ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその297-人魚姫

2018年01月10日 | アジア映画
チャウ・シンチーの独特の世界を感じられる一本。

環境破壊。
今、世界中が注目する現象である。
私が幼い頃には、排気ガスが元の「光化学スモッグ」や、廃棄物が元の「ヘドロ」などの環境破壊が、日本でも話題に上がった。
最近では、中国の「PM2.5」が記憶に新しい。
人間の生活が豊になるにつれ、その憂いを受けるのは自然環境である。
人類の発展と、自然界の発展はシンクロできないものであろうか。
今回紹介する映画は環境破壊をテーマにした「人魚姫」。このブログでも以前紹介したことのある、喜劇役者兼監督チャウ・シンチーの作品である。
あらすじを紹介しておこう。

香港の若手実業家、リウは、大金を投じ、海岸の土地を買う。
その土地を埋め立てて、リゾート施設を作り、大儲けを企んでいる。
しかし、その海には、魚屋、人魚が住み着いていて、本来なら埋め立て禁止地の地区だ。
だが、このビジネスに投資した会社が、魚類を近づけない周波数を発信する「ソナー」をその海に設置し、魚類を一掃してしまった。
当然のこと「人魚」達も苦しめられ、それに憤慨した人魚が、リウを暗殺するように、刺客を立てた。
それは「シャンシャン」と言う女性の人魚で、特別の訓練を受け、リウ暗殺の為、彼に近づく。
計画はまんまんとはかどり、シャンシャンはリウを暗殺できる段取りになったのだが......

この映画は、前半、チャウ・シンチーのいつもどおりの笑いのシークエンスが続き、ちょっと期待はずれだと思った。
そして、後半も大体結末までのシークエンスが見通せる、彼にしては「駄作」の部類に入る作品だと思った。
しかし、後半は、私の推測を大いに裏切り、彼独特の「愛」の世界を展開してみせた。
見事である。
チャウ・シンチーは、やはり「愛」の描き方が、アジアのティストではない。
ヨーロッパ映画に近い描き方に、彼の才能が稀有であることがわかる。
今まで何本も、チャウ・シンチーの映画を観たが、その作りは安定期にあるといえるだろう。
観る方によっては、チープに映る彼の作品だと思うが、私にとっては、お勧めできる作品だと思う。
余談だか、劇中、前半には香港の監督、ツイ・ハークも出演している。

2016年 中国製作、2017年日本公開、カラー、93分、監督:チャウ・シンチー

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