世界敗血症DAY2021のお知らせ
World Sepsis Day 2021
名古屋大学大学院医学系研究科
救急・集中治療医学分野
教授 松田直之
Naoyuki Matsuda MD, PhD
世界敗血症DAY,世界では2013年9月より,毎年9月13日に,世界敗血症DAYが行われるようになりました。
COVID-19によるコロナ禍,「敗血症」という病態を皆さんが知り,共有する機会としています。
本年も,どうぞよろしくお願いします。
本年,私から提案するのは「クリーンハンドBOBO」キャンペーンです。
※ 手袋を大切にしましょう,手袋への「愛」と「優しさ」を,大切としましょう。
Clean Hand BOBOは,「接触感染予防策」を徹底するキャンペーンのために考案した手袋人形です。古くは,「手袋ボボ」は,救急外来のドアストッパーとして,2018年に作成しました。ボボとは,「大切な子供」です。手のひらで個人認証される2021年において,クリーンハンドキャンペーンとして,手袋ボボ「クリーンハンドBOBO」を用いて,手に接着させて「Clean Hand宣言」をして頂いています。きれいな手,Clean Handsは,医療と診療における基本です。本年2021年の世界敗血症デーWSDでは,クリーンハンドキャンペーンを進化させ,本ブログを含めて「Clean Hands BOBOキャンペーン」としています。
※ BOBO is the name. Put your area behind, such as BOBO Takayama and BOBO Japan, etc.
内 容
1.CBCラジオ「きくラジオ」(RADIKO) 特集:世界敗血症DAY 松田直之/渡辺美香さん
2021年9月13日(月)~17日(金)12時45分頃~
2.Japan Sepsis Alliance 世界敗血症DAYセミナー COVID-19
2021年9月4日(土)13:00~16:20(ZOOMウエビナー)
3.敗血症フォーラム in 東海 2021(主催:ファイザー製薬(株))
2021年9月9日(木)18:30~20:30(ウエビナー)
18:30~19:30
世界敗血症DAY:敗血症診療の展望
名古屋⼤学⼤学院医学系研究科
救急・集中治療医学分野 松田 直之
19:30~20:30
「呼吸器感染症と敗血症との密接な連関」
琉球⼤学⼤学院 感染症・呼吸器・消化器内科学(第一内科)
教授 藤田 次郎 先生
4.世界敗血症DAY特別企画(主催:旭化成ファーマ(株))
2021年9月13日(月)18:30~19:00(ウエビナー)・19:30〜20:00(ウエビナー)
5.ラジオNIKKEI 2021年9月13日 世界敗血症DAY 23:30~23:45
感染症TODAY 感染症診療における免疫グロブリン療法 名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野 松田直之
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世界敗血症DAY Sep.13
WSD 新型コロナウイルス関連の討議について
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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症COVID-19において,これから2021年12月までの年内に必要なものは以下です。以下の内容などが,この9月にも討議されます。
2021年9月から備える本年度冬季へのCOVID-19対応について
1.重症化を減じる診療の工夫
本件は当初より,COVID-19の軽症化のために,抗SARS-CoV-2薬の承認や開発が重要と評価されました。RNAポリメラーゼ阻害薬ファビピラビルの承認により,早い段階から自宅療養中のPCR陽性の患者さんに抗ウイルス薬の処方が可能となること,また,S217622(塩野義(株)),AT-527(中外製薬(株)),MK-4482(モルヌピラビル)(MSD(株),米国メルク(株))などの抗ウイルス薬の臨床治験が進むことが期待されます。
2.自宅経過観察・自宅療養に対する投薬(投薬カクテル療法)の容認/承認
軽症に対するファビピラビル+コルヒチン+アセトアミノフェン+(イベルメクチン)+(カモスタット)+(吸入ステロイド),中等症Ⅰ(SpO2 96%〜93%まで)に対するファビピラビル+コルヒチン+アセトアミノフェン+(イベルメクチン)+(カモスタット)+(吸入ステロイド)+(ヘパリン筋注)などのカクテル投薬を患者さんの状態に合わせて医師が行うことが期待されます。呼吸症状が強く出たと評価している中等症Ⅱ(SpO2 93%以下)では,現在,入院治療となります。この中等症Ⅱ(SpO2 93%以下)とならないように,軽症と中等症Ⅰに,投薬カクテルを承認できるとよいです。重症化させない早期診断と早期治療が,敗血症診療では基本となります。COVID-19は,従来の細菌性敗血症と異なり,ウイルス性敗血症の一つとして,新しい診療策,処方カクテルの提案が早期治療として必要です。一方で,日本集中治療医学会は,重症化状態の診療指針のエビデンスを整理し,特に有害事象をなくす尽力が必要です。適時,日本集中治療医学会が「リビングガイドライン(COVID-19薬物療法に関するRapid/Living recommendations)」を国内/国外に向けて公表していく活動を,支援することになります。
参照:日本におけるファビピラビルの臨床研究(アビガンⓇ内服による10日目以降の改善効果)
Shinkai M, et al. Efficacy and Safety of Favipiravir in Moderate COVID-19 Pneumonia Patients without Oxygen Therapy: A Randomized, Phase III Clinical Trial. Infect Dis Ther. 2021 Aug 27:1–21. PMID: 34453234; PMCID: PMC8396144.
3.臨時診療施設の充実
ホテルなどの臨時診療施設に医師と看護師を待機させ,臨時診療所として対応できるシステム(仕組み)を充実させる必要があります。臨時診療施設の稼働が必要です。前向きにマンパワーについても,解決していくことが必要です。
4.重症病床確保
中等症Ⅱ(SpO2 93%以下)および重症(人工呼吸管理が必要と評価される状態)に対する病床確保,特に重症病床を増やすことと専門医を適正配置する工夫が不可欠です。特設されている酸素テントは中等症Ⅱの低酸素血症を改善させますが,COVID-19の治療ではないため,COVID-19を重症化させ,集中治療室を逼迫させる可能性に注意が必要です。
5.ワクチンの限界と対策について
SARS-CoV-2ワクチンは,これまで確実にCOVID-19罹患率と重症化率を低下させています。しかし,デルタ株やイプシロン株にとどまらず,今後のSARS-CoV-2のRNA変異により,感染性が高まってくる可能性,そしてこれまでのワクチン摂取の効果が減じる可能性を十分に予測しておくことが必要です。この9月にも,ワクチンの限界についての討議が行われることでしょう。現在の2回摂取に続いて,3回目のブースター摂取を行う意義と方策が討議されます。
6.ワクチン接種会場の管理と整備
ワクチン接種の会場の仕組みについては,より一層の改善が必要です。例えば,1)会場をコロナ感染クラスターとしない工夫,2)ワクチンを打つべきではない患者さんや状態の適切なスクリーニング,3)ワクチン後の副反応の正しい報道と理解,ここは予め,そして会場内で適正化していく義務が残存します。
7.救急医療体制を守る方策について:管制支障の軽減策
コロナ禍における非コロナ患者さんの救急車たらい回し(管制支障)を避ける討議が継続されます。脳卒中,心筋梗塞,市中肺炎などの非コロナ患者さんは,発熱があれば,あるいは発熱がなくとも「コロナ(疑)」,「コロナ擬似症」などとして救急外来への搬送を拒否される可能性があります。コロナ禍の救急搬送に対する諸問題を十分に討議し,予測下に前倒しとして解決していくことになります。
8.学級を守る
幼稚園,保育園,小学校,中学校,高校,これら未成年たちの生活環境を,抑制するのではなく正常に守る「発案」と「取り組み」が大切です。学級でのクラスター形成を守るためには,将来に副作用をのこなさないためにワクチンではなく,やはり投薬システムの考案が極めて大切と考えています。
9.コロナ罹患後の皆さんの診療体制
既に新型コロナウイルスに罹患し,退院された方などが,これから別な病気や手術,また再び変異型SARS-CoV-2に罹患し,COVID-19となる可能性などがあります。このようなコロナ既感染者に対する「これからの医療体制」について「救急医療体制」を含めて討議し,ガイドラインや規約を作っておく時期となります。
10.行政と社会と国立大学の協力体制
「結果をしっかりと良い方向に出す」,この政策と社会の共同体制が必要です。皆で,具体策を共有しましょう。
初稿:2021/08/28,追記:2021/08/30,2021/09/04,2021/09/13,2021/12/11(BOBOのポスター化についての追記)