スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、bp、TotalEnergies及びChevron)の1-3月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益、売上高利益率、設備投資、キャッシュフロー及び石油・天然ガス生産量について各社の業績を横並びで比較するとともに過去2年間の各社四半期決算の推移を検証する。
なお過去の四半期業績及び2010年から2021年までの通年の業績比較は下記レポートを参照されたい。
http://mylibrary.maeda1.jp/SuperMajors.html
http://mylibrary.maeda1.jp/oil.html
- 各社の業績概要
表1-D-4-22a「2022年1-3月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。
表1-D-4-22b「2022年1-3月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。
表1-D-4-22c「2022年1-3月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。
(売上トップだが利益は3位、キャッシュフロー残高も少ないExxonMobil!)
- ExxonMobil
プレスリリース:
(1)売上・利益・利益率
ExxonMobilの2022年1-3月期は売上高905億ドル、利益55億ドルで売上高利益率は6.1%であった。前期(2021年10-12月期)との比較では、売上高は+6.5%増、利益は▲38%減であり、また前年同期(2021年1-3月期)比では売上高は1.5倍、利益は2倍である。
売上高の増加は石油価格の上昇によるものである。因みに今年1-3月のBrent 原油平均価格は1バレル100ドルを超え、102ドルに達しており前期(10-12月)の80ドルから3割近く上昇しており、また前年同期(61ドル)の7割アップであった。
売り上げ増加に対して利益が減少したのは対ロシア経済制裁に関連しサハリンI原油生産プロジェクトの撤退処理をしたためである(後述参照)。
(2)キャッシュフロー及び設備投資
今期の営業キャッシュフローは148億ドル、投資キャッシュフローは▲39億ドルであり、フリーキャッシュフローは108億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲67億ドルであり、この結果、3月末のキャッシュフロー残高は111億ドルとなっている。
ExxonMobilの1-3月期設備投資は49億ドルであった。
(3)原油・天然ガス生産量
ExxonMobilの1-3月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油227万B/D、天然ガス85億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は368万B/Dである。
(追記)対ロシア経済制裁の業績に対する影響
ExxonMobilはロシアのサハリンI(原油)プロジェクトに30%出資しているが、同プロジェクトからの撤退を表明、欠損評価額として▲34億ドルを計上した。なおこのプロジェクトには日本のサハリン石油ガス開発が30%しているが、同社の株主は経済産業省、伊藤忠商事、石油資源開発、丸紅、INPEXである。
(続く)
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