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ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

先週、高分子学会のバイオミメティクス研究会の2014年度講演会を拝聴しました

2014年07月08日 | イノベーション
 先週、高分子学会内に設けられたバイオミメティクス研究会は東京都江東区で、2014年度第一回目の講演会を開催しました。

 “バイオミメティクス”とは「生物模倣」と翻訳される学術分野・工学分野の比較的新しい分野です。生物が本来持つ機能や構造、生産プロセスなどを解析・解明し、人間が省エネルギーなどの低環境負荷性に優れた高機能性などを模倣して実現させる学術領域として注目を集めています。

 たとえば、トンボは直進しながら、進路を急に変更し、軽やかにUターンします。ある大学の機械系の研究者が、トンボを模倣した“ペリコプター”状の飛行体を試作しています。トンボのように小回りでUターンさせることはとても難しい制御技術であることが分かったそうです。

 約4億年前に地球に誕生した昆虫類は、その進化の過程での“偶然と必然”を経て、比較的簡単な制御機能によって、複雑な動きなどを実現しています。約4億年という時間が、昆虫に多様な高機能を与えました。こうしたことを伝える展示会が2014年3月から、国立科学博物館で開催されていました。

 同じ趣旨の展示会は、東京都千代田区にある科学技術館でも開催されていました。



 人類は、昆虫などが持つ、その高機能を発揮できる仕組みの解明を始めています。

 こうした昆虫から学ぶバイオミメティクス系のセミナーは、国立科学博物館や日本科学未来館、北海道大学総合博物館などで時々、開催されています。たとえば、北海道大学博物館では以下のセミナーを開催しています。



 北海道大学博物館はこうした趣旨のセミナーを継続的に開催しています。市民向けのサイエンス・コミュニケーションの一環として実施しているようです。

 バイオミメティクス分野では、昆虫の多様な機能の仕組みの解明を始め、その研究成果も出始めています。

 その有名な事例の一つは“モスアイ”と呼ばれるガ(我)の眼の構造です。ガの眼の表面は、ナノメートルサイズの細かい円柱状のものがびっしりと規則正しく並んでいます。こうした微細構造に、光が入ると円柱状の側面で反射し衰退して、入射した光は反射しません。

 夜、ガの眼に光が入射して反射すると、トリ(鳥)などの天敵に存在場所が知られて、襲われることになります。これを防ぐために進化の過程で会得したようです。

 この細かい円柱状のものが規則正しく並ぶ仕組みは「自己組織化」という現象であることが分かってきました。昆虫をはじめとする生物は、この自己組織化を利用することでいろいろな機能を獲得しています。

 このモスアイ構造を応用し、帝人は液晶パネルの表面に貼る無反射フォルムを開発しています。実際に、液晶パネルにどの程度採用されてるのかは分かりません。今後は昆虫などから学んだ高機能な製品や部品がいくつか出てきそうです。