舞台『星の降る時』を見ました。家族の絆の強さと、そのもろさ危なさを同時に描く名作でした。
作者はベス・スティールというイギリスの劇作家のようです。演出は栗山民也。出演は江口のりこ / 那須凜 / 三浦透子 / 近藤公園 / 山崎大輝 / 八十田勇一 / 西田ひらり / 佐々木咲華 / / 秋山菜津子 / 段田安則。幅広い年代の役者がそれぞれ素晴らしい演技をしていました。
年老いた父親と三姉妹の家庭の物語です。ただし次女は一人で暮しています。長女は結婚し、夫と娘二人が一緒の家に住んでいます。きょうは三女の結婚式です。三女はポーランド出身の男と結婚するのです。三女以外の家族はポーランド人に対する偏見をもっているようです。
話が進む中、いろいろな家族の問題が見えてきます。長女の夫が次女と愛し合ってしまうのです。そこには長女夫婦の性的な関係、そして夫の仕事の問題が絡んでいます。次女は次女で何度も結婚と離婚を繰り返しています。そして三女は何か自信なさげです。
結婚式は途中から異様なものになり、最後はぶち壊されます。そこには登場人物たちの問題が集約されていたのです。
この作品にはポーランドからの移民との結婚という社会的な背景が描かれています。その背景のもと、家族の危なさが描かれて行きます。家族はとても密接な関係になります。その密接な関係が不倫を生み、憎しみを生みます。しかしそれでも密接な関係は離れがたいという宿命から逃れられません。脚本も演出も、そんな家族の関係を見事に描いています。
近年、日本でも海外の作品が上演される機会が増えているように感じられます。やはり舞台脚本の質は、海外のほうが高いのかもしれません。脚本家の地位が確立していることが大きな原因なのかもしれません。