
映画『フォーチュンクッキー』を見ました。アフガニスタン出身の女性・ドニヤが主人公の物語です。
彼女は孤独で、人付き合いが苦手。さらに不眠にも悩まされています。自分の心が少しずつ壊れていくような感覚に襲われながらも、なんとかそこから抜け出したいと必死に努力します。
ドニヤが考えた方法は、ちょっと奇妙なものでした。勤務先の中華レストランで、フォーチュンクッキーの中に自分の電話番号を書いたメッセージを入れるのです。「誰かとつながりたい」──そんな願いが込められていました。
その結果は、ドニヤの予想とは違う、意外な方向に転がっていきます。でも、それが彼女にとって新たな一歩になるのです。
ドニヤは一見、地味で暗い女性に見えます。でも、少し打ち解けるとその表情には、どこか惹きつけられる魅力がにじみ出てきます。
自閉症的とも見えるような孤立感を抱えながら、行動は大胆。「前を向くしかない」と、自分の力で道を切り開こうとするその姿に、自然と肩入れしたくなってしまいます。
物語の背景には、アフガニスタン紛争という歴史も見え隠れしています。直接的に描かれてはいませんが、彼女の心の奥底には、過去の傷や恐怖が影響しているのだと感じさせられます。
さまざまな事情が絡み合うなかで、それでも前に進もうとするドニヤ。孤独、不安、過去のトラウマ……そのすべてを抱えながらも、必死に泳ぎ続ける姿がいとおしくなる映画でした。
静かだけれど、心に残る一作です。
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