とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

「山月記」の授業実践記録6(「古譚」の他の作品との比較)(8,9、10時間目)

2016-08-01 16:14:56 | 国語
【目的】
 「山月記」は『古譚』という短編連作の中の1つの作品である。『古譚』は4つの作品で構成されています。他の3作品のタイトルは「狐憑」、「木乃伊」、「文字禍」です。短編の連作なので、全体としてひとつのテーマがあるのではないかと考えられます。これらの『古譚』のそれぞれの作品に共通するテーマを探ることによって「山月記」における作者の主張を考えてみることを目的とします。

【準備】
1.3つの小説をプリントに印刷します。A3の用紙で両面印刷した場合、どの小説も1枚に収まりました。

2.ワークシートの準備。(以下の項目)
  ・作品名
  ・あらすじ
  ・「山月記」との共通点
  ・『古譚』の4作品の共通点
  ・ふりかえり

3.『古譚』の3作品のあらすじプリント

【方法】
〈1時間目〉
 最初に授業の流れの説明をします。

 クラスを3つに分け、それぞれ、「狐憑」、「木乃伊」、「文字禍」読みます。本校では6列に生徒が着席しているので、2列ずつに分けました。そしてあらすじと「山月記」との共通点をワークシートに書き込みます。

〈2時間目〉
 同じ小説を読んだ生徒同士で4人1組で班を作り、班で話し合いをします。(5分)ワークシートの記述をよりよいものに仕上げます。

 班を解体し、「狐憑」を読んだ生徒1人、「木乃伊」を読んだ生徒1人、「文字禍」を読んだ生徒1人、合計3人で新しい班を作ります。

 3人が「狐憑」、「木乃伊」、「文字禍」の作品のあらすじと「山月記」との共通点を発表します。(5分)

 その後4つの作品の共通点を話し合い、ワークシートに記入します。(5分)

 班の代表者が共通点を発表します。

〈3時間目〉
 満足できる発表がでなかったので、「あらすじプリント」を配布し、授業者がもう一度それぞれの作品を解説します。少しわかりにくい小説だったのでここまでの援助は想定していました。

 そこで「4つの作品で共通して失われたものは何ですか。」という質問をしてみます。そしてもう一度各班で話し合います。(3分)

 その結果授業者が想定している「言葉」という答えを、苦労しながらも出してきました。幾分無理やりという印象もありますが、生徒たちはその答えに納得しているようでもありました。

 最後に全体のまとめを行いました。

【ふりかえり 反省 評価】
 『古譚』のそれぞれの作品は短いのですが、筋を追うのがそれほど簡単ではありません。ですから、この授業がうまくいかないのではないかという想定をしていました。案の定、小説のあらすじをとらえることが困難で、その後の作業は滞っているように見えました。

 そこであらかじめ、「あらすじプリント」を作成し、それを用いてあらすじを説明しなおしました。多少強引でしたので、授業者の思惑に誘導するような授業になってしまいました。しかし時間の制約もあり、また新たな読み方を提示するという意図がありましたので、無理やりこちらに意図の方向で授業を行いました。もっといいやり方がないか模索したいと思います。

 生徒の反応に関しては、ワークシートの「ふりかえり」を見る限りおおむね好評であった。いくつか記載します。

 「4つの作品の内容は全然違うのに共通点があっておもしろいと思いました。『山月記』だけ読んでいたらわからなかったことにも気づくことができ、別の視点でよむことのやみ比べることは大切だと思った。」

 「『山月記』や『古譚』の短編小説を読んでみて、とても深いところに作者の意図があったと思った。単純なようで難しく、それでいてとても痛いところを突いてくるなとも思った。言葉は時として人のためになったり、人を傷つけることがあると改めて感じた。」

 「最初はたでおもしろい、不思議だとしか思わなかったが、授業を通じて深く読み進めていったり、他の作品と比べてみると、作者の伝えたかったことやメッセージが込められていることを知り、ただ読むだけじゃだめだなと思った。深く読み考えることで本当の面白さがわかるようになることを知った。」
コメント
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