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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
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投資信託の「信託財産留保額」のお話

2015-03-31 16:18:57 | 投信

日経ヴェリタス第368号(3/29~4/4)の「ヴェリーに聞く投資信託の選び方13-信託財産留保額」のコラムで、少しだけコメントしています。

解約時に「信託財産留保額」をとらない投信が最近は増えてきています。が、本当にそれでいいのかな、と思うところもあります。

投資信託にはいくつかの手数料がかかります。ひとつは購入時にかかる「購入時手数料」、そして、保有中に差し引かれる「運用管理費用(信託報酬)」です。購入時手数料は販売会社に、運用管理費用は運用会社、販売会社、信託銀行にそれぞれ支払う手数料です。

一方、「信託財産留保額」は解約するときに支払うペナルティーのようなもので、信託財産に戻されて基準価額にも反映されます。信託財産留保額もコストのひとつ。だから、ないほうがよいと考える方もいますが、

・信託財産留保額は販売会社や運用会社に支払う手数料ではないこと
・解約する人の費用を、全面的に投信の保有者が負担するのは不公平なので、解約する人にもきちんと負担してもらいましょう、という意味合いがあること

はしっかり覚えておく必要があると思います。
誰かが投信を解約する場合、投信が保有する株や債券などの一部を倍売却して現金化する必要があります。解約時に信託財産留保額を徴収するのは、「そうした費用を投信保有者が全面的に負担するのは不公平。解約する人も払ってね」ということです。逆にいえば、信託財産留保額がない投信の場合、解約する際にかかる費用を負担するのは、投信の保有者ということになります。

自分が、ある投信を長期でコツコツ積み立てている場合、長期で保有したいと考えている場合、本当に信託財産留保額はないほうがよいのでしょうか? 

じっくり考えてみる必要があると思いますし、ひと口にコストといっても、誰に(どこに)、どういう目的で支払っているのかは押さえおきたいものです。


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