国語の授業で『千と千尋の神隠し』の分析的読解をやってみようと思い、準備しています。キーワードごとに分析していこうと考えています。まだ構想段階ですがメモ的に書いていきます。
5つ目のキーワードは「カオナシ」。
『千と千尋の神隠し』で印象に残るキャラクターの一番手はカオナシでしょう。カオナシは何だったのでしょう。
カオナシが最初に出てくる場面はかなり初めのほうです。千尋がハクとお湯屋に繋がる橋まで来た時、千尋が息をとめながら橋をわたっているときに、カオナシは千尋とハクをじっと見おっくていたのです。
ここで注意が必要なのは、カオナシは透明になりかけていたということです。この世界では人間は透明になります。千尋が透明にならずに済んだのはハクから赤い玉を食べさせられたからです。この意味については今、考えている最中です。いずれにしても人間は透明になってしまう世界だと考えられます。ですからカオナシは人間です。
人間であるカオナシは千尋のことが好きになります。千尋と近づくために欲が生まれ、あらゆるものを「消費」して、どんどん自らを大きくしていきます。おそらく大きくなっていくカオナシはバブル経済を表しているのだと思います。
しかし千尋はそんな幻想を信じていません。カオナシが与える砂金にには興味を示しません。子供は金銭的な欲はありません。しかし人間は大人になるに従ってお金に支配されてしまいます。子供のころは純粋に愛や正義を信じていられます。しかし大人になるとそれができなくなります。千尋は子供だからまだ純粋に愛と正義を信じていられたのです。カオナシは大人です。純粋な心を失い、愛情をお金で考えてしまうのです。
さて、もとに戻ったカオナシは千尋と電車に乗ります。電車は「銀河鉄道」と同じです。死者を運びます。千尋はハクによって戻ってきますが、カオナシはそのまま死の世界にとどまります。