救急一直線 特別ブログ Happy保存の法則 ー United in the World for Us ー

HP「救急一直線〜Happy保存の法則〜」は,2002年に開始され,現在はブログとして継続されています。

38th Society of Critical Medicine in Nashville

2009年02月07日 04時32分48秒 |  ひまわり日記

 
 ナッシュビルで開催されている38th Society of Critical Medicine(2009年1月31日ー2月4日)に参加しており,日本を離れておりました。口演およびポスター発表は2月1日に終了し,2月4日に帰国しました。
 さて,米国集中治療医学会の学会会場は非常にたくさんの会員により埋め尽くされており,米国におけるintensive careを知るにはとてもよい機会となりました。しかし,ポスターなどのいろいろな発表データを見ても,必ずしも海外の治療成績はよくありません。これは,海外でも施設や個人によって治療成績に差があるようです。急性期管理医学においても,治療やケアの治療基盤をteam dedicationやadvance plannningとして,初学者にdecision makingを教育するシステムが重要と考えられます。そして何よりも,指導者チームが極めて高い治療成績や技やケアを示していくことが必要です。ICUチームは,質の高いケアの場であり,医師だけで成り立つものではありません。 

 現在,僕の最大目標は京都大学医学部附属病院に急性期管理医学を育てることにあります。日々できることを大切にはしていますが,日常に甘んじることなく,日々,自身を鍛える努力が大切と思っています。臨床においては極めて優秀なチームを身の回りにつくり,さらに地域や世界規模で教育を考え,世界に大きな医療チームを育てていくことが大切と考えています。その上で,日本としての急性期管理のデータを蓄え,世界に発信していく年としなければならないと考えています。 
 そして,僕の教育の基盤には,「独創性の育成」があります。僕自身は,既存の知識を溜め込む姿勢ではなく,想像力や直感を元に知識を統合し,新たなものを提案する姿勢を大切としています。世界は混沌としていることは否めません。本邦からも,独自の広がりのある概念を発信をしなければならない,そのように感じて38th Society of Critical Medicineに参加しておりました。



 学会会場の演出は極めて美しいものがあり,国歌斉唱は米国さながらの元気の出る良い雰囲気がありました。この後のMitchell Levy先生の講演は,for the patientとチーム医療の基盤を語る素晴しいもので,僕も立って拍手をしておりました。また,相変わらず,Vincent先生の講演は,感動する元気の出るものでした。
 夢のある,そしてフットワークのある先生がこの救急・集中治療医学分野を志したときに,この分野の世界が変わります。たくさんの取り残された未開の学問があります。研究は,山のように残されたテーマがあります。それを,1年1テーマ,遅い流れですけど,確実に積み上げていくところに広がりと夢があります。協力はあっても,競争がない,それがこの分野です。良い治療成績を考えて,急性期管理医学を志す若者の参入を期待しています。

思いやりに,言葉は要りません。急性期は突然やってくるものです。昨日まで会話できたのに,今日は会話ができない。急性期管理ケアは,言葉を超えて,そのひとらしさを尊重し,そのひとらしさを回復させるものです。ICUは,Compassionate Care,すなわち温かい温情に満ちたケアを医学を通して実践する場でもあります。患者さんに対する前に,まず,医療従事者に対して敬愛と温情を持つことも大切です。真の仕事は心のきれいな環境から生まれると思っています。

Compassionate Care in the ICU

Compassionate Care in the ICU - Part 2


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