東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

映画「スケッチ オブ ミャーク Sketches of MYAHK」@東京都写真美術館

2012-10-02 06:28:06 | 映画
2010年、『宮古島の神歌と古謡2010』というライブを観ました。

宮古島の「神歌」を東京で聴くことができる貴重な機会。
演出に難はあったものの、島のおばあ達の素朴な歌声は心に響き、淡々と繰り返されるリズムにじっと耳を傾けていると、古代から続く祈りの螺旋に立ち会っているような不思議な感覚を覚えました。
その時の日記

で、その宮古島の神歌の事が映画になると聞いて、さっそく、恵比寿の東京都写真美術館で観てきました。
いやー、本当に素晴らしかったです!!!

かつて島の生活は厳しく、たとえ妊婦さんであっても、子供が生まれるその日まで畑で働かなくてはならないような日々でした。
そんな島の生活には、いつも歌があり、暮らしを彩ってきました。
映画に登場する、おばあ達は高齢の方が多いのですが、自然に歌が口をついてでてきます。
労働の歌、愛する人に向けた歌、子供への想いを歌った歌、そして、神様に捧げる「神歌」。

この「神歌」が、素晴らしい。
御獄(ウタキ)での神事で長く長く、歌われてきた、その調べは、古代の人の神への畏敬の念がそのまま保存されているよう。
今、同じ歌を東京に住む人が歌おうとしても、絶対に真似のできない「何か」がはっきりと感じられました。

宮古と東京という距離だけでなく、時間すら違って感じられる不思議で力強い歌でした。
特に2010年もその歌を聞かせてくれた狩俣ヒデさん、それに映画の予告編にも登場するかわいらしい宮国ヒデさんの歌が心に残りました。

映画は、短いシーンをテンポ良く繋げる外国のドキュメンタリーかミュージックビデオのよう。
ロカルノ映画祭で賞を獲ったそうですが、確かに外国の人に受けそうな演出です。
個人的には、テンポの良い部分だけでなく、もう少しそれぞれの歌をじっくり聴きたい気がしました。
とは言え、まずはこの映画をこのタイミングで撮ってくれた監督の大西功一さんに感謝です。

そんな素晴らしい映画だったのに、映画館はガラガラ・・・。
お客は20人も居なかったと思います。
東京都写真美術館での上映は10月21日まで。
ぜひぜひ観に行ってください!!!

映画 スケッチ・オブ・ミャーク 劇場用予告編 Sketches of Myahk Cinema Trailer

映画「夢売るふたり」

2012-09-18 06:15:50 | 映画
という訳で、久し振りに映画。
「ゆれる」「ディアドクター」の監督、西川美和さんの新作「夢売るふたり」を渋谷の映画館に観に行きました。



お客の入りはいまひとつ。
「ディアドクター」の時ほど話題になっていないからでしょうか。
でも、新鋭の映画監督の中で最も注目されている人だと思うのに、少し残念。

とは言え、映画の出来も少し残念でした。
阿部サダヲと松たか子の夫婦の物語で、彼らが結婚詐欺を働くのですが、その導入から引っかかってしまい、すんなり映画に気持ちが入り込めません。
その後も、細かなところでいちいち「?」と思ってしまい、映画に没入できませんでした。

監督はこの映画のテーマとして「女性を描く」と言っていましたが、女性=結婚願望というあまりにもベタな設定に白けてしまいました。
うーむ・・・。

でもまあ、阿部サダヲと松たか子は上手かったし、もはや「西川組」とも言える香川照之、笑福亭鶴瓶などもちょこっと出ていて良かったし、カメラも良かったし、最初に引っかからなければ、ちゃんと楽しめたはず。
じっさいこの映画も、「良い映画」ではあったと思います。

西川美和監督といえば「ゆれる」だけど、あの映画が素晴らしかったばかりに、新作を観てもいつも比較しちゃうんだよね。
そういった意味で映画自体の評価が多少厳し目かも。
「西川監督ならすごい映画を見せてくれるはず」って思っちゃうからね。
難しいですね。

「ル・アーヴルの靴みがき」

2012-05-05 07:05:22 | 映画
このゴールデンウィークは天気も悪いので山にも行かずのんびりしています。
で、昨日は渋谷で映画。

「ル・アーヴルの靴みがき」。
大好きなアキ・カウリスマキ監督の新作です。
上映していたユーロスペースは満員でした。



今回の舞台は、フィンランドを離れ、北フランスの港町。
でも、主人公の妻役でお馴染みのカティ・オウティネンが登場するので、「ああ、カウリスマキの映画だよ」と安心します。

あと、上の写真の様な色の数を抑えた絵画的な画面構成と、光が画面全体に当たるのっぺりしたライティングもいつも通り。
美しいな~。

で、今回の物語はけっこう社会派。
移民の話です。

ある日、フランスの港町にアフリカからの移民が流れ着き、少年がひとり街に逃走。
移民排斥の空気が流れるフランスの社会。
警察も厳戒態勢で少年を探します。

そんな少年を、港町の片隅でつつましく暮らす靴磨きの男、マルセルが助けるというストーリーなのですが、なんともハートウォーミングな寓話の様な映画でした。
マルセルの周りの街の住民たちも、みんなそんなに裕福じゃないのに、少年に手を差し伸べて助け合って、、、なんだか昔の日本映画にもあるような設定。
いま改めて、こうした精神が大切なんだと思います。

グローバリゼーションとか自己責任とか、そんな言葉が「グローバルスタンダード」という事になっていますが、本当にそれが「スタンダード」?
3.11のあと、「絆」という言葉に光が当たっていますが、日本だけじゃなく世界的にも同じような揺れ戻しが起きているのかな、と感じました。

でも、自分だったらマルセルのように行動できるか?
彼の優しさや強さはどこから来るんだろう?

「靴みがきと羊飼いこそ人々に一番近い職業なんだ。そして主の山上の垂訓に従う者はわれわれだけだ。」と映画の中でマルセルは語っていましたが、若い頃は革命家か芸術家だったと思わせるその背景も含め、いろいろ考えさせられる映画でした。

映画「エンディングノート」

2012-03-29 07:18:04 | 映画
昨日は渋谷で映画。
今更ですが「エンディングノート」。



いい映画でした。
たぶんこの映画を観た誰もが自分の家族の事を想うはず。
僕もこの映画の主人公、砂田さんと同じく癌で亡くなった父の事を想いながら観ていました。
父も砂田さんと同じように家族に見守られて、最後までユーモアと強い心を失わず亡くなりました。

そう、この映画、「監督の父親の死に至る過程を撮る」という深刻なテーマにもかかわらず、全編を通じて「ユーモア」が満ちています。
これは砂田さんのキャラクターに負う所が大きいのですが、もうひとつ、娘が撮っている、ということも重要です。
そのことで、砂田さんも特に構えることなく素の顔を見せています。
時に踊って見せたり、娘にからかわれたり、最愛の孫達とあそんだりしながら、何だか穏やかな日常を僕たち観客も観る事になります。
まるで砂田さんの家族になってその場に居合わせたような気分になってきます。

撮影、編集、ナレーションと全て娘さんの砂田監督が担当しているのですが、編集が上手い。
ちゃんと状況が分かるような客観性も保ちつつ、家族の愛も伝わってくるような編集。
ナレーションも優しい声質が効果をあげていました。

という訳で、観終わった後も、自分の家族や自分自身について考えさせる良い映画でした。

「幕末太陽傳」

2011-12-29 10:07:05 | 映画
昨日は3時間ほど時間が空いたので、その間に映画鑑賞。
デジタルリマスター版が上映されている「幕末太陽傳」。

ご存知、フランキー堺主演の1957年の大傑作。
監督は川島雄三。
キャストは、石原裕次郎に小沢昭一、岡田真澄に南田洋子と何でもあれのラインナップ。



これで観るのは3回目くらいだけど、毎回、心底楽しめる映画。
何よりすごいのが、そのスピード感。
『居残り佐平次』や『品川心中』『三枚起請』『お見立て』といった落語からネタを借りながら破綻する事なく、だれる事もなく、突っ走るように物語が進んでいく。
この「間」は本当にすごい。

それを実現するのがフランキー堺。
羽織を放り投げてそのままぱっと着るシーンがよく話題になるけど、動きが何より軽快。
彼の周りだけ重力が軽いような小気味良いアクションを見ることが出来る。
タタターンと階段を駆け上がるその一連の動きを見ているだけで、なんだか楽しくなってくる。

で、彼に負けていないのが同じ麻布中学の同級生、我らが小沢昭一。
アバキンことアバタの金造という貸し本屋役での出演だけど、なんだかちょこまかとした動きがおかしい。

さらに石原裕次郎も、高杉晋作役が見事にはまっている。
「あはははー」という高笑いだけで、スターの貫禄を見せ付ける。

それ以外も、女郎屋の主人夫婦の金子信雄、山岡久乃も良いし、最後、フランキー堺に墓場を案内させる田舎者役の市村俊幸も上手い。やり手婆役の菅井きんが今と変わらないのにもびっくり。
エンドロールに名前の出る役者以外でも、スクリーンの端っこに写っているだけの無名の役者たちも実にきちんとした動きをしている。
この辺りの演出は、助監督の今村昌平が細かく指導していたと小沢昭一が話していたけど、ほんとこういう細かいところの積み重ねがこの映画の厚みを増しているんだと思う。

という訳で、久し振りに日本映画の楽しさを思い出したよ。
もっと映画も観なくちゃね。

「いま原子力発電は…」&「原発切抜帖」

2011-06-30 23:30:26 | 映画
今日は岩波ホールで映画。
羽田澄子監督の「いま原子力発電は…」(76年)と土本典昭監督の「原発切抜帖」(82年)の2本立て。

「いま原子力発電は・・・」は、操業が始まったばかりの福島第一原子力発電所を取材したルポ。
東電も取材に協力的で、いかに原子力発電が安全で素敵なエネルギーであるとアピールしている。
もちろん今となってはブラックジョークとしか思えないけど、「原発が事故る可能性は五十億分の一で、隕石が落ちるくらいの確率しかない」とか平気で言っている説明が逆に懐かしい。
原発の危険性に自覚的な立場からの発言も収録されてはいるけど、原発の安全神話を素朴に信じていられた時代は幸せだったんだと思うよ。

で、本典昭監督の「原発切抜帖」が今回のお目当て。
なんと、土本監督が長年続けてきた新聞の原子力関連の切抜をそのまま写すだけのある意味、衝撃的な映画。
これを通したプロデューサーは本当に勇気があるね。



新聞の記事も、記事になった日は当たり前のことに思えても、時間軸を追いながら順番に見ていくと、矛盾があったり予想外の展開になったり様々。
当時の空気はなかなか分からないので新鮮だったし驚きでもあった。
そうは言っても地味な映画なんだけれど、それを面白くしているのが、ナレーション担当の小沢昭一。
さすが話芸の達人。
ユーモラスな語り口で飽きさせずに、切抜ばかりの映画を面白くしてくれた。

という訳で、どちらの映画も今だからこそ、観ていて身につまさせられた。

是枝裕和監督の映画「奇跡」

2011-06-18 00:17:12 | 映画
今日は、是枝裕和監督の映画「奇跡」。

是枝監督の映画はほとんどすべて観ているけど、今回の映画も是枝さんらしい空気を感じる作品だった。
「誰も知らない」と同じように子ども達だけの冒険を描いているけど、今作の方がより時代に寄り添った作品だと思った。
子ども達も大人達も、なんだかみんな屈託を抱え、もやもやしながら過ごしている。

主人公の兄弟は、小学6年生と4年生。
大阪で育ったんだけど、両親は分かれてしまい、今はふたりも福岡と鹿児島でそれぞれ暮らしている。
ミュージシャンの父親と福岡で暮らす弟は、美人のクラスメイトに囲まれけっこう楽しく自由にやっている。
いっぽう、お兄ちゃんは、火山灰が毎日降る鹿児島でお母さんとその両親と暮らしている。こちらはまだ鹿児島に馴染めないし、いろいろ問題も見えてしまう年齢。
周りの大人達は、両親も含め、行き詰まっていたり、なんだか冴えない感じ。
クラスメイト達も、お父さんがギャンブルにはまっていたり、飼っていた犬が死んじゃったり、女優になりたいけどなかなかチャンスがなかったり、こちらもそれぞれ問題がある。

そんな中、お兄ちゃんは「何とか前のように家族で暮らしたい」という願いをかなえるため、兄弟それぞれの友達を連れて、熊本郊外の田舎駅で1日だけ合流する。
「新幹線の一番列車がすれ違う時奇跡が起きる」という噂話を信じて・・・。



子ども漫才師の「まえだまえだ」のふたりが演じているんだけど、実に良かった。
彼らのキャスティングがこの映画の鍵。
屈託を抱えながら生きている登場人物たちの中で、弟の明るさが救いとなっている。
実に自然に嫌味なく演じているので、見ているこちらもホッとするほど。

まず、何かを信じてみる。
そんなメッセージのある映画だと思うけど、今だからこそ、すんなり伝わってくるのかもしれないと思ったよ。
でも、渋谷の映画館で観たけれど、お客さんはガラガラ・・・。
映画の宣伝はけっこう見かけるけど、びっくりするほどお客がいなかった。
うーむ・・・。

トゥルー・グリット

2011-05-09 00:34:52 | 映画
土曜日は、友人の家の新築完成披露。
僕より年下だけどしっかりした人で、ちゃんと家まで建てちゃう。
すごいね。

という訳で、そのまま夜遅くまで飲んで、翌日は久し振りに映画。
「トゥルー・グリット」。
大好きなコーエン兄弟の新作ということで楽しみにしていたけれど、なかなか行くチャンスがなくて今頃ようやく観れたよ。



父親を殺された14歳の少女が、癖のある保安官たちと3人で追跡の旅に出る、という西部劇。
何と言うか、ちゃんとまともな西部劇、と言った感じ。
コーエン兄弟なのでもっとひねって屈折した映画なのかと思ったら、しっかり者のませた少女が、アル中気味の保安官と、かっこつけたテキサスレンジャーを引き連れ、悪い奴らを大追跡。
最初はばらばらだった3人が、最後は協力して、、、という、ある意味お約束な感じ。
まあ、悪い奴らの容赦ない感じとか、心が冷えるような開拓地の荒んだ雰囲気、とかがコーエンっぽい所だったけど、もっとひねって欲しかった。
だんだんメジャーな監督になって、そういう映画は難しくなったのかな。

最後のシーンがちょっとそんな感じだったけど、少しとってつけたようだった。
余韻が生まれて成功したと思うけど。
まあ、映画としてはテンポも良くてドキドキしたし面白かった。
でも、コーエン兄弟の新作、という期待感は満たされなかったかな。

映画『ヒバクシャ~世界の終わりに~』

2011-04-15 00:08:04 | 映画
今日はアップリンクで映画『ヒバクシャ~世界の終わりに~』の上映と監督の鎌仲ひとみさんのトーク。

原発3部作の最初の一作目。
他の2本はずいぶん前に観ていたけれど、この映画は未見だった。
狭い映画館は満員。
僕は予約をしていたので入れたけれど、今日はかなり入れなかったお客さんがいたとの事。
地震の前の上映では、「お客がひとり・・・。」という時も有ったようで、状況の激変に監督もトークで少しシニカルな言い方をしていた。

という訳で映画。
すごくすごく目を開かされる作品だった。
1998年から6年間をかけて作られたこの作品の取材は、イラクの小児病棟から始まる。
アメリカの経済封鎖で医薬品がない中、苦しんでいるイラクの子ども、というテーマで取材していた監督は、取材を進めるうち、小児ガンの発症率が3倍にも増えている事実を知る。
どうやら原因は、アメリカが打ち込んだ劣化ウラン弾。
そこから発生する放射能がイラクの土地を汚染し、真っ先に子ども達に影響が出ていたのだ。
彫りの深いまっすぐな目をしたイラクの子ども達。
満足な治療も受けられぬまま次々と死んでいく。

次に監督は、広島で被爆した医師、肥田舜太郎さんと一緒にアメリカに飛ぶ。
肥田医師は85歳。ずっと被爆患者を診続けてきた。
アメリカで、かつて世界最大のプルトニウム製造工場だったハンフォードを訪れる。
ここは信じられないことに、昔、周辺住民に対しヨウ素131を散布してその影響を調べた事実があった。
気球を使って作為的にこうした放射線物質を散布したんだけれど、その事実は伏せられていたので、あまりにも多いガンの発症率が問題になるまで誰にも知られることは無かった。
取材を進めると、あまりにも悲惨な状況が信じられないほど。
大規模農園がどこまでも続く土地だが、そこに建つ家々でガン患者のいない家はないほど。
特に女性の発症率が高く、乳がんや子宮がん、それに甲状腺ガンなどの患者や死亡者が異常に多い。
もちろん子どもが真っ先に発病してしまっている。
放射能はどんな症状が出るか予測がつかない厄介な性質らしいけど、ただひとつ「若者優先」というはっきりした傾向があり、若い人ほど発症の可能性が高くなるとの事。
女性は生殖器系にたまりやすいので発症の確率が高いらしい。

で、アメリカ政府は、放射能実験のための散布の事実は認めたものの、ガン発症との因果関係は認めていないので大規模な訴訟になっているが、16年たって6000人いた患者が1600人にまで減ってしまっている・・・。
裁判も最終的に原告の訴えは棄却・・・。

そして取材は最後に日本に。
ここでも肥大医師の粘り強い調査で、チェルノブイリ事故と日本の乳がん患者や奇形児の発生率のはっきりとした相関関係が明らかになる。

という訳で、6年間もかかって作っただけあって、あまりにも膨大な新情報に戸惑うが、福島の状況と重ね合わせると本当に戦慄してしまうような事ばかり。
もはや対岸の火事ではないのだと匕首を突きつけられたような気になった。
特にアメリカの状況は、「ただちに健康に被害はない」という政府の発表は全く正しいのかも知れないけれど、5年、10年経ったときにはものすごく悲惨な状況になることを明確に示している。

あと、怖いのが汚染地域ハンフォードの現状。
結局、今でもこの土地で大規模な酪農と耕作が続けられていて、そこで採れたジャガイモとかがファーストフード店とかに出荷されている。
その一部は日本にも・・・。

放射能は別に目に見えるわけじゃないので、「無かったことにしてしまう」「いちいち気にしないようにする」という対応をとっても、すぐに困るわけじゃない。
で、この土地に住む大規模農場の経営者は、「研究者も大丈夫だと言っているし、なにしろうちのジャガイモはすごく美味しいよ」と胸を張るが、彼の奥さんも甲状腺ガンに罹っていたりする・・・。

同じようなことが福島で起きることを連想してしまった。
何しろその土地で生まれて愛着があるだろうし、生活の事ももちろんある。
いったいどうすればいいのか・・・。

上映後のトークも、観客からの質問の手が次々と上がるような活発なもの。
みんな本当に不安なんだと思う。
でも、大事なのは目をそらすことじゃなくて、知ることだと思うので、この映画、本当に必見です。

映画「ヒバクシャ」公式サイト
鎌仲ひとみさんツイッター

4月16日からリバイバル上映の最新作「ミツバチの羽音と地球の回転」ブログ

映画「冥途の飛脚」

2011-03-22 22:12:45 | 映画
週末は映画「冥途の飛脚」。
1980年にカナダ人の映画監督によって撮影された文楽の舞台。
主要な出演者全員が、当時および後に人間国宝という事で、吉田玉男さん、吉田簑助さんはじめ、名人達による脂の乗った円熟の舞台が記録されている。



恵比寿の写真美術館で上映されていたんだけど、映画の話題性なのか、地震の影響なのか分からないけど、お客さんは20人もいない・・・。
で、チケット代が2300円もしてびっくり。
なんで高いんだろう?

映画も、ときどきTVで見ることの出来る文楽舞台と比べ、ずば抜けて良い、という訳でもないのでちょっと拍子抜け。
しょうじき文楽は、ライブで見るに限ると思ったよ。
太夫の台詞が字幕で出るんだけど、ついそれを目で追ってしまって、人形達の細かな仕草まで注意がまわらなくなってしまったのが残念。
太夫の言葉もなんだか心に入ってこなかったし、太棹の三味線のビーンという音が劇場だと体に響くほどなんだけど、それもとうぜん感じられなかった・・・。

とは言え、玉男さんが若くて、簑助さんも艶っぽくて、それは見所。
初めて文楽を観たのが、もう20年前。
その時の興奮をなんだか懐かしく思い出しながら観た映画でした。