大学入試改革で国語の記述式の導入は今の状況では私も反対である。この理由はこれまでもここで書いてきている。しかし共通一次以来のマーク式問題も国語力をゆがめているのも現実である。次のステージに行かなければならない。
共通一次以前の国語の問題はひどいものが多かった。昔、国語の問題を批判するときに「『作者の考えを述べよ』なんて問題わかるはずない。」と言われた。現在そんな問題はありえない。しかし昔はあったのだ。教師の勝手な解釈を生徒に押しつけるような問題があった。あるいは重箱の隅を楊枝でほじくるような問題も多かった。共通一次以降も私立大学の問題などではひどい問題もあったが、徐々に減ってきた。だから共通一次やセンター試験は一定の役割を果たしてきた。
しかし、センター試験の問題も近年難しすぎるものもたびたびある。平均点が110点を下回る時はたいていひどい。特に評論問題は文章自体が難解すぎて何を書いているのかわからない。さらに選択肢が紛らわしく、国語力と全く関係ない力を見ている試験になっている。もはや読解問題ではないのだ。
記述式試験導入に反対する立場の人で、「センター試験はいい試験だ」と言っている人がいる。その方は本当にセンター試験を解いているのだろうか。センター試験がいい問題だとはとても思えない。2013年、2014年、2017年の問題をぜひ見てもらいたい。これらが的確に国語力を見るテストだと言えるのだろうか。
もちろんだから新テストの記述式に賛成だと言っているのではない。多くの問題があり、来年度からの実施はやめるべきだ。しかし、だからと言って国語のセンター試験がいい試験だというのは愚かだ。冷静に議論することが大切なのだ。