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ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

産総研ベンチャー企業のライフロボティクスCTOの尹祐根さんにお目にかかりました

2011年10月05日 | 汗をかく実務者
 産総研技術移転ベンチャー企業のライフロボティクス(茨城県つくば市)のCTO(最高技術責任者)取締役を務めている尹祐根(ゆんうぐん)さんに、あるVC(ベンチャーキャピタル)の方を通して、お目にかかりました。尹さんのお名前は英語表記だと、Woo-Keun YOONです。在日コリアン3世のご出身と、補足説明されます。

 尹さんの本業は、産業技術総合研究所の知能システム研究部門サービスロボティクス研究グループの主任研究員です。



 その産総研の研究開発成果を用いて、自分たちで直接、事業化を図るのが産総研技術移転ベンチャー企業の役割です。尹さんがCTO取締役を務めるライフロボティクスは、2007年12月に創業されたそうです。



 現在、身体の上肢に障害のある人向けに小型軽量ロボットアーム(Robotic Arm for Persons with Upper-limb Disabilities= RAPUD)を開発し、その事業化を図っています。「RAPUD」は後に「RAPUDA」と名前を変えています。

 RAPUDAは小型・軽量のロボットアームです。上肢に障害のある方が座る車イスやベットなどの側に置いて、ロボットアームを自分の思うように操作し、モノを取ったり、置いたりするなどの作業をするロボットです。





 RAPUDAの特徴は、アームとハンド(把持部分)自身を合わせた可搬重量(保持、運搬できる物体の重量)が0.5 キログラムで、全体の重量約6キログラム と軽いロボットアームであることです。上肢に障害のある方自身やそのサポートの介助者の方が簡単に運べるようにするためです。「想定ユーザーは筋ジストロフィーや頸椎(けいつい)損傷を負った方々だそうです」。

 尹さんは身体の上肢に障害のある人に実際に購入してもらうためには、価格を100万円以下にすることが必須と考えました。このため、「現在の産業用ロボット(垂直多関節型ロボットなど)などのような頑強な構造のままでは安くできない」と考えました。その一方で、「将来、こうした補助ロボットの安全認証を考慮して設計する必要がある」という。安全認証を取るために、「関節の動きを測るセンサーの2重化や、高信頼性通信の導入」を想定しています。

 軽量でかつ廉価で、安全認証を取るという必要条件を満たすためは以下のような構造を考案しました。アームの“肘”による挟み込み事故を無くすために、屈折する“肘”部分(ジョイント箇所)を無くす構造とし、アームが伸び縮みする直動伸縮機構を採用しました。ロボットアームの自由度は7です。また、操作はゲーム機の入力機などを使えるように設計しました。上肢に障害のある人が、自分の意思で操作できるようにするためだそうです。

 尹さんはRAPUDAを製品化し、身体の上肢に障害のある人に実際に使ってもらうことを考えています。一般的に、産総研の研究開発者の方は、性能最優先で設計化し製品化する方が普通でした。これに対して、尹さんはマーケッティング重視で、売れる製品を考えています(企業では当たり前のことです)。この点が、当たり前とはいえ、新鮮な驚きでした。

 課題は、産総研技術移転ベンチャー企業のライフロボティクスに、事業化経験を持つCOO(最高執行責任者)の方が経営に参加することだと思いました。

ソフトイーサ技術開発部の伊藤隆朗さんから「QUMA」技術開発について伺いました

2011年09月29日 | 汗をかく実務者
 筑波大学発ベンチャー企業のソフトイーサ(茨城県つくば市)の登大遊(のぼりだいゆう)代表取締役にお目にかかった話の続きです。

 2011年7月21日に、ソフトイーサをはじめとする3社は、初心者でもすぐに使える「パソコン向けの3次元入力デバイス技術(開発コード名『QUMA』)を開発中である」と発表しました。このQUMA(クーマ)を適用した最初の製品として「3D(3次元)モーションキャプシャー装置にするとの事業計画を立てている」といいます。

 3Dモーションキャプチャー装置とは、例えば人型の人形の手足を動かしてある姿勢を取ると、パソコン内の仮想空間に作成した“登場人物”が同じような姿勢を取ります。人型の人形を操作すると、登場人物がその通りに動くので、例えばアニメーションやCG(コンピューターグラフィックス)の動画が簡単に制作できるようになります。

 共同開発した3社とは、ソフトイーサと、制作ソフトウエア大手のセルシス(東京都新宿区)、電気通信大学発ベンチャー企業のビビアン(東京都調布市)です。また、一般社団法人の3Dデータを活用する会(3D・GAN)のメンバーもQUMA技術の開発に参画しているそうです。

 今回、3社が共同発表した動機は、3Dモーションキャプチャー装置の製品化にメドをつけたことから、同装置の利用の仕方を説明するビデオ(動画)を編集・制作し、その効果を公開するためでした。そのビデオを「YouTube」などの動画サイトなどで公開し、その装置の効果・性能などを公開するのが目的だったそうです。



 「YouTube」などの動画サイトに公開された同ビデオは相当数閲覧されたそうです。

 QUMA技術を開発している中核メンバーは、ソフトイーサ技術開発部の伊藤隆朗さん、ビビアンの久池井淳さんと栗川洋平さんの3人だそうです。今回は伊藤さんにQUMA技術についてお話を伺いました。



 伊藤さんは現在、ソフトイーサ技術開発部の社員ですが、同時に筑波大学大学院の学生として、研究もしているそうです。

 この3人は、経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA」)が2002年度から始めた通称“未踏ユース”に選ばれていることが共通しています。未踏ユースは、30歳以下の若手の突出したIT開発者を育成する事業として実施された未踏ソフトウェア創造事業で、プロジェクトマネージャー(PM)の下で選ばれた若手が開発資金を受け取って開発目標を達成する委託開発事業だったそうです。
 
 伊藤さんは2006年度上期に、久池井さんは2007年度上期に、栗川さんは2006年度上期にそれぞれ選ばれていなす。この3人はお互いに「かなりできる若手IT開発者と認め合っている仲間」だそうです。「世の中でまだ実用化されていない、直感的、低価格、他用途向けの独創的な3次元入力デバイス技術の開発は面白くてたまらないので、全員が開発に夢中になった」そうです。この辺は、全世界のIT技術者に尊敬されたいという、UNIXのOS(基本ソフト)であるLinux(リナックス)開発の動機と同じです。

 当然、ソフトイーサの登さんも2003年度に未踏ユースに採択されています。筑波大1年生の時に、未踏ユースに採択されたことが大学発ベンチャー企業のソフトイーサ創業のきっかけになったのです。

若手IT開発者のあこがれの存在である、ソフトイーサの登さんにお目にかかりました

2011年09月28日 | 汗をかく実務者
 先日、筑波大学発ベンチャー企業であるソフトイーサ(茨城県つくば市)の登大遊(のぼりだいゆう)代表取締役にお目にかかりました。同社は、2003年に筑波大に入学した登さんが、第三学群情報学類1年生の時に起業した大学発ベンチャー企業として有名です。

 登さんは2004年4月1日に資本金100万円で同社を創立し、代表取締役社長に就任しました。



 筑波大発ベンチャー企業の中では、学生が創業した企業としては第2番目だそうです。

 同社を創業してから7年が過ぎ、同社は少数精鋭の研究開発型ベンチャー企業として順調に成長しています。現在27歳の登さんは、独創的なソフトウエア開発を目指す若手IT開発者などにとってのあこがれの人であり、その生き様が目標にもなっている“伝説の人物”です。

 登さんは、小学生の時に親がゲーム機を買ってくれなかったために、もらったパソコンを用いて、いくつかのプログラミング言語を使ってゲーム系のソフトウエアを自作したそうです。高校生の時には、学校のLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)導入を支援するなどの実績を残し、教師たちに一目置かれる存在になりました。

 高校生の時に、パソコン雑誌などにゲーム系の解説を書き始め、これがきっかけになってゲーム作成用プログラミングの単行本を数冊執筆しました。また、当時出始めたばかりの携帯電話機向けのシェアソフトウエアを書いて、“お小遣い”以上の収入をえました。この収入の一部が、2004年に創業したソフトイーサの出資金の原資となったそうです。

 成績優秀な高校生だった登さんは、いろいろな大学を見学して、設備がそろっている点と、大学教員がいろいろと親身に教えてくれた点が気に入って、筑波大のAO入試(アドミッションズ・オフィス入試)を受けます(筑波大ではAC=アドミッションセンター入試と呼んでいます)。自分の得意技の実力を示し、その審査結果によって合否が決まる入試の方法です。

 筑波大1年生の登さんは、2003年度に経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA」)が2002年度から始めた通称“未踏ユース”の一人に選ばれます。未踏ユースは、30歳以下の若手の突出したIT開発者を育成するために実施された未踏ソフトウェア創造事業です。有名な教授などが務めるプロジェクトマネージャー(PM)の下で、選ばれた若手人材が開発資金を受け取って開発目標を達成する委託開発事業でした。

 2003年12月に、筑波大1年生の登さんは、未踏ユースで開発したVPN(仮想プライベートネットワーク)ソフトウエアの「SoftEther1.0」のβ版を公開しました。翌年2004年3月には「SoftEther1.0」完成版(Linux対応)を公表しました。この「SoftEther1.0」はとても使いやすいソフトウエアだと好評だったことを受けて、登さんは大学の仲間2人と、ソフトイーサを創業しました。

 同社は創業第3期の2006年度から2009年度まで、1億円強の売上高を達成し続けています。税引き後の利益は2006年度から2008年度まで黒字を維持しています。公表されている最新の2009年度は同利益が約1000万円の赤字になっていますが、これは事業投資によるもののようです。

 驚くことは、同社の役員3人と従業員の総数は、2010年3月時点で10人と少数精鋭です。「つい最近1人減って、9人になった」と、登さんはいいます。闇雲に従業員を増やすという成長路線を採っていないそうです。

 日本の若手プログラマーなどにとっては、同社はあこがれの存在ですが、原則、求人募集をしていないそうです。「入社志願者は確かにたくさんいますが、入社してほしい人物と、入社希望者の資質の差が大きい」とのことです。この点から、同社は未踏ユースなどで育成された、飛び抜けて優秀な若手IT開発者だけが集まる場であり続けることが成長戦略になっているようです。

半導体ベンチャー企業のロジック・リサーチの土屋忠明さんにお目にかかりました

2011年09月16日 | 汗をかく実務者
 2001年1月に創設されたイノベーション・エンジン(東京都港区)はベンチャーキャピタル(VC)です。ベンチャー企業などの未上場会社と上場会社の一部が手がける先端技術事業への投資事業を展開しています。「日本にとって重要な先端技術分野の新規事業を育成する投資事業を中心に展開していることが特徴であり、存在意義になっている」と、代表取締役の佐野睦典さんは主張します。

 イノベーション・エンジンは2001年9月に「クリティカル・テクノロジー1号投資事業有限責任組合」を設立し、総額40.2億円を先端材料やエレクトロニクス、メカトロニクスなどの事業を展開するベンチャー企業に投資を始めています。その後、2005年8月には「先端技術産業創造投資事業有限責任組合」を設立し、総額22.5億円を投資するなど、投資事業を展開しています。

 その佐野さんから「投資先のベンチャー企業が興味深い事業プランを考えたので、その社長に会わないか」とのご連絡をいただき、出かけました。



 今回、お目にかかったのは、ロジック・リサーチ(福岡市)の代表取締役の土屋忠明さんです。



 お目にかかってお話を伺うと、2009年に福岡市で一度お目にかかったことがあることが分かりました。

 土屋さんの事業モデルは以下のようなものです。半導体は日進月歩のものすごい速さで進化しています。このため、例えばFA(ファクトリー・オートメーション)システムを構成する装置・機器向けの半導体部品は、だいぶ以前の半導体のデザインルールで設計し、生産したものを組み込んで現在も使い続けています。こうしたFAシステムを用いて、ある部品や製品を生産する事業を継続している製造業が、現在でも少なくからです。こうした装置・機器向けの半導体部品が故障した場合を想定し、少量ですが当該半導体部品のスペアが用意されています。

 多少、時代遅れになったFAシステムの装置・機器向けに用意された半導体部品のスペアはあまり売れなくなると、追加品をつくっても儲からないので生産中止になります。ところが、多少時代遅れになったFAシステムの装置・機器向けを使い続ける製造業の企業もあります。生産中止品の半導体部品は究極の多品種少量品になります。

 日本でも、今後はこうした半導体部品の生産中止品が増えるとみられています。日本でのルネサス エレクトロニクスの誕生や、米オン・セミコンダクター(ON Semiconductor)による三洋半導体の買収、ロームによる旧OKIセミコンダクタの買収などと、半導体の事業統合やM&A(合併や買収)が加速しているからです。半導体メーカーの生産ラインの統・廃合や半導体製品の絞り込みによって、生産中止品が増えると、その当該半導体部品を使い続ける企業が困ります。

 こうした状況で、日本での生産中止品の再生産に乗り出す企業として名乗りを上げたのが、ロジック・リサーチです。これまで当該半導体を生産していた半導体メーカーから生産中止品の設計データ(IP、半導体回路データ)の提供を受けて、より微細なプロセス用のデザインルールに設計し直すことで、低コストで再生産する事業を提案しています。

 例えば、デザインルールが1ミクロンルールで生産していた半導体チップを、0.25ミクロン用に設計し直せば、チップ面積を大幅に縮小できます。また、複数の品種を1枚のウエハー上に形成するMPW(Multi Purpose Wafer、マルチ・パーパス・ウエファー)方式を採用し「多品種少量品でも低コストに再生産できる」と、土屋さんは主張します。

 このロジック・リサーチの生産中止品の再生産の取り組みは、まだ構想段階です。日本国内で、半導体部品の生産中止品への対応が次第に増えそうな事態に対して、注目されそうです。
 
 事業収益性を高める構造改革を推し進めたい国内の半導体メーカーにとっても、生産中止品をサポートする企業の存在は貴重になります。こうしたサービスを利用することで、国内半導体メーカーが採算性の低い半導体部品を生産中止にできれば、収益性の高い製品に事業資源を集中できる可能性も高まるからです。日本の半導体メーカーの再編・再統合につながり、国際競争力向上になります。この結果、従業員の雇用も維持できます。

 昨日、国内大手の半導体メーカーのエルピーダメモリがDRAMの生産を子会社の台湾企業中心の生産体制に切り替えるという新聞記事が出ました。日本で生産する半導体部品を増やす点でも、ロジック・リサーチの生産中止品の再生産の取り組みは重要になります。

 土屋さんが半導体業界の“坂本龍馬”になれるのか、今後も注目し続けたいと思います。逆に言えば、「既存企業の半導体メーカーの経営陣は頭がかたく、リスクを取らない」と陰口をささやかれ続けていることへの、対応がどうなるのかを、ウオッチし続けたいのです。

天才プログラマーのお二人に先日、お目にかかりました

2011年09月07日 | 汗をかく実務者
 少し古い話ですが、2011年7月21日に筑波大学発ベンチャー企業のソフトイーサ(茨城県つくば市)は、「開発中の『QUMA』(クーマ)技術を応用した 3D モーションキャプチャ装置を公開」と、発表しました。専門誌・専門Webサイトは多くの記事を掲載しました。

 現在、QUMAは専用のWebサイトが設けられています。



 このプレス発表文の中で「QUMA 技術および応用製品の研究開発は、ソフトイーサ、株式会社セルシス (東京都新宿区、代表取締役 野崎慎也) および電気通信大学発ベンチャー企業である 株式会社ビビアン (東京都調布市、代表取締役 久地井淳) と共に、2009 年度から行ってまいりました」とありました。知っている人物の名前が載っていたので、連絡を早速、取ってみました。

 発表資料の中に登場する、ビビアン代表取締役の久地井淳さんが顔見知りです。



 ソフトイーサ代表取締役の登大遊さんの親友です。お二人は、経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が「スーパークリエーター/天才プログラマー」などの天才と認定した、天才仲間です。同機構が薦める未踏IT人材発掘・育成事業の中で「ソフトウェア関連分野でイノベーションを創出することのできる優秀な若手人材」として、久地井さんと登さんは“スーパークリエーター”などに選ばれました。登さんは2004年に選ばれました。

 情報処理推進機構は、日本のIT(情報技術)産業の発展を目的として2004年に設置された独立行政法人です。その前身は1970年に設立された特別認可法人「情報処理振興事業協会」です。

 数年前にお二人にお目にかかった時は、久地井さんは東京工業大学大学院イノベーション・マネジメント研究科の大学院生、登さんも筑波大学大学院システム情報工学研究科の大学院生でした(ソフトイーサの代表取締役も務めていました)。

 今回、久地井さんの親友の西尾泰和さんともお目にかかりました。



 西尾さんは実は一番お若いのですが、2003年に情報処理推進機構が“スーパークリエーター”に選らんだ第一号の天才です。現在、某IT企業の研究所に勤務されています。24歳で、奈良先端科学技術大学院で博士号を取った天才です。久地井さんと登さん、西尾さんはお互いにできるやつと認め合っている天才仲間です。

 久地井さんと西尾さんのお二人との話で興味深かったのは、スーパークリエーター仲間で1年に数回、開催する“開発合宿”のエピソードです。ここではノート型パソコンを取り出すことは厳禁なのだそうです。合宿中にパソコンを使い出すと、各人がパソコンにめり込み、話をしなくなり合宿にならないからです。

 合宿での最近の流行は、工作キットなどの組み立てだそうです。手作業によるハードウエアに強くなれば、ソフトウエアにも強いスーパークリエーターが誕生します。ハンダなどの手作業の技などに賞賛の声が上がるそうです。天才の合宿は、凡才の私には想像もつかない内容です。この話の続きはその内に書きたいと思います。