ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその304-人生タクシー

2018年02月21日 | アジア映画
未知の国イラン。

イラン。
遠い日本からは、その実情がつまびらかではない。
イラン映画と言えば「桜桃の味」に代表される、アッバス・キアロスタミが有名であろう。
今回紹介する映画は「人生タクシー」イランの名匠、ジャファル・パナヒ監督の映画である。
ストーリーを紹介しておこう。

パナヒ監督は、政府から映画撮影を禁止され、素人タクシーで道路を流している。
彼のタクシーは乗り合いで、複数の他人を乗せ、目的地に届けている。
タクシーには、様々な人間が乗りあう事になる。
女教師、金魚を泉に返すため乗った忙しい老婆達、そして自分の姪。
様々な人間から現代のイランの内情がつまびらかになっていく......

ストーリーはないに等しい。
乗客の口から、イランに対する不満等々語られるだけの映画である。
よって台詞は多い。台詞だけで成り立っている映画である。
カメラも車内に設置された一台で基本的に映像を撮っている。
この映画はイランの人々の心情吐露で構成されている。
平和な日本にいると、想像も出来ないことが、イラン社会ではマジョリティとなっている。
監督の、運手するタクシーに乗ってくる、乗客の言葉を信じれば、日本では計り知れない人権的重圧があるのだろう。
映画としては、賛否分かれるだろう。
私は、映画の完成度は驚くほど良いものとは言えない。ただ、伝えたいメッセージを伝えるのにはその役をはたしていると思う。
自由な表現、日本ではあたりまえに市民権を持っているものが、イランでは、真っ向から否定されている。
その実情を知るだけでも、観る価値はあると思う。

2015年、イラン製作、カラー82分、第六十五回ベルリン映画祭金熊賞、監督:ジャアファル・パナヒ

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