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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

ETFの複利効果

2007-09-03 23:05:19 | Weblog
読者の方から以下の質問が来ていましたので、考えてみたいと思います。

(質問)
本の中で、TOPIX連動のインデックスファンドとETFの比較表が出ていましたが、複利効果という面ではどちらが有利なのでしょうか?
長期運用を考えているのでこの点が非常に気になりました。ETFの配当金=投信の分配金 と考えればよいのでしょうか? その場合、投信は自動的に再投資されるがETFは自分で再度購入しなければいけない、その程度の違いという捉え方でよいのでしょうか。
(ここまで)

 ETFはインデックスファンドに比べて信託報酬が安いため、より長期投資に適した商品ともいえますが、2つデメリットがあります。

 1つはインデックスファンドに比べて購入金額が大きくなることです。例えば、TOPIX連動型上場投資信託(1306)というETFの場合、100口単位でしか取引できないので、最低でも約16万円の資金が必要になります。売却するときも、同じく100口単位になります。

 そして、2つ目がご指摘のように「配当金(=投信では分配金にあたります)」が再投資できないことです。これはETFが税制上、「株式」の扱いになっているためです。ですから、投資信託のように分配金を再投資してくれる仕組みはなく、配当金を受け取るしか選択肢はありません。ちなみに、今期の配当金は100口購入していた場合、1600円、10%の税金が引かれるので、手取りは1440円になります。もし税引き後の配当でETFに再投資できるほどの配当をもらうには1万2000口(約2000万円弱)程度を保有していなくてはならないので、よほど潤沢に資金のある人でないとむずかしいですね。
 そうなると、自力で再投資をするには、今のところ受け取った配当でTOPIX連動型のインデックスファンドを買うしかありません。これは結構面倒ですし、インデックスファンドを購入していってもETF自体に再投資するほどの効果は得られません。
 また、毎月ETFを買っていくというのも厳しいので(「るいとう」ができる証券会社はありますが手数料が高い)、複利効果もさることながら、インデックス投信の積み立てと比べて、ETFは購入タイミングにも収益が左右されるということもあります。

 これはけっこう悩ましい問題です。現状では投資金額の少ないうちはインデックスファンドを積み立てていき、ある程度まとまった金額になった段階でETFにシフトするというのが現実的でしょうか。私は日本株の場合、投信の積み立て+暴落時にETFを買い増すという方法を取っています。米国では「配当金の再投資プラン」というのがあるそうなので、日本でも取り入れてほしいものです。