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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

首位を固めるシェル:五大国際石油企業2018年4-6月期決算速報(5)

2018-08-09 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートはマイライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0448OilMajor2018-2ndQtr.pdf

 

 

2018.8.9

前田 高行

 

2.2017年第1四半期以降の四半期別業績の推移(続き)

(4)部門別利益の推移

(4-1)上流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-66.pdf 参照)

 前年の2017年第2四半期の各社の上流部門の損益はShellが欠損であったが、その他の4社は利益を計上している。利益が最も多いのはTotalの14億ドルであり、ExxonMobilは12億ドル、ChevronとBPは8億ドル台であった。第3四半期はShellが損失を脱却、5社すべてが利益を計上した。その額はExxonMobilが16億ドル、Total14億ドル、BP12億ドルの3社が10億ドル台の利益を計上、ShellとChevronは5億ドル前後の利益にとどまっている。

 

 第4四半期はExxonMobilとChevronの利益がそれぞれ84億ドル、53億ドルと大幅に伸びた一方、Shell、BP及びTotal3社は横ばいとなり格差が拡大した。前期(2018年第1四半期)はExxonMobil、Chevron及びBPが30億ドル超で並び、またTotalとShellは20億ドル前後であった。今期はTotalの利益が伸びてExxonMobil、BP、Chevronに近付いた一方、Shellは利益が11億ドルにとどまり、他の4社と格差が生まれている。Shellは総売上高及び利益額で4社に水を開けているが(上記売上高及び利益の推移参照)、上流部門は他社に比べ見劣りがする。

 

(4-2)下流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-67.pdf 参照)

 下流部門は2017年第2四半期から今年2017年第2四半期までの5期連続して全社が利益を計上している。2017年第2四半期はShellが22億ドルと他の4社を引き離して最も多く、次いでBPが16億ドル、ExxonMobil 14億ドル、Chevron12億ドルと続き、利益が最も少ないのはTotalの9億ドルであった。続く第3四半期は全社が増益となり特にExxonMobilが前期比倍増の26億ドルの利益を達成、Shell及びBPも20億ドル台の利益を計上している。しかしその後は各社によって波はあるものの、全社とも利益が減少する傾向にあり特に凋落の激しいのがExxonMobilである。今期(2018年第2四半期)はBPが最も多い15億ドルで続いてShellが12億ドル、その他3社は8億ドル前後にとどまっている。

 

 上記上流部門の利益の推移と比較すると上流部門が増益傾向にあるのに対して、下流部門は利益が減少する傾向が見て取れる。ここ数年原油天然ガスの価格が上昇または高止まりしていることが上流部門と下流部門の利益の明暗に表れている。

 

(5)設備投資の推移 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)

 5社の四半期ベースの設備投資額はExxonMobilが昨年第4四半期に90億ドル、今年第2四半期は66億ドルを投資するなど比較的高い投資水準を続けているのに対して他の4社はShellが50億ドル台、ChevronとBPが40億ドル台、Totalは30億ドル台とほぼ同じ水準の投資を続けている。しかも各社とも5期を通じてみると投資額は減少傾向である。この間に原油・ガス価格は上昇または高止まりし、売上、利益ともに増加しているが、各社とも設備投資に慎重な姿勢を崩していないようである。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

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