店名はよく耳にしますが、実際に訪ねるのは初めてです。

 

 浜松って、フレンチの名店が多いんですね。しかも三鞍山荘の今井克宏さん、シェ・モリヤの守屋金男さん、ホテルコンコルド浜松総料理長佐渡文男さんのようなスターシェフが多い。もちろんエピファニーの南竹英美さんもその一人。

 聞いたら、みなさん、その昔、県西部地区では初の本格的西洋料理店だった『浜松会館オーク』の出身で、オークの看板シェフだったのが今井さん。そのお弟子さんたちが、今、独立して浜松の洋食文化を支えているのです。

 

 県西部地区のJAが、西洋野菜の産地化に力を入れるようになったのも、その使い方をきちんと知っている料理人が浜松にたくさんいたから、とも言えるわけです。日本酒居酒屋が専門の私は、フレンチの世界にとんと縁がなかっただけに、ヘェ~と感心しっぱなしでした。

 

 

Imgp0102  エピファニーも開店25年の老舗。浜松フレンチの伝統を継ぐ名シェフが、旬のセルリーを使ってどんなマジックを見せてくれるのか、楽しみにうかがったのですが、南竹さんが披露してくれたのは、いたってシンプル。

 冷凍ピザ生地に薄くスライスしたセルリー&サラミ&モツァレラチーズを乗せただけのピザと、ザク切りセルリーとベーコンをにんにくバターで軽くソテーして、それにブイヨンスープとホワイトルー(小麦粉をバターで炒っただけ)を加え、コトコト煮込んでミキサーで濾しただけのスープを、パパッと作ってくれました。

 

Imgp0105

 ピザにはソースも調味料もまったく使わず、素材をのっけただけ。スープも、ホワイトルーを作るのがちょっと面倒ですが、それ以外は造作なし。「これを飲むと、セルリー嫌いが一発で治るよ」と南竹さんは太鼓判をおします。

 

 あまり手を加えないのは、「とくに冬場に静岡で作られるコーネルという品種は、夏場の長野で作られる筋っぽい品種とは違い、みずみずしくて食べやすい。草原で寝転んでいるときの爽やかな草の香りがする。これを生かすにはよけいな味付けはしない」とのこと。

 

 

Imgp0111  セルリーは、アメリカ文化の影響か、生のスティックをボリボリ食べるスタイルが先行し、好き嫌いがはっきり分かれてしまったのですが、フレンチの考え方でいけば、「セルリーは、火を通してこそ美味しくなる」と南竹さん。フレンチでは本来、濃厚な風味のセロリラブ(根セロリ=写真)を使うことが多いので、目下、地元の農家にけしかけ、根セロリづくりにも挑戦してもらっているそうです。

 

  

 地元農産物は、本来、南竹さんのような地元料理人や消費者が、どんな作り方・食べ方をするかを考え、ニーズに応える生産のあり方が望ましいと思います。浜松に、フレンチの食文化を育てた店や料理人が存在したことが、浜松の特産野菜の産地構造を変えた一因になっているはず。農家と料理人が共存共栄の気持ちで取り組めば、地産地消の基盤も堅固になるはず、と実感しました。

 

 

Imgp0100

 南竹さんイチオシのセルリースープは、冷凍にしたものを通販で入手できますので、ホームページをぜひご覧くださいまし!