とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『墓泥棒と失われた女神』を見ました。

2024-09-02 18:37:12 | 映画
数年前『幸福なラザロ』という映画を見て、その不思議な展開に衝撃を受けてこの監督の作品を見てみたいと思っていました。そのアリーチェ・ロルバケルが監督・脚本を手がけた映画『墓泥棒と失われた女神』を見ました。現実と幻想が溶け合った不思議で刺激的な映画でした。

主人公の青年は古代の墓のありかがわかるという超能力がありました。その力を発揮して古代の墓のありかを探り当て、その中にある埋蔵品を掘り起こすことを「仕事」にしていました。もちろん違法であり、警察から追われることもあります。そうしているうちに、巨大でおそらくものすごい価値のある埋蔵品を発見します。そこから青年の人生は大きく動きはじめます。

不器用な青年の生き方が丁寧に描かれます。それがこの映画の柱になって、青年を追い求めます。途中で不思議な場面があるのですが、それがラストシーンの伏線になっていて、ラストシーンで「やられた」と思ってしまいました。それがまた、この青年の人生のように感じてきます。

すばらしい映画でしたが、若干わかりにくさもありました。もう一度見るべき映画なのだと思います。



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映画『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』を見ました。

2024-08-23 18:35:32 | 映画
映画『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』を見ました。体調が悪くて今一つ気乗りがしなかったのですが、地元の映画館の上映最終日だったので、無理してみました。前半苦しかったのですが、後半になると感動して涙が出てきました。見逃さずに済んで本当によかったです。

イギリスの人道活動家ニコラス・ウィントンの半生を描いた伝記ドラマです。舞台となるのはチェコとイギリス。第2次世界大戦直前、チェコには多くのユダヤ人難民が逃げてきていました。ナチスの勢いは収まることをしらず、このままでは危険が訪れるのが確実。それを知ったニコラス・ウィントンは、子どもたちをイギリスに避難させる活動を組織します。結果669人の子どもたちを救います。しかし、救いきれなかった子供たちも多く、それが後の彼を苦しめます。

その事実は周りにしられることのないまま、50年ほど過ぎます。ニクラスも過去を整理しながら、捨てるものを捨てて生きていかなければなりません。終活ですね。それがまだ納得しきれません。そこで自分の人生の証として自分の活動を知ってもらおうと努力するのですが、うまくいきません。しかし、偶然が重なり、ニコラスの活動が多くの人に知られることになります。そして助けた子供たちと出会い、感謝の言葉をもらいます。

ナチスの行為は、今のロシアやイスラエルと重なります。ユダヤ人の恨みが、今のイスラエルを作っているのかもしれません。皮肉です。しかし憎しみの連鎖は終わらないことをしめしています。その時こそ、憎しみを超えた善意を心に刻んでいくことが必要なのだと思います。
 
人間の善意の大切さを改めて思い知らされました。
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映画『ホールドオーバーズ』を見ました。

2024-08-20 19:01:53 | 映画
1970年から1971年にかけてのクリスマスホリデイに、事情があって家族のもとに帰ることができず、寮で過ごさざるを得ない犯行気味の高校生と、嫌われ者教師の交流を描くアメリカ映画『ホールドオーバーズ』を見ました。正直期待せずに見に行ったのですが、アメリカ映画の良心を感じさせる切なく温かい映画でした。

生真面目でがんこもので学生や同僚からも嫌われている教師ポールは、クリスマスホリデイに家に帰れない学生の監督役を務めることになる。その役割も校長から罰として与えられたもので、しかもその校長は、ポールの若いころの教え子なのである。家に帰れない学生はアンガス。母親が再婚したために休暇の間も寄宿舎に居残ることになるのだが、アンガスには納得できない。これは観客も同じだろう。心が荒れてもしょうがない。そしてもうひとり、寄宿舎の食堂の料理長として学生たちの面倒を見るメアリーの3人だけがクリスマスを寄宿舎ですごすことになる。メアリーは一方で、自分の息子をベトナム戦争で亡くしている。

この先の展開が1970年代のアメリカ映画を思い出させるのだ。ベトナム戦争を背景とし、心のつながりの大切さを訴えるのである。だめな人間なんかいない。助け合い、ともに生きて行くことの意義を感じるいい映画だった。

メアリー役のダバイン・ジョイ・ランドルフが第96回アカデミー賞で助演女優賞を受賞した。
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映画『時々、私は考える』を見ました。

2024-08-09 06:08:22 | 映画
映画『時々、私は考える』を見ました。人間の不器用さとその苦悩、そして前に進ませる力を温かい視点で描いています。多くの人が共感する映画だと思います。

自閉症傾向がある女性フランは、人付き合いが苦手で友達もいません。職場でもひとりで黙々と仕事を続けています。不思議な陰湿な妄想を繰り返しています。ロバートという気さくな男性が新規に働きはじめます。ロバートとの交際が始まり、フランの日常が変化し始めます。

フランは本当によくいるタイプの人間に見え、私自身にもそういう傾向があるなと思って見ていました。気さくな性格の人も多いければ、自分に閉じこもりがちな人だってとても多くいます。みんなそんな自分となんとか折り合いをつけながら毎日生きています。この映画を見ていると、みんなが心のうちでは苦しんでいて、それを分かち合いたく思っているのだと感じます。

監督は2023年インディワイヤー誌の「注目の女性監督28人」に選出されたレイチェル・ランバートという人だそうです。今後注目です。

決して派手さはないのですが、心にしみてくるいい映画でした。
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映画『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』を見ました。

2024-08-01 07:22:39 | 映画
月面着陸を果したアポロ11号の月面の映像は、倉庫内のスタジオで撮影していたのかもしれないという発想で作り上げた映画『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』を見ました。懐かしくなるくらいアメリカ映画の伝統が生かされたおもしろい作品でした。

昔『カプリコン1』という映画があり、実は宇宙の映像はスタジオ内で作ったのかもしれないという疑いが多くの人の頭の中に植え付けられていたと思います。『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』の中でも冷戦の中で国家の威信が最優先される姿が描かれていました。しかし、やはり人類の夢は国家の威信に優るという作品の描き方は、アメリカ映画の王道です。爽快感があります。

誰もが知っているアポロ11号の月面着陸という歴史を描きながら、そこの国家戦略もからませると同時に、恋愛を描き、そして個人の成長をも描いていきます。うまく構成されていました。作品の落ちも、その伏線の張り方も、見え透いていて安直ではあるのですが、それもまたほほえましい。

ただし、主人公の女性がうそしかつけないという人物造型が、ちょっと安直すぎるのかなという気はしました。人物造型は作品の肝なので、ここは丁寧につくりあげてほしかったという気がしました。

エンタテイメント性の高い、誰が見ても楽しめる良質のアメリカ映画でした。
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