とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

山形弁の「た」表現

2018-07-29 10:15:23 | 国語
 標準語では「~です」と言うべき時に、山形弁では「~た」という表現をすることがある。例えば電話に出た時、標準語では
「もしもし、山田です。」
と言うはずの場面で、
「もしもし、山田でしたー。」
と言うのである。他県から来た人は、この表現に大変驚くことであろう。

 この表現について疑問には感じていたのだが、まあ単なる方言だと思っていたのだが、最近この表現についてのおもしろい考察を発見した。放送大学の『新しい言語学』の中で類似の表現を説明していたのである。このような表現は「対人配慮(ポライトネス)の『田』」と説明している。現在形で表現すべきところを過去形で表現することによって遠回しな印象を与え、婉曲な表現になるというのである。
 具体例として次のような表現を挙げている。
・ご注文は以上でよろしかったでしょうか。
・(新千歳空港で荷物を預けるとき係員が)乗車券はいけんしてましたー。
・(仙台のホテルで)ドアの内側に非常口のご案内がありましたー。
・(仙台のレストランで)お席でのお会計でしたので、このままお待ちください。
 このような「た」表現は東北や、北海道で少しずつ広がっているそうである。

 長年の疑問が氷解するような納得いく説明だと思うし、また徐々に変化する言葉を感じる案件でもある。方言について興味がわいてきている。
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エアコンの温度

2018-07-27 08:07:52 | お題
 今回エアコンの温度設定の話がでた。官公庁などでは28度設定である。しかしこれは効率が悪い。部屋の中がぬるくなってしまい、かえって不快に感じてしまう人が多く出る。最近では26度設定ぐらいのほうがいいという説も出てきている。いずれもなんの科学的な根拠もないではったりで議論されているように感じられる。私も何の根拠もないのだが、実感としてエアコンの温度設定は26度ぐらいが適温なのではないかと感じている。もちろん個人差はあるのだが、多くの人が快適だと感じるのは26度ぐらいのような気がする。

 去年学校にエアコンをつけるべきだというブログを書いた。その際、電気代ぐらいは受益者負担で生徒負担の形にしてもいいのではないかと書いた。それに対して生徒側が負担するのはおかしいとの反論をいただいた。それはもっともな話ではある。しかし私は自説を曲げるつもりはない。

 学校にエアコンをつけても、予算が限られているのでケチケチ使うに決まっているのだ。28度設定だったり、30度を超えるまでは使用してはいけないとか、いろいろな制約をつけてくるだろう。さらに懸念されるのはエアコンの財源を他の教育予算を削って捻出してくるということである。エアコンをつけたのはいいが、教員の数が減らされるなどということが起こってもおかしくないのだ。行政はこういうことを目に見えない形でやってくる。すばらしい改革の影には、たくさんの犠牲がついてくるのである。そんなことになるくらいならば、冷房費の電気代ぐらいは受益者負担でもいいのではないかと考えるのだ。

 誤解のないように言っておくが、私が言っているのは公立高校の場合である。公立義務教育の状況はわからない。わが県の公立高校では授業料以外でも、授業に関連する必要な経費は集金している。最低限の光熱費は県の予算で賄っているのだが、それでも足りなくて、夏は暑くて冬は寒い状況が続いているのだ。だったら、それにプラスする分は受益者負担でもいいのではないだろうか。それによって快適な学校生活が送れるのならば文句を言う保護者はいないのではないだろうか。

 もちろん、根本の問題は日本の教育予算が低すぎるのということであり、それを改善する必要があるというのは言うまでもない。しかしそんな悠長なことを言っている余裕はない。

 教員の多忙化を解消することもできないのに、不祥事を繰り返す文科省のキャリア官僚を見ていると胸糞悪い。さらには大学入試改革のうさん臭さの影には利権がからんでいるのはもはや明らかである。自分のことだけを考えて、日本の教育のことは後回しにしている文科省の官僚に何を期待すればいいのか。何も期待できない。

 大切なのは現状の改善であり、それを早急に行う知恵である。
 
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劇評『お蘭、登場』(7月16日 シアタートラム)

2018-07-25 15:02:03 | 演劇
作  北村想
演出 寺十吾
出演 堤真一
   小泉今日子
   高橋克実

 北村想は私が30年以上前、一番好きだった劇作家である。とてもいい加減で力が抜けるような脚本に、アドリブだらけのどうでもいい場面が潜り込み、客席からものが飛んできそうなのだが、何かが後に残っている。不思議な作品を数多くつくっていた。今回の作品は往年のそんな作品がよみがえってきた。堤真一と高橋克実のからみは、伊澤勉と小林正和のからみを思い出させた。おもしろかった。

 この作品の中で、こんな内容のセリフが出てくる。
「自殺者数について、ここ10年、連続3万人超とマスコミでも報じられているが、日本には年間15万人ほどの変死者がいる。WHO基準ではその半分を自殺者としてカウントするので、世界基準でいう自殺者数は、3万人+15万の半数で本当は11万人ということになる。」

 「死」は江戸川乱歩のすぐ近くをぐるぐると回っている。乱歩の小説の魅力は見世物小屋に漂う「死」のにおいだ。うさん臭さと「死」がそこには漂っているのだ。

 いい加減でありながら、実はいい加減ではない。そんな不思議な作品だった。

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また出た芸能人バッシング

2018-07-23 15:51:36 | 社会
 剛力彩芽のSNS投稿が話題になっている。また出たか、という感じである。一体なぜ叩かれなければいけないのだろう。こんなことを話題にしなければならない日本人は一体なんなのだろうか。

 剛力さんが一体何を悪いことをしたというのか。悪くないのに叩かれなければいけないとすれば「いじめ」である。これをたたいた連中こそが罪である。

 近年の「いじめ」に近いインターネット上のさわぎは本当に腹立たしい。陰口が表に出てそれを平気でいる状況である。いい加減にしてもらいたい。

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劇評『マクガワン・トリロジー』(7/16 世田谷パブリックシアター)

2018-07-22 10:06:13 | 読書
作:シーマス・スキャンロン
翻訳:浦辺千鶴
演出:小川絵梨子 
出演:松坂桃李、浜中文一、趣里、小柳心、谷田歩、高橋惠子 

 ものすごい作品だった。
 IRAの凶悪な殺人鬼「ヴィクター・マクガワン」を主人公とした3部構成の演劇。3部はそれぞれ独立しており、マクガワン以外の登場人物は異なる。

 1部はマクガワンの凶悪な姿が描かれる。マクガワンはアイルランド独立運動の組織IRAの一員であり、その中でもの特に過激な人物である。「証明」ということばを頻繁に使い、真実を見つけることだけを生きる糧としている。そしてその真実が裏切りなどの罪にあたると証明されれば、マクガワンは情け容赦なく銃を撃つ。若いときは一途である。その一途さがある種の時代やある種の環境の中に放り込まれれば、マクガワンのようになってもおかしくはない。観客誰もがマクガワンに怒りを覚え席を立ちたくなるが、それでもどこかで理解してしまう部分を見つけてしまい、とりあえずは帰らずに席に戻り、2部を見る。

 2部では自分の好きだった女の子を処刑する。ここでマクガワンの心は揺れ始める。本当にこれは正しいことなのか。IRAの論理では女の子は裏切り者であるが、それを処刑する自身の正義が証明されないのだ。自身のこれまでの行いが重くのしかかってくる。正しいと思ってやってきたことが、本当にただしかったのか。

 3部ではマクガワンは病気で寝ている母のもとに訪れる。自分自身の証明が必要だったのだ。しかし母は認知症で、マクガワンを弟と勘違いしている。母はマクガワンの悪口を言い、それをマクガワンを聞きながら、様々な事実を思い知らされる。

 今は信じられないかもしれないが、20世紀の後半、ロックミュージックが本当に「ロック」だったころ、若者は破壊型の人生に憧れた。そしてそれは「破滅」といつも結びついていた。今日のムスリムの一部の過激な人たちの行動とも通じるものがある。

 実はマクガワンは単なる過激な殺人鬼ではない。我々そのものだ。人間が多かれ少なかれだれもが経験する「若気のいたり」なのだ。

 若いことの過ちは誰でもある。そしてその時はその過ちに気がつかない。それは後になって自分を苦しめる。だからと言って若いうちにただ言われたとおりに生きていればいいのか。それは違う。自分の生き方を模索しながら、大きな過ちをしないようにする。それは教え合い、学び合うしかない。私はそれは教育の力だ考える。

 役者はみないい演技をしていた。松阪桃李は3つの作品を一人で演じ分けているようなものであったが見事にこなしていた。もちろんそれを可能にした演出の力もすばらしい。
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