見果てぬ平和 ― 中東の戦後７５年（１８５）

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(目次)

 

第７章：「アラブの春」―はかない夢のひと時（１８）

 

185 シリア情勢：敵の敵は味方か敵か？(２/５)

SDF内の有力な勢力であるYPGはシリア北東部に住むクルド人による軍事組織である。クルド人はシリア、トルコ、イラン、イラク４か国に分布しており民族独立を掲げてそれぞれの政府と対立している。シリア民主軍はスンニ派の世俗軍事勢力として米国、トルコ、サウジアラビアなどが支援しているが、トルコはクルド人の独立運動を警戒してYPGを排除しようとしている。

 

ヌスラ戦線(現ファトフ軍)は国際的テロ組織アル・カイダの流れを汲んでおり、イスラム原理主義、サラフィー主義を標榜する宗教的色彩の濃い勢力である。このヌスラ戦線から枝分かれしシリアとイラクにまたがる国家の建国を宣言したのがＩＳである。当初「イラクのイスラム国(ISI)」を名乗ってテロ活動を展開していたが、２０１３年１２月に米国オバマ大統領がイラク戦争の終結と駐留米軍撤退を宣言すると、活動をシリアにも広げ「イラクとシリアのイスラム国(ISIS)」と改称、さらに２０１４年には「イスラム国（IS）」として独立宣言するまでに強大化したのである。但し国家とはいってもその内情は残虐なテロ集団、夜盗集団であり、ISを国家として認めた国は皆無である。

 

(続く)

 

 

荒葉　一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

ＥＩ世界エネルギー統計(旧BP統計)2024年版解説シリーズ(8)天然ガス5

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0608EiWorldEnergy2024.pdf

 

II. 天然ガス

3．天然ガスの輸出入

(1)2023年の国別天然ガス輸出入量 (続き)

(1-2) LNG

(西欧とアジアがLNG輸入の二大地域！)

a. 輸入量(表http://bpdatabase.maeda1.jp/5-T01a.pdf参照)

2023年のLNGの貿易量は5,487億㎥であった。国別に輸入量を見ると中国(978億㎥)と日本(903億㎥)が1位と2位を争っている。これに次ぐのが韓国の606億㎥、第4位がインドの310億㎥である。上位4位まではアジア諸国であり、世界全体に占める割合は51％に達する。5位以下10位までの国とその輸入量は、5位フランス(307億㎥)、6位台湾(274億㎥)、7位スペイン(249億㎥)、8位英国(194億㎥)、9位イタリア(163億㎥)、10位タイ(161億㎥)である。

 

上位10カ国はいずれもアジアまたは西欧の国家である。これら両地域は天然ガスの大きな消費地域である。特に西欧については有力なガス生産国であるロシアに対する経済制裁により同国からのパイプラインによるガス供給が途絶し、代替策としてLNG輸入を促進していることが原因である。北米大陸3カ国(米、カナダ、メキシコ)はガスの有力な消費地であると同時に米国とカナダは一大生産地でもあることからパイプラインによる貿易が主流を占めている。

 

(米国は世界一のLNG輸出国！)

b. 輸出量(表http://bpdatabase.maeda1.jp/5-T01b.pdf参照)

2023年のLNG輸出量が最も多いのは米国の1,144億㎥である。全世界(5,492億㎥)の21%を占めている。2位、3位はカタールとオーストラリアの1,084億㎥及び1,074億㎥であり両国の差はわずかである。4位はロシアでその輸出量は427億㎥、5位はマレーシアの363億㎥である。5位以下は輸出量が200億㎥未満であるが、10位までを列挙すると、アルジェリア、ナイジェリア、インドネシア、オマーン及びパプアニューギニアである。

 

(続く)

 

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