とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

書評「わかりあえないことから」(平田オリザ著)

2016-08-16 07:08:44 | 読書
 今年の8月7日に劇作家協会公開講座で鴻上尚史さん、横内健介さん、平田オリザさんの3人の対談を見てきました。鴻上さんや横内さんは従来の演劇の文脈で生きてきた演劇人ですが、平田さんはこれまでにないコミュニケーション論から演劇を考えてきた人なのでうまく内容はかみ合っていません。しかし、話のうまい3人なのでそれでも対談をうまく成立させていました。まさに「わかりあえないことから」始まった対談でした。

 社会が変化し、これからの時代はコミュニケーション能力が必要となります。しかし、養老孟司さんが『バカの壁』で記しているように、人間はお互いに理解しあうことはむずかしい。この本はコミュニケーションは「わからいあえない」ところから始めて、どうにかして共有できる部分を見つけて、それを広げていくことを考えるべきだと言っています。コミュニケーションについての新しい発想を提示しています。示唆に富む本です。

 ただし、私は平田さんの言っていることは教育論としてはわかるのですが、平田さんの演劇が演劇としておもしろいのかと言われると、疑問に感じます。
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