東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

三谷幸喜「国民の映画」

2011-04-22 06:58:02 | ライブ、芝居、演芸など
昨日は横浜でお芝居。

「国民の映画」。
三谷幸喜の作、演出。
地震前にチケットを取っていて、その時は「三谷幸喜」という名前だけで決めて、どんな物語なのか、役者は誰なのか全く分からないまま劇場に。

で、開幕。
舞台は戦争中のドイツ。
ナチスの宣伝大臣パウル・ゲッペルスの邸宅にドイツ映画界を代表する監督、俳優達が集められて、パーティーが始まる。
パーティーの目的は、ゲッペルスが長年、温めてきた企画を発表するため。
それは、彼が大好きな「風と共に去りぬ」を超えるような一大娯楽映画をドイツ映画界の総力を挙げて作り上げる、というもの。
完成の暁には、全ドイツ国民に愛される「国民の映画」を作る企画だった・・・。

ロマンチストで不器用で女好きで、でも仕事には真面目なゲッペルス。
どの時代にも、どの世界にもいるような平凡な人物が、権力の中枢にいて戦争犯罪を犯していく。

2時間45分の長い芝居だったけれど、全くだれることなく観ることが出来た。
特にクライマックスの緊張感はすごくて会場が水を打ったように静まり返った。
素晴らしいお芝居だった。

役者も良かった。
主役は名脇役のイメージがある小日向文世。
いるだけで小物オーラが出ていて、でもそんな人物が権力を握る怖さも出ていた。
あと、親衛隊長ヒムラー役の段田安則がそのずれっぷりで一番笑いを取っていておかしかったし、空軍大臣ゲーリング役の白井晃も存在感がすごかった。
風間杜夫も権力に擦り寄る映画界の重鎮、という役どころをコミカルに演じていたり、キャスティングは大成功。

でも会場となったKAAT神奈川芸術劇場のお客の入りはいまひとつ。
しょうじき満員だと思って行ったら、7割ほどしか席が埋まっていなかった。
うーむ、こんないいお芝居なのにね。
横浜が遠いからなのかチケット代が高いからなのか。もったいない。

三谷幸喜は、「生まれながらの悪人が犯罪を犯すんじゃなくて、僕らと同じような小市民が、特殊な状況に置かれたために狂気に走ることが一番怖い」とパンフレットの中で語っていたけれど、帰りの電車の中で、これってちょうど今の東京電力や原子力村の住民達と一緒だということに気がついた。
やっぱり真面目な小市民たちが一番仕事が出来て、一番最悪の結果を招いてしまうんだと思う。
自分たちは悪い事をしているという意識がないから、それを止めることも出来ない・・・。
そんな事も考えさせられる怖い芝居だった。
公演は5月1日まで。
まだチケットは残っているはず!


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
吉田羊さん (orichan)
2011-04-22 15:01:51
最近知ったんだけど、子供のころ会ったことのある人でした。

従妹の幼馴染で、従妹はこないだの大阪公演に九州からやってきました。大阪は満席だったそうだけど。

即東京も完売って話だったんだけど、自粛モードでお芝居なんて行かない雰囲気になっちゃったんでしょうか?
返信する
Unknown (サイトウ)
2011-04-24 07:42:41
東京、大阪と満席で横浜だけが7割と言うのも不思議だよね。
チケットは買ったものの外出を控えた人が多かったのかな?
よく分からないね。
返信する

コメントを投稿