とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

書評『言語学の教室』(西村義樹、野矢茂樹著)

2016-08-30 13:52:50 | 読書
 言語学者の西村義樹氏と哲学者の野矢茂樹氏の対談形式の本です。内容は認知言語学入門なのですが、対話形式のため、素人にもわかるように言語学の歴史にも触れられ、現在の言語学の問題点もあきらかにしてくれます。もちろん野矢さんは素人というにはあまりにも知識もあり、考察力のするどいので、簡単にはついていけませんが、言語学の魅力は十分伝わってきます。さらに学んでいきたいと感じさせる本でした。

 文法と意味の関係。プロトタイプとは何か。使役構文の考え方。メニトミー。そしてメタファー。それぞれが現在の言語学の中でどう考えられているのか、そしてなぜ言語学的に意味のあることなのかが分かりやすく紹介されています。

 言語学は科学でなければいけません。しかし科学的な再現性にこだわるあまり、あまりに範囲を狭めてしまえばそれは言葉を扱う学問ではなくなってしまいます。人間が人間であらしめているのは言葉です。言語学の魅力と難しさを伝える素敵な本です。
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