東京ナイト

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「ル・アーヴルの靴みがき」

2012-05-05 07:05:22 | 映画
このゴールデンウィークは天気も悪いので山にも行かずのんびりしています。
で、昨日は渋谷で映画。

「ル・アーヴルの靴みがき」。
大好きなアキ・カウリスマキ監督の新作です。
上映していたユーロスペースは満員でした。



今回の舞台は、フィンランドを離れ、北フランスの港町。
でも、主人公の妻役でお馴染みのカティ・オウティネンが登場するので、「ああ、カウリスマキの映画だよ」と安心します。

あと、上の写真の様な色の数を抑えた絵画的な画面構成と、光が画面全体に当たるのっぺりしたライティングもいつも通り。
美しいな~。

で、今回の物語はけっこう社会派。
移民の話です。

ある日、フランスの港町にアフリカからの移民が流れ着き、少年がひとり街に逃走。
移民排斥の空気が流れるフランスの社会。
警察も厳戒態勢で少年を探します。

そんな少年を、港町の片隅でつつましく暮らす靴磨きの男、マルセルが助けるというストーリーなのですが、なんともハートウォーミングな寓話の様な映画でした。
マルセルの周りの街の住民たちも、みんなそんなに裕福じゃないのに、少年に手を差し伸べて助け合って、、、なんだか昔の日本映画にもあるような設定。
いま改めて、こうした精神が大切なんだと思います。

グローバリゼーションとか自己責任とか、そんな言葉が「グローバルスタンダード」という事になっていますが、本当にそれが「スタンダード」?
3.11のあと、「絆」という言葉に光が当たっていますが、日本だけじゃなく世界的にも同じような揺れ戻しが起きているのかな、と感じました。

でも、自分だったらマルセルのように行動できるか?
彼の優しさや強さはどこから来るんだろう?

「靴みがきと羊飼いこそ人々に一番近い職業なんだ。そして主の山上の垂訓に従う者はわれわれだけだ。」と映画の中でマルセルは語っていましたが、若い頃は革命家か芸術家だったと思わせるその背景も含め、いろいろ考えさせられる映画でした。

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