石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(11月10日)

2022-11-10 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・US原油備蓄、予想上回る増加で原油価格下落。Brent $94.89, WTI $88.43

(中東関連ニュース)

・イラン、多数の女性ジャーナリストを拘束:国境なき記者団(RSF)

・EU、来週にも対イラン追加制裁

・イラン情報相:内政干渉と英国、サウジを鋭く批判

・スウェーデン首相、トルコ訪問。NATO加盟問題大詰めに

・カタール政府系ファンド、エジプト中央銀行に10億ドル預託

・エジプトで世界最大の風力発電事業:UAEマスダールとエジプト企業が調印

 

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SF小説:「ナクバの東」(50)

2022-11-10 | 荒葉一也SF小説

(英語版)

(アラビア語版)

Part II:「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)

 

50. 長女アナット(2)

 

 今の夫も父親が選んだ男だ。彼は父の部下の中でも抜きん出た優秀なパイロットであり、アナットが年ごろの頃から家に出入りしていた。父親が彼を気に入っていたのはパイロットとしての技量や判断力だったことは間違いないが、もう一つは彼が自分と同じアシュケナジムだったからでもある。

 

『シャイ・ロック』は頑ななまでの血統主義者であった。彼はユダヤ人そのものが人類の選ばれた民であることに揺るぎない確信を抱いており、中でもアシュケナジムこそ「ユダヤ人の中のユダヤ人」だと信じて疑わなかった。彼にとってはスペインからやってきたセファルディム達は一段下であり、イスラム圏出身のミズラフィムは二級市民に過ぎない。1990年代にロシアからやってきたユダヤ人と称する新移民などは、血統主義者の彼から見ればどこの馬の骨か知れない人種である。

 

『シャイ・ロック』達の正統派アシュケナジムは彼らロシア移民たちを『マフィア』と呼んだ。それは得体の知れない者達に対する蔑称であると同時に、彼らの結束力の堅さはアシュケナジム以上のものがあり、そのことに不気味さを覚えたためでもあった。

 

それでも正統派アシュケナジムはアラブ人と同じ肌の色のセファルディムよりも肌の白い『マフィア』達に親近感を覚えるのであった。単純に言えば『シャイ・ロック』にとってユダヤ人の優劣はアシュケナジムーマフィア(ロシア新移民)-セファルディムと言うことになる。ここではパレスチナ人のような純粋のアラブ人など問題外である。彼はアシュケナジムの血統を守ることがイスラエルの将来のために絶対に必要だと信じていた。だから彼は自分の目をかけた青年パイロットを早くから娘の結婚相手と見込んでいた。

 

年頃になったアナットもこの優秀なパイロットに好意を抱いていた。彼女は友人に対して自分は彼に恋をしている、と打ち明けたが、本当のところは打算であり、父親コンプレックスの裏返しであることに彼女自身気付いていなかった。将来を嘱望された士官の妻になれば少なくとも軍隊と言う狭い社会の中にいる限り極めて居心地の良い一生を過ごすことができることは現在の両親を見ていればよく解った。努力や勤勉などと言うものに余り重きを置かないアナットにとって自分の夢を実現する近道は優秀な伴侶を見つけることであった。

 

(続く)

 

 

荒葉一也

(From an ordinary citizen in the cloud)

前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html

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巨額の利益、Exxon197億ドル、アラムコ424億ドル:2022年7-9月期石油企業決算速報 (3)

2022-11-10 | 海外・国内石油企業の業績

I 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2022年7-9月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2022年7-9月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2022年7-9月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(脆弱な体質、売上大幅減少、唯一赤字のbp!)

  1. bp

プレスリリース:

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/third-quarter-2022-results.html

(1)売上・利益・利益率

 bpの2022年7-9月期は売上高578億ドルであった。損益は▲22億ドルの赤字で売上高利益率は▲3.7%となっている。前期は93億ドルの黒字であったが、今期は一転して赤字に転落した。本稿で比較した6社の中では唯一赤字であり、後述する通り同社は前年同期及び今年1-3月期と1年間に3回の赤字決算である。他社が石油価格の上昇と需要回復で大きな利益を確保している中で、同社の不振は際立っている。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは83億ドル、投資キャッシュフローは▲26億ドルであり、また財務キャッシュフローは▲92億ドルであった。この結果、9月末のキャッシュフロー残高は293億ドルとなっている。

 bpの7-9月期設備投資は32億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 bpの7-9月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油96万B/D、天然ガス21億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は132万B/Dである。

bpの原油・天然ガスの生産量は他社に比べてかなり低いのが特徴である。(詳細はII章で詳述)

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                              Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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