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医学部講義資料 生体侵襲と生体反応

2010年02月27日 04時57分20秒 |  ひまわり日記
医学部講義資料
北大医学部のを4年生~6年生対象に2001年から2005年まで使用していた講義資料です。
これは,現在はブログしか残っていない旧版のホームページ「救急一直線」に掲載していました。
当時は,こうした複雑な内容を話していましたが,今後はよりシンプルに改訂版としてまとめていきたいと思います。

生体侵襲と生体反応

【I】生体侵襲 stressor
生体のホメオスタシスを撹乱させる刺激の総称で,例えば,外傷,熱傷,感染,手術,腫瘍,放射線照射などによる。手術や放射線照射は予め計画された予定侵襲であるが,外傷や熱傷など は,予め蘇生システムを講じていない環境で生じるので,侵襲に対しての対応が後手にまわる。 なお,生体侵襲には手術や外傷などの外部由来のみならず,腫瘍や炎症に代表される内部由来の緩徐な進行の要因も含める。

歴史的には,以下の流れがある。
・ヒポクラテス:生体の自然治癒力
・クロード・ベルナール:
外部環境に対して内部環境を維持することを生体の 1 つの特徴と捕らえた。
・ウォルター・キャノン:
内部環境を維持するために交感神経緊張が関与することや,ホメオスタシスという概念を唱えた。(Physiol Rev 9:399-431 1929)
・ハンス・セリエ:
ホメオスタシスを撹乱させるものをストレッサー(侵襲)と定義し,これにより惹き起こさ れる反応をストレス反応と呼び,ストレスの種類に関与しない非特異的反応(急性相反応, 急性期反応,汎適応症候群)が生じると考えた。(ストレス学説)汎適応症候群はストレス に対する生体防御反応であり,この反応が過剰となると,ホメオスタシスが波状し生体維持 ができなくなる。

【2】急性相反応 acute phase reaction
生体侵襲にさらされると生体に神経内分泌,免疫機構,代謝に関する急性生体反応が出現する。
Moore や Cutherbertson により急性相反応が表記されたが,この古典的分類も,個々の反応が神 経内分泌反応とサイトカイン作用で説明できるようになった。

(1)Moore 説:侵襲に対する生体反応を 4 期に分類した。
・Moore FD: The metabolic response to surgery.Ed by Charles C Thomas Publisher, Springfield, Illinois, 1952
障害期:侵襲後 2-4 日 acute injury phase/adrenergic-corticoid phase
転換期:侵襲後 4-7 日 turning point phase
副腎皮質ホルモンが正常化し,尿中窒素排泄量が正常化して食欲も回復する時期。
同化期:侵襲後 1-数週間 muscular strength phase
窒素バランスが負から正に戻り,筋力回復が得られる時期。 脂肪蓄積期:侵襲後数週間から数ヶ月 fat gain phase
侵襲後のホルモン変動が消失,脂肪が蓄積し体重が増加する時期。

Moore 説以外に,侵襲後の生体反応を報告したものに Cutherbertson 説がある。
・Cutherbertson D: Post-shock metabolic response. Lancet 242: 433-437, 1942.

(2)神経内分泌反応
・交感神経緊張
1 hyperdynamic state(頻脈,高血圧):
末梢血管抵抗増大,心収縮性増加,心拍数増加は心負担を増加させる。心予備力が低下してい る状態では不全心に移行しやすい。頻脈により心筋酸素需要が増大することも心筋虚血を誘導す る一因となる。
2 高血糖:
生体侵襲の初期に適切な鎮静が行われていない場合には,交感神経緊張によりカテコラミンが分泌される。カテコラミンは抗インスリンホルモンであり,インスリン抵抗性に関与する。また,カテコラミンはグルカゴンの分泌を亢進させるため,グリ コーゲン分解が促進され高血糖となる。同様に,交感神経緊張や炎症性サイトカインによりACTH 分泌が一時的に亢進し,副腎皮質でのコーチゾル産生が高まるため,糖新生,脂肪分解が亢進し高血糖が助長される。Surgical diabetes とは手術侵襲に より惹き起こされる高血糖を意味する。一方,多くの細胞はインスリン作 用によるGLUT4を介さずに,GLUT2 などのグルコース・トランスポーターを介して糖の取り込みを行なっているが,これらは正常に保たれるか,upregulation されてグルコース取り込みが亢進すると考えられる(特に脳細胞)。しかし,GLUT2も侵襲と低栄養が継続すると細胞質飢餓により減少する可能性がある。インスリンはインスリン受 容体,PI3 キナーゼ活性,GLUT4 を介してグルコースの取り込みを肝・脂肪・筋で亢進させるが, インスリン受容体以降の細胞内情報伝達が変化を受けると推測される。これが,侵襲の継続によ り,インスリンを介した糖取り込みは抑制される一因となる。
3 蛋白異化亢進・蛋白分解 コーチゾル分泌過剰は骨格筋を中心としてアミノ酸放出・蛋白異化を亢進させる。血中および
尿中窒素代謝産物が増加し,負の窒素バランスとなり,放置すれば,るいそうとなる。肝でのア ルブミン合成や凝固因子産生は侵襲により抑制される(アルブミン遺伝子の上流でプロモーター 領域が抑制される)。蛋白異化も亢進するために,低アルブミン血症・低蛋白血症が助長し,血 管膠質浸透圧が低下する。このため細胞間質に体液移行が生じやすくなる。(サード・スペース 形成)
4 脂肪分解 カテコラミンやグルカゴンの作用で,脂肪組織中のホルモン感受性リポプロテインリパーゼ
(LPL)活性が高まる。トリグリセリドが脂肪酸とグリセリドに分解される。インスリンはこの LPL 活性を抑制するが,相対的にカテコラミン活性がインスリン活性を上回ると脂肪分解が促進 する。
5 乳酸アシドーシス・代謝性アシドーシスと呼吸促迫
局所循環血液量低下(末梢血管収縮,血管透過性亢進)や酸素拡散能低下(細胞間質液増加) による末梢組織細胞の嫌気性代謝が亢進し(虚血と言う),H+とラクテート産生が亢進する。代 謝性アシドーシスを呼吸性アルカローシスで代償している。呼吸促迫症状は交感神経緊張と H+産 生亢進に対する,延髄ケモレセプターを介した大きく 2 つの反応による代償反応である。
6 尿量減少
下垂体後葉から ADH(バゾプレッシン)の分泌が一時的に亢進し,かつ,低血圧・循環血液量減少によりレニンーアンジオテンシン系が亢進するため,腎尿細管での Na+と水の再吸収が促進される。しかし,全身性炎症の持続によりADHは後に分泌が低下する。
7 凝固亢進
交感神経緊張によりアドレナリン α2 受容体を介して血小板凝集が亢進する。また,TXA2,セ ロトニンなど凝固促進因子の産生が亢進し,凝固亢進する。凝固系の抑制因子である ATIII(アン チトロンビンIII),プロテイン C,プロテイン S は正常時には主に肝で産生されているため,肝で の蛋白異化が亢進すると,これらの産生量が減少し,凝固が亢進する。全身性炎症の遷延により血管内皮細胞障害が進行すると,まさに凝固亢進が加速すると推測される。血管内凝固が亢進すれば, DIC(播種性血管内凝固症候群)を合併してくる。
8 疼痛閾値の緩和 下垂体前葉から β-エンドルフィンが分泌され,かつ,交感神経緊張によりアドレナリン α2
受容体を介した下行性抑制経路が賦活化することで,交感神経緊張を緩和する負のフィードバッ ク機構が働く。

(3)急性相反応と炎症性サイトカイン:SIRS の関与
急性相反応は現在,炎症性サイトカインの作用で説明されてきた。ストレスにより即時に神経内分泌反応が惹起されるが,炎症性サイトカイン(IL-1,TNF,IFN,IL-6,IL-8,G-CSF など) がマクロファージなど産生細胞で活性化し過剰産生・放出されることで,SIRS(全身性炎症反応 症候群)へ移行する。サイトカイン産生細胞の活性化以外にも,NF-κB activation を主なメカ ニズムとして,転写段階で様々な組織(血管内皮細胞,肝類洞,肺など)で upregulation されて くる。

1 発熱反応 炎症性サイトカインが末梢で産生されてもこれらは BBB が波状しない限り,中枢には移行しな
い。BBB の弱い脈管周囲腔に作用しての産生を介して視床下部体温中枢を刺激すると言われてい る。末梢でマクロファージより IL-1,TNFα,T 細胞より INFγ が産生され,中枢での生理活性物 質(PGE2 など)を介して発熱が生じることが知られている。NSAIDs やステロイドは,この炎症性 サイトカイン産生を転写段階で抑制することとエイコサノイドの産生を COX2 抑制することで施す 2 つの作用により下熱に働く。
2 白血球数増加や減少 炎症に伴い,一般的には好中球増加と核の左方移動が見られる。これは骨髄から未熟な骨髄系
細胞が動員されるのと,末梢の血管床から好中球が動員されるため(主に好中球浸潤は IL-8 作用 による)と考えられている。骨髄内では主に IL-1,IL-6 により stem cell の分化誘導が生じ,そ の後 IL-3,GM-CSF による増殖・分化が生じ,骨髄白血球数が増加することになる。炎症が強い病 態では NF-κB activation,AP-1 activation による接着分子の高発現により細胞接着が亢進する ため, IL-8 により動員された好中球が肺や肝や腸管微小循環(腸間膜動脈領域)に集積し,末 梢血白血球数が見かけ上減少することがある。ARDS,肝腫大,腹水増加の誘因となる。侵襲によ ってマクロファージと好中球が増加するが,リンパ球系は抑制(減少 or 普遍)されているのが特 徴となる。
3 CRP 上昇(急性炎症蛋白上昇) 侵襲により上昇した炎症性サイトカイン(IL-1,TNFα,IL-6 など)は,急性炎症反応蛋白を
誘導する。
・IL-1 型サイトカインによる誘導:CRP,血清アミロイド A,α1-acid glycoprotein など
・IL-6 型サイトカインによる誘導: フィブリノーゲン,ハプトグロビン,セルロプラスミン,α1-antitrypsin など

<参考> second attack theory(熊大)
侵襲によって組織破壊が生じると高サイトカイン血症が生じ,好中球が priming され,主要臓器に接着する(1st attack)。これが SIRS 状態を導く。この過程で感染などの合併症が生じると, マクロファージが再賦活化され,サイトカインの再誘導が生じ,好中球―血管内皮細胞障害を含 めた多臓器不全に移行するという学説。

4)Bacterial Translocation(BT)―サイトカイン・ストームを修飾する1因子―
Bacterial Translocation は腸内細菌や真菌が腸管壁を貫通し,腸間膜リンパ節や門脈などに 侵入する現象をさす。正常時の生体は胃液,膵酵素,胆汁,粘膜上皮細胞,腸管粘液,腸管運動, 腸管付属リンパ節装置が,消化管からの感染防御を担っている。侵襲や絶食によりこの防御機構 に障害が生じると BT が生じてくる。
GALT(gut associated lymphoid tissue):腸管付属リンパ節装置 パイエル板,孤立リンパ小節,粘膜固有層,上皮細胞間に存在して,消化管免疫に関与している。IgA を産生・分泌することが知られている。この腸管免疫は腸管局所のみならず,全身性に 免疫寄与することが知られており,腸粘膜正常の破壊は,全身の液性免疫低下の一因となってい ると考えられている。

SDD(selective digestive decontamination):選択的腸管内除菌
侵襲の加わった状態では,BT を阻止するために早期から腸管運動を促すことが大切である。し かし,姑息的にポリミキシン B カナマイシン,バンコマイシンなどを用いて選択的腸管内除菌 (SDD)を行なうことで,BT を抑制する試みを一般的に行なうが,多臓器不全発生頻度を下げる という evidence は未だ得られていない。

BT の予防:
1 早期経腸栄養
2 粘膜・免疫担当細胞の栄養:グルタミン
3 選択的腸管内除菌(SDD)
4 交感神経緊張の緩和
5 腸蠕動の促進

5)CARS と MARS
炎症性サイトカインが誘導される状態(SIRS)では抗炎症性サイトカイン(IL-4,IL-10,IL-11, IL-13,TGF-β など)や炎症性サイトカイン拮抗物質(sTNFR,IL-1Ra など)が同時に誘導されて くる。このように抗炎症性サイトカインも若干遅れて産生されることで,生体は SIRS から自身を 守るようにホメオスタシスを維持する。しかし,ステロイドなどの NF-kB 拮抗剤で炎症性サイト カインを過度に抑制してしまうと,抗炎症性サイトカインが優位となり抗炎症性サイトカインの 特徴である易感染性が前面に出てくる。CARS(compensatory anti-inflammatory response syndrome)とは抗炎症性サイトカインが炎症性サイトカインより優位になった病態をさして用い る。MARS とは SIRS と CARS が mixed した病態をさして用いる。
Bone RC: Sir Issac Newton sepsis SIRS and CARS. Crit Care Med 24:1125-1128 1996

6)創傷治癒
創傷は自然治癒することが知られている。その治癒過程は、1凝固止血期,2炎症期,3増殖 期,4組織再構築期,5成熟期の 5 つに分かれている。
1 凝固止血期(1-2 日) 受傷組織の血管は一時的に収縮することで出血を減少させる方向に働く(α1 作用)。血小板
機能亢進により凝血塊が生じる(α2 作用)。TxA2 の産生が侵襲局所で高まることが知られてお り,血管収縮と血小板凝集に寄与している。創部ではアルブミンやグロブリンにより感染が防御 されている。
2 炎症期(1 日-1 週間)
凝固に関与する血小板からは PAF(platelet activating factor)が放出され,多核白血球やマ クロファージや肥満細胞を凝固局所に集結させる。これらからの放出や,虚血や NF-kB activation AP-1activation などによる転写誘導により,炎症性サイトカイン,ヒスタミン,NO,プロスタサ イクリンなどが過剰放出されるため,血管拡張や血管透過性亢進が生じる。これにより血管外へ 漏出したフィブリノーゲンがトロンビン,Ca2+,第 8 因子などによってフィブリン網を形成する。
3 増殖期(3 日-2 週間)
血小板から放出される PDGF(platelet derived growth factor)により,マクロファージや線 維芽細胞が損傷部に誘導するとともに TGF-β の分泌を促す。この時期に働く重要な物質は PDGF, TGF-β,FGF(fibroblast growth factor)であり線維芽細胞増殖やコラーゲン合成を促進させ, 細胞外基質(ECM : extracellular matrix)の合成を促進している。また,血管新生もこの時期 に生じる。侵襲の急性期(炎症極期)では減少している VEGF が何らかの転写抑制を解かれて上昇 してくる(現在松田データ採取中)。血管新生には VEGF と FGF が関与する。FGF も血管新生促進 因子として重要である。また,間質のマトリックスを溶解するためにプラスミノーゲンアクチベ ータなどのプロテアーゼ産生が関与している。
4 組織再構築期(5 日-3 週間) 細胞外基質の蓄積が TGF-β と IL-4 による線維芽細胞刺激により生じる。コラーゲンやフィブ
ロネクチンの産生が高まる。
5 成熟期(2 週間-2 年)
血管系は最終的には退縮し,表面平滑な瘢痕となる。

7)Hypermetabolism と Catabolism
<まとめ>
□Hypermetabolism 激しい代謝亢進
□Catabolism 蛋白異化亢進
□代謝の特徴(4 つ):
1 酸素消費量増大
2 糖新生増大と耐糖能低下
3 脂肪分解促進と遊離脂肪酸増加
4 蛋白分解の亢進
□骨格筋:分解
骨格筋が萎縮し筋力が低下する。エネルギー供給をしないと,1 日 50-70g の蛋白が失われる。
□脂肪組織:分解
カテコラミン感受性 LPL(リポプロテインリパーゼ)などの活性化により,エネルギーを供給 しない環境では 1 日約 170g の脂肪が消失する。
□肝代謝:抑制 代謝は現在どうにも集中治療医学で代償しきれない難題の一つである。肝機能を維持すること
は生存に不可欠である。
1 グリコーゲン分解・糖新生抑制:解糖系抑制
2 恒常性蛋白の産生抑制(アルブミンなど):急性相蛋白の産生増加(CRP など)
3 脂肪分解
脂肪分解による遊離脂肪酸から acyl- CoA が産生され,ミトコンドリア内で β 酸化とケトン体 産生が亢進する。重度のストレスでは acyl- CoA をミトコンドリアに運ぶカルニチンレベルが低 下するため,β 酸化も抑制されてくる。

【3】侵襲の評価・定量化 APACHIIスコアリングシステム(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)
侵襲の重症度を客観的に評価するために 1981 年に APACH システムが Knaus らにより考案された。 KnousWA Zimmerman JE Wanger DP:APACH-acute physiology and chronic health evaluation: A physiologically based classification system. Crit Care Med 9: 591-593, 1981
以後改良されて,1985 年に APACHIIシステムが発表され,1991 年に APACHIIIシステム(Chest 100:1619-16361991)が考案されたが,APACHIIIシステムは煩雑であり疾患別ウエイトが非公開で あることから,現在は APACHIIシステムが頻用されているのが現状である。 Knous WA, Draper EA, Wanger DP, Zimmerman JE: APACHEII:A severity of disease classification system. Crit Care Med 13:818-820, 1985
APACHIIスコアは,12 の検査データ(APS:acute physiology score),年齢,既存病態の有無で評価す る。理論的には 0 点から 71 点までの値をとることになり,点数の高いものほど侵襲の程度が強い 重傷病態にあると評価する。異なる疾患群での予後を比較評価するために,疾患群ごとに疾患別 ウエイトが定められている。生命予後も計算できるシステムとなっている。多くの救急集中治療部 の自動モニタリング記録コンピュータシステムもこの APACHIIスコアを自動算出できるようになってい る。僕自身も自作したAPACHIIスコア自動算出システムを持っている。

【4】生体侵襲制御の基本的指針

1) 侵襲の時期に合わせた全身管理
侵襲にさらされた時期に合わせた全身管理が重要であり,患者のホメオスタシスを把握するた め適切なモニタリングを用いる。侵襲が連綿と継続する場合は早期に除去する。手術などの予定 侵襲では,サイトカイン動態が把握されているため,侵襲の最中より,適切な侵襲制御を開始し ている。
<具体策>
1 蘇生システムとモニタリングの選択
侵襲の程度に合わせて,何を知るために何をモニタリングするかを明確にする。気道確保や呼 吸管理がなぜ必要なのかを明確にする。循環作用薬をなぜ併用するのかを明確化する。意識状態 を把握し,鎮静のレベルが適切か,あるいは,不要であるかを適確に方針づける。腎機能に負担をかける場合は迷わず CHDF を併用する。漫然とモニタリングしないこと,肝機能負担を考慮し漫 然と治療薬を増やさないことが大切である。実習ではこの観点から重症患者管理学を眺めていた だきたい。
2 交感神経緊張の緩和(麻酔薬)
しかし,不適切な麻酔は免疫を抑制し,2次感染の誘発としての生体侵襲となる。
3 抗サイトカイン療法
様々な個々の抗炎症性サイトカイン療法が臨床知見されたが,重度の侵襲では生命予後を改善 させなかった。
4 炎症反応の抑制
5 栄養管理(早期腸管栄養と適切なアミノ酸補充)
6 体液・電解質管理
7 体温管理
8 主要臓器管理
9 合併症予防(感染対策など)

2) 臓器予備力の把握
管理者は臓器別に機能を把握する能力を身に付ける。侵襲局所管理を前提とするが,局所管理 にとらわれない,全身管理が大切となる。

3) 侵襲を左右する重要合併症の把握
1 呼吸器合併症(ARDS 無気肺など)
2 ショック
3 感染症
4 DIC
5 多臓器不全(腎不全,心不全,肝不全...)
6 Bacterial Translocation なと

記載:2001年4月7日

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