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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2018年版解説シリーズ:天然ガス篇 (14)

2018-08-22 | BP統計

 

4.世界の天然ガス貿易

(天然ガス貿易にはパイプラインとLNGの二つのタイプがある!)

(1)はじめに:天然ガス貿易の二つのタイプ

天然ガスは石油と異なり大気中に拡散することを防ぐため密閉状態で搬送しなければならない。この場合輸送方法によりパイプラインで気体状のまま搬送する方法若しくは液化して特殊な船(LNGタンカー)や運搬車で搬送する二種類がある。パイプライン方式は常温で気体状のガスを生産地と消費地をパイプで直結して搬送するものであり、LNG方式は生産地で極低温で液化したガスを密閉容器で消費地に搬送するタイプである。

 

パイプラインによる貿易は古くから行われている。但しパイプラインを敷設するためには生産地と消費地が陸続きであるか比較的浅い海底(又は湖底)であることが条件である。パイプラインによる天然ガス貿易が広く普及しているのが北米大陸の米国・カナダ間の貿易である。ヨーロッパ大陸でもオランダ産の天然ガスを各国に輸出するための天然ガスパイプライン網が発達し、同国の生産が衰退するに従い新たな供給地としてロシア及び中央アジア諸国とのパイプラインが敷設され、或いは地中海を隔てた北アフリカとの間で海底パイプラインが敷設され、現在ではこれらのパイプラインが欧州における天然ガス貿易の中心を成している。

 

これに対して天然ガスの生産地と消費地が離れており、しかもその間に深海の大洋がある場合は両者を結ぶパイプラインを敷設することは不可能である。そのために開発されたのが天然ガスを極低温で液化し容量を圧縮し効率よく輸出するLNG貿易である。LNGは生産現地における液化・積出設備、LNG運搬専用タンカー並びに消費地における積卸・再ガス化設備のための高度な技術と多額の設備投資が必要である。そのためにも顧客との長期的かつ安定的な販売契約が事業の成立と継続のための重要条件である。

 

このような制約のためLNG貿易の歴史は比較的新しく本格化したのは中東のカタールと日本の間で1997年に始まった事業からである。なお最近ではLNGのスポット取引が普及しつつあるが、三国間貿易を行う国ではLNGタンカーの確保あるいは中間貯蔵・入出荷設備の建設等に原油の場合とは比較にならない多額の初期費用がかかることに変わりはない。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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2018-08-22 | 今日のニュース

サウジ/クウェイト分割地帯カフジ油田操業再開の概要判明。2019年初に能力の50%以下で生産再開

・イラン石油相、仏Totalのパルスガス田撤退を言明。 *

・原油価格もみあい状況。WTI $66.70, Brent $72.18

 

*参考情報:

・5/16 Totalプレスリリース

https://www.total.com/en/media/news/press-releases/us-withdrawal-jcpoa-totals-position-related-south-pars-11-project-iran

・イランのガス開発及びLNG計画

http://menadabase.maeda1.jp/1-D-3-51.pdf

 

 

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