ただでさえ毎日ぎりぎり状態で世界を体験しているところ、
同じようにいっぱいっぱい状態の子供のサポートをする。
自らをHSPとするエレイン・アーロン氏の手記を読んでいても、
HSPにとって子育てというのは、かなり大変なことなんだなあ、
というのが分かります。
感情をぶちまける子供と四六時中顔を突き合わせ、
ひとつひとつの発露が強烈に突き刺さり、
子供の言動や仕草のひとつひとつを読み取り、
子供に接する自分の態度のひとつひとつに思いをめぐらせ、
こんな風に振舞うこの子はこれから大丈夫なのだろうか、
自分がこんな風に接してしまったら、
のちのちこの子は大変なことになるんじゃないかと不安感は高まり。
しかも子育て中は、自ら息を吹き返す頼みの綱「一人の時間」も、
そうそう手に入りません。
アーロン氏、息子さんがまだ小さかったころ、
台所に玩具を散りばめ、自分は冷蔵庫の上!で、
本を読んだり書いたりと「自分の時間」をとるようにしていたといいます。
囲いをして玩具を与えておいたらすぐに飽きてしまうけれど、
台所を自由に行き来できるようにしておけば、
少しまとまった時間一人で遊んでくれんたんですとのこと。
高いところからなら、端々まで目が行き届きますしね。
それでも、アーロン氏をはじめ、HSPでありながら、子育てを通し、
かけがえのない体験を積み重ねることができたという声が、
いくつか紹介されています。
たとえば、
「子供をもつまで引きこもりがちな私を、
世界に存在し続けるよう強制してくれた。
そしてそれは、人生が変わる体験でした」
子供という存在は、より多様な人と合い、より多様な出来事へと連れ出してくれます。
私も子供という存在がなかったら、どうしてただろうと思うことがありますが、
もっと観念的な世界のみに生きていたでしょうね。
「子供は師なのだと学んだ」
自分を育てることなくして、子育てはまわっていきません。
そして子育てに大切な「過保護過干渉強制と突き放し無関心の間を行き来するバランス」とは、
まさしく自分を育てるバランスでもある、そうつくづく思います。
それでは今日は、HSPがHSCを育てるメリットをざっとまとめます。
1.子供の体験を理解できます
子供が場や人に慣れるのに時間がかかるのも、服のタグが気になるのも、相手の表情に感じ入るのも、映画の効果音が低くなったとたん部屋から逃げ出すのも、感情レベルでよーく分かるんですよね。
2.HSPやHSCといった特性の不利点への現実的な対処法を持っている
ずっと付き合ってきた特性ですから、この特性を持ちながら、どうハッピーに生き抜いていけるかを伝えていけますね。また、子供に伝え用という気持ちから、自らがハッピーに暮らすスキルを磨き続ける動機も高まります。
3.自分を好きになることで子供の自己肯定感を上げることができる
「HSPやHSCにとって、自己肯定感を高めることは容易ではありません。それでも、あなたがセンシティブである自分を尊ぶことができるとき、子供は、そうした解毒剤を、息を吸うようにすっと取り入れていきます」
確かに。自らに根ざす特性を忌み嫌うのではなく、誇りにさえ思うなら、その特性を受け継ぐ子供も自信を持てますね。
4.HSCが熟考する質問の答えを知っていたり、考え込む気持ちがよく分かる
大きくなるほど、会話もできるようになりますからね。同じような興味や深みをシェアでき、楽しいでしょうね。
5.調度いい声のトーンや言葉の強さを持っている
「センシティブな人は、より小さな声で穏やかに、声のトーンや質問や、沈黙の用い方に注意深くコミュニケートしがち。仕草や、ニュアンスや、ヒントも理解できます。ですから、良くも悪くも、互いに思うことをとてもよく理解できるんです」
長々と言葉で表さなくても、表情や、一言で伝わる場合も多いですね。
我が家の場合は、人数も多く、常にその時の気分も様々な人間が入り交ざりますから、周りに行きかうトーンや言葉がその時の自分に「調度いい」といかない場合もよくあります。「ちょっと今の僕・私にはきつ過ぎる」と感じるようなら一人になれる、そんな空間が大切かなと感じています。
「時に声を荒げての怒鳴りあいも起こるでしょう、それでも、互いにそれを望んではいません」
よく分かります。我が家も、ときに声を荒げてのいい合いになりますが、お互いに、好きじゃないんですよね。「同じ内容、こんな興奮して声を荒げなくても、話し合えたよね」とティーンの子達と、しみじみ言い合うことがあります。
6. 食べ物や、美学や、レジャーをどう過ごすかについて興味や趣向をシェアできる
「世代によって好みは変わってきますが、多分あなたとHSCは、様々な面の好みに、より同意するでしょう。」
ハイリーセンシティブな人は、目新しい食べ物をどんどん取り入れるより、同じ種類のシンプルなものを毎日繰り返し食べるのを好む、というような記述をいくつか目にするんですが、そのため、HSPの親とHSCが食べ物についてもめることも少ないとのこと。レジャーは、刺激にあふれた場を飛び回るより、ゆったり本を読んだりビーチを歩いたりとすることを互いに好むということのようです。
美については、我が家で言うなら、身の回りのあちらこちらに美を見出し、うっとりと感じ入る時を共有できるのは、嬉しいですね。
のちほど、「HSPの親がHSCの子育てで気をつけたいこととは?」
についてまとめていきますね。
みなさん、新しい週、よい日々をお送りください!
参考資料:『The Highly Sensitive Child』by Elaine N. Aron P. 90- 96