ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその372-すれ違いのダイヤリーズ

2019年08月19日 | アジア映画
日記が結ぶ愛。

人は劣悪な環境に置かれたとき、どうやって「希望」見つけるのだろうか。
たった一人では戦えるはずもない。
誰か助けが必要である。
または、助けになる物が必要である。
人はそれらを味方に、逆境に立ち向かうのだ。
今回紹介する映画は「すれ違いのダイアリーズ」
劣悪な水上分校に送られた、教師の物語である。
ストーリーを紹介しておこう。

エーンは都会の学校に努める女教師、彼女は右手に彫ったタトゥーについて常に校長から責められていた。
彼女はそれでも頑なに、タトゥーを消そうとはしなかった。
業を煮やした校長は、彼女を劣悪な環境の水上分校に赴任させる。
そして一年後、エーンがわけあって水上分校を後にした時、ソーンと言う体躯教師志望の男性が好調を訪ねる。
体育教師の枠は一杯で、そのかわり水上分校の教師なら雇っても良いという。
なにか職に就きたかった彼は、考える暇もなくそのオファーを受け入れる。
希望を抱き、水上分校へと赴いたソーンだったが.......

ソーンはとても不器用で、生徒たちからもなかなか好かれない。
そんな折、彼は前任のエーンが書き残していった「日記」を見つける。
それを通してソーンは、エーンに憧れと愛を次第に感じて行く。
日記に励まされたソーンは、やがて生徒たちにも好かれ、教師としての自信も身に着ける。
一方エーンは、ヌイと言う昔からの恋人にプロポーズされ、水上分校を後にした。
彼女は都会の学校に教師として勤め、彼氏からの願いで、タトゥーも消してしまった。
しかし彼女には、都会の学校に無機質さを感じており、水上分校に郷愁の念さえ抱くほどだった。
果たしてソーンとエーンの未来はどうなるのか、観客は心おどらせることだろう。

この映画の見事なところは、フラッシュバックの手法だろう。
全くここぞというときに、この手法を使って映画に奥行きを出している。
そして、エーンとソーンの同じ時間をパラレルで作るカットバックの手法、これも実に見事である。
それに加え、カメラのアングルの緻密さにも驚かされる。
映画全体がけれんに満ちて、良い意味で映画たらしの作り方だ。
ラスト近く、二人にがすれ違うあたりの作りのうまさ、そしてラストの何とも言えぬ暖かい終わり方。
まさに近代稀に見る傑作と言えるだろう。
是非観ていない方には、観ることをお勧めする。

2014年、タイ製作、2016年日本公開、カラー、110分、監督:ニティワット・タラートーン

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