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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

日本版ISA(少額投資非課税制度)の口座を慌てて開設しなくてもいい理由(その1)

2013-04-01 20:53:17 | NISA

 今朝の日経新聞で大手金融グループが『「日本版ISA」の普及)にグループを挙げて取り組みます」』という対談形式の全面広告を打っていますね。今日、この銀行のインターネットバンキングにログインしたところ、お知らせのところに「知ってますか?日本版ISA!(情報配信登録はこちら)」とありました。また、先週くらいから、他の複数の金融機関からも「日本版ISA(少額投資優遇税制)資料請求受付開始」といったメールが届くようになっています。

 日本版ISAの制度自体は来年1月スタートですが、口座開設は今年10月から可能です。それに向けて、これから金融機関が積極的にPRに動きそうです。
 日本版ISAはどんな制度か分からないという方は以下のサイトをご覧ください(ほかの運用会社でもISAサイトができています)
早分かり日本版ISA(フィデリティ)
日本版ISAとは?(日興アセットマネジメント)

 けれど、「早くISA口座を開設しなくては」と焦る必要はありません。まずは制度を理解した上で、慎重に口座を開設する金融機関を選べばいいでしょう。時間はまだたっぷりあります。
というのも、日本版ISAの利用は、
●原則1人1口座(1金融機関)
●2014~2017年、2018年~21年、2022年~23年はそれぞれ同じ金融機関のISA口座を利用する必要あり
●移管することができない

からです。つまり、原則複数の金融機関に口座を持つことはできないし、一度口座をつくると4年間は同じ金融機関でないといけないし、その途中で移管することもできません。

<2013.04.02追記>「1.2014~2017年」「2.2018年~21年」「3.2022年~23年」のそれぞれのクール(勘定設定期間)ごとに金融機関を変えることはできます。つまり、10年で3つの金融機関にISA口座をつくることは可能。ただし、仮に第1クールでISA口座を開設して運用、非課税期間終了時に再度ISA口座に移管(ロールオーバー)しようと思ったら、第1・第2クールは同じ金融機関でないとだめで、異なる金融機関では移管できません。ロールオーバーしない場合には、課税口座(特定口座など)に時価で移ることになります(売却も可)。

また、制度上の対象商品(上場株式、外国上場株式、公募株式投信、外国籍株式投信、ETF、REITなど)と、金融機関で実際にISA口座に入れられる商品は必ずしもイコールではありません。例えば、制度上は海外ETFはISA口座に入れることは可能ですが、その対応はそれぞれの金融機関が決めるということです。そうした対応は金融機関ごとに異なるでしょう。きちんと「ISA口座の対象となる商品」が分かってから口座を開くのが賢明だと思います。逆にいえば、金融機関も商品・サービスの提示をきちんとしてほしいと思うのです。

そして、もうひとつ金融機関選びを慎重にしてほしい理由があります(続く)