石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

巨額の利益、Exxon197億ドル、アラムコ424億ドル:2022年7-9月期石油企業決算速報 (14)

2022-11-28 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0570IocAramco2022-3rdQtr.doc.pdf

 

III. 過去2年間の四半期業績推移(続き)

4.キャッシュフローの推移(続き)

(IOCの2~4倍に達するアラムコの財務C/F!)

(3)財務キャッシュフロー(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-74.pdf 参照)

(注)ExxonMobilは8期連続の投資C/F不詳、chevronは2020年10-12月期及び2021年1-3月期不詳。)

 ExxonMobil及びchevronを除く2020年10-12月期財務C/Fは、アラムコが▲131億ドルと最も多く、Shellは▲53億ドル、bp▲31億ドル、TotalEnergiesはプラス57億ドル(即ち返済が新規借り入れを上回った)であった。

 

2021年7-9月以降アラムコの財務C/Fは高水準が続いており、前期(2022年4-6月期)はIOC各社とは4倍以上の大きな格差がある。今期(7-9月期)はShell, bp, TotalEnergiesおよびchevronのIOC4社はいずれも▲90億ドル台であり、これに対してアラムコの財務C/Fは2倍強の▲216億ドルに達している。

 

(期末残高を積み増すアラムコ、ExxonMobil!)

(4)キャッシュフロー期末残高(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-75.pdf 参照)

(注)chevronは全8期データ不詳、ExxonMobilは2021年10-12月期以降のみ。)

 2020年12月末のC/F残高はアラムコが553億ドルであり、Shellは 318億ドル、TotalEnergies 313億ドル、bp 311億ドルであった。その後これらIOC3社の四半期末残高に大きな変化は無かった。ExxonMobilは2020年12月末の48億ドル以降、111億ドル(2022年3月末)→189億ドル(同6月末)→305億ドル(同9月末)と急激に伸びている。アラムコも2021年6月末以降残高は大きく膨らみ今年3月末には954億ドルに達した。その後減少したものの9月末残高は733億ドルで300億ドル前後で並ぶIOC各社の2倍以上の残高を保っている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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SF小説:「ナクバの東」(55)

2022-11-28 | 荒葉一也SF小説

(英語版)

(アラビア語版)

Part II:「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)

 

55. 悪魔の発明(3)

 

 彼はワシントンの国立衛生研究所に留学し、インフルエンザウィルスの研究に手を染めた。

 

インフルエンザが流行するとそれに対抗するワクチンによって流行は下火になる。しかしウィルスは進化し、ある日ワクチンに対する抵抗力を持った新型ウィルスに変身し、何年後かに再び猛威をふるう。それに対して医学は新たなワクチンを開発する。ワクチンのなかった時代はウィルスも進化することはなかった。いくら広範に蔓延してもいつか人体そのものの抵抗力によってウィルスは次第に繁殖力を弱め潜伏期間と呼ばれる長い眠りにつく。

 

 『ドクター・ジルゴ』はこのように外界の変化に対応して常に進化し続けるウィルスの秘密を遺伝子レベルで解き明かそうとした。解明の結果をユダヤ人の遺伝子操作に応用すればユダヤ人を地上最強の生物に変化させることができると信じたのである。

ただユダヤ人と言っても種々雑多である。ヨーロッパ系のアシュケナジム。イスラム圏出身のミズラフィム。イベリア半島出身のセファルディム。そして自分たちロシア系。さらには失われた十支族の子孫と信じられているエチオピア系の黒い肌のユダヤ人などなど研究対象となる人種は種々雑多である。

 

 何処の出身のユダヤ人を選ぶかでも名声と富を求める『ドクター・ジルゴ』の打算は働く。彼はアシュケナジムを研究の対象に選んだ。アシュケナジムはユダヤ人のエリート集団である。しかし同じユダヤ人の中でもアシュケナジムは他の種族に比べて人口の増加率が低い。アシュケナジムを増加させる遺伝子レベルの方法が発見できれば政府のエリートたちに高く評価されるはずである。彼はそう考えて研究を重ねた。

 

(続く)

 

 

荒葉一也

(From an ordinary citizen in the cloud)

前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html

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石油と中東のニュース(11月28日)

2022-11-28 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

 

(中東関連ニュース)

・イラン:最高指導者の姪がビデオで各国に断交を呼びかけ。本人拘束中

・イラン国会、上海条約機構加盟を批准。欧米の孤立化政策を打開

・アフガニスタン:タリバン政権、公開むち打ち刑を再開

・ベイルート、夜間停電で自警団普及。組織間対立で内戦の様相も

・カタール、ロンドン公共交通機関の広告禁止で対英投資見直しの動き

 

 

 

 

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