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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ロシア経済制裁追随でChevron除く4社は深傷:2022年1-3月期五大国際石油企業決算速報 (1)

2022-05-09 | 海外・国内石油企業の業績

 スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、bp、TotalEnergies及びChevron)の1-3月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益、売上高利益率、設備投資、キャッシュフロー及び石油・天然ガス生産量について各社の業績を横並びで比較するとともに過去2年間の各社四半期決算の推移を検証する。

 

 なお過去の四半期業績及び2010年から2021年までの通年の業績比較は下記レポートを参照されたい。

http://mylibrary.maeda1.jp/SuperMajors.html

http://mylibrary.maeda1.jp/oil.html

 

  1. 各社の業績概要

表1-D-4-22a「2022年1-3月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2022年1-3月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2022年1-3月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(売上トップだが利益は3位、キャッシュフロー残高も少ないExxonMobil!)

  1. ExxonMobil

プレスリリース:

https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2022/0429_ExxonMobil-announces-first-quarter-2022-results

(1)売上・利益・利益率

 ExxonMobilの2022年1-3月期は売上高905億ドル、利益55億ドルで売上高利益率は6.1%であった。前期(2021年10-12月期)との比較では、売上高は+6.5%増、利益は▲38%減であり、また前年同期(2021年1-3月期)比では売上高は1.5倍、利益は2倍である。

 

 売上高の増加は石油価格の上昇によるものである。因みに今年1-3月のBrent 原油平均価格は1バレル100ドルを超え、102ドルに達しており前期(10-12月)の80ドルから3割近く上昇しており、また前年同期(61ドル)の7割アップであった。

 

 売り上げ増加に対して利益が減少したのは対ロシア経済制裁に関連しサハリンI原油生産プロジェクトの撤退処理をしたためである(後述参照)。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは148億ドル、投資キャッシュフローは▲39億ドルであり、フリーキャッシュフローは108億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲67億ドルであり、この結果、3月末のキャッシュフロー残高は111億ドルとなっている。

 ExxonMobilの1-3月期設備投資は49億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 ExxonMobilの1-3月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油227万B/D、天然ガス85億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は368万B/Dである。

 

(追記)対ロシア経済制裁の業績に対する影響

 ExxonMobilはロシアのサハリンI(原油)プロジェクトに30%出資しているが、同プロジェクトからの撤退を表明、欠損評価額として▲34億ドルを計上した。なおこのプロジェクトには日本のサハリン石油ガス開発が30%しているが、同社の株主は経済産業省、伊藤忠商事、石油資源開発、丸紅、INPEXである。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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石油と中東のニュース(5月9日)

2022-05-09 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

 

(中東関連ニュース)

・シリア大統領、事前予告なしにイラン訪問

・エジプト:シナイ半島で反政府ゲリラ襲撃。政府軍兵士11人死亡

・サウジ国王、結腸内視鏡検査受診、結果良好

・アフガニスタン:タリバン政府、女性のブルカ着用義務付け

・エジプト、モスクのコロナ禍制限を解除。終日礼拝可能に

・トルコ:イスタンブールに観光客戻る。ホテルは満杯

 

 

 

 

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SF小説:「新・ナクバの東」(17)

2022-05-09 | 荒葉一也SF小説

(英語版)

(アラビア語版)

 

2022年5月

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」

 

17. 「国境の南」作戦(4)

 サウジアラビア空軍のF16戦闘機9機はアラビア半島付け根のほぼ中間地点でイスラエルの給油機と護衛の2機に遭遇した。と言っても正面から対峙した訳ではなく、かなり手前から高度を下げて上空のイスラエルの3機をやり過ごすや直ちに反転し後方に回り込んだのである。

 

勿論イスラエル機のレーダーはサウジアラビア方面からこちらに向かってくる機影を捉えている。それがレーダーの端に現れた時はまだ機種も機数も確認できなかったが、双方の距離が次第に狭まり漸く9機の編隊であることがわかった。

 

レーダーは9機の編隊が彼らよりはるかに低い高度を飛行していると教えている。真正面から直接攻撃してくる気配はなさそうだ。イスラエルのパイロット達は編隊が自分たちの眼下を通り過ぎるのを目にした。サウジアラビア空軍の飛行訓練だと思った。

 

しかし上下ですれ違うと同時に9機は急上昇に転じ、イスラエル機の高度に達するや猛烈な追撃を開始した。トップスピードにあげると9機はたちまち給油機と護衛の2機に追いついた。イスラエル側もサウジアラビア側も戦闘機は全く同じF16である。しかし一方は足の遅い給油機と一緒のため追い付くのにさほど時間はかからなかった。

レーダーは9機が刻々と猛追してくる状況を示しているが、イスラエル側にはなすすべがない。後方からの接近のため自らの目で確認することは困難だ。戦闘機のコックピットは前方の視界に対しては上下左右ともかなり広い。しかし後方となると自らの機体に遮られほとんど視界が利かない。ましてヘルメットと酸素マスクが邪魔をしてわずかに首を真横に振ることができるだけである。イスラエル機のパイロット達はただ相手の出方を見る他なかった。

 

9機はイスラエル機の背後に接近すると、そのうち2機が左右の護衛機の頭上に張り付き護衛機と給油機の間に強引に割り込み始めた。小鳥たちは必死になって割り込みを防ごうとしたが、ついにイスラエルの3機とサウジアラビアの2機はほぼ横一直線に並んだ。そしてサウジアラビア機は機体を小刻みに振り護衛機を給油機から遠ざけようとした。それはまるで親鳥とそれにぴったり寄り添う2匹の小鳥の仲良し親子を引き裂こうとするようであった。

 

給油機と護衛機の間隔が次第に広がるのを見て後方の7機も前方に移動し、結局イスラエルの3機それぞれをサウジアラビアの戦闘機3機ずつが左右と後方から取り囲む形となった。

 

(続く)

 

荒葉一也

 

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