はじめに
国内1位、2位の石油企業ENEOSホールディングス(以下ENEOS)と出光興産(以下 出光)の2021年度決算(2021年4月~2022年3月)が相次いで発表された。国際石油企業5社(ExxonMobil, Shell, BP, Total及びChevron、以下メジャーズ)の2021年決算(2021年1月~12月)については既に今年3月に「前年の悪夢から脱した五大国際石油企業:2021年度業績速報」としてレポートした。
本稿はこれら内外6社の決算資料の中から利益、売上高など比較可能な項目を抽出したものである。
メジャーズは四半期決算をメインとし3カ月ごとの数値を公表、第4四半期(10-12月)の決算資料で年間の業績を提示している。これに対してENEOS及び出光の決算期は4月から翌年3月までであり、3カ月ごとに期初(4月)からの累計額を表示している(例えば9月末は4-9月の6か月間、12月末は4-12月の9か月間の累積値である)。
決算期間が3か月ずれているため両者を正確に比較できず、特に一昨年以来のコロナ禍での景気低迷による石油の需要減退と価格下落及びそれに続く需要の回復とOPEC+の生産削減による油価上昇に見舞われ、国際石油企業の業績は売上、利益ともに激しく変動している。これに対して邦系2社はエネルギーの安定調達及び供給という政府の方針に沿って原油仕入れ価格を製品に転嫁することが認められ、さらにガソリン価格が高騰すれば価格差を補填される構造となっている。この結果、邦系石油会社は国際石油企業に比べると変動の少ない決算になっている。
以下の業績比較では両者の間にこのような大きな違いがあることを含んだうえでご一読いただきたい。
なお日本企業2社の決算は円建てであるため、各期の決算付属資料に示された為替レートで換算したドル建て表示で比較しており、2021年(度)の場合はENEOS112.0円/ドル、出光112.4円/ドルである。
メジャー五社、ENEOS、出光興産の決算に関するホームページは下記のとおりである。
ExxonMobil:
Shell:
https://www.shell.com/investors/results-and-reporting/quarterly-results/2021/q4-2021.html
BP:
Total:
https://www.total.com/media/news/press-releases/Results-2020-and-TotalEnergies
Chevron:
https://www.chevron.com/stories/chevron-announces-fourth-quarter-2020-results
ENEOSホールディングス:
https://www.hd.eneos.co.jp/ir/library/statement/
出光興産:
https://www.idemitsu.com/jp/content/100039435.pdf
(続く)
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