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http://mylibrary.maeda1.jp/0448OilMajor2018-2ndQtr.pdf
2018.8.6
前田 高行
1. 五社の4-6月期業績比較(続き)
(2)総合利益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)
今期は5社ともに前年同期を上回る利益を計上しており、特にShell及びBPの利益の伸びが目覚ましい。利益額が5社の中で最も大きいのはShellの60億ドルであり前年同期(15億ドル)の4倍である。Shellに次いで利益が多いのはExxonMobilの40億ドル及びTotalの37億ドルであり、両社の利益は前年に比べそれぞれ18%増及び83%増である。Chevronは34億ドルであり前年同期15億ドルの2.4倍である。BPの4-6月利益は5社の中では最も少ない28億ドルであるが、わずか1億ドル強にすぎなかった前年同期に比べ大幅に改善している。
(3)上流部門と下流部門の利益
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56.pdf及びhttp://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-57.pdf参照)
利益を上流部門(石油・天然ガスの開発生産分野)と下流部門(石油精製および製品販売分野)に分けて比較すると、まず上流部門ではBP(35億ドル)、Chevron(33億ドル)、ExxonMobil(30億ドル)の3社が30億ドル台の利益を計上して並んでいる。またTotalもこれら各社に引けを取らない27億ドルの利益を計上している。5社の中で上流部門の利益が最も少ないのはShellであり、同社の利益は11億ドルにとどまっている。但し、同社は前年同期に5社の中で唯一上流部門が赤字であったが今期はプラスに転じている。その他の4社もBPが5倍、Chevronは4倍、ExonMobilは2.5倍、Total2倍と全社で上流部門の利益が大幅に向上している。
下流部門の利益が最も高かったのはBPの15億ドルで、これに次ぐのがShellの12億ドルである。その他の3社はいずれも8億ドル前後である。各社を前年同期と比べると、BPが微増(+3%)だった以外4社は減少しており、特にExxonMobilとShellは半減している。
このように今期は前年同期に比べ各社とも上流部門の利益が下流部門の利益を大幅に上回っている。これは原油天然ガスの価格が大きく上昇したためである。歴史的に見ても五大国際石油企業は2014年に原油価格が100ドルを超えるまで上流部門の利益が下流部門を上回る時代が長く続き、その後一転して原油価格が暴落した2015~17年は下流部門の利益が上流部門を上回っていた。現在原油価格が高値安定しているため上流部門が再び利益の源泉になっているのである。
なお上記(2)総合損益は各社によって石油化学品部門あるいはその他の損益を含むため上・下流部門の利益の合計額とは一致しないケースがある。
(続く)
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