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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

少額投資非課税制度(NISA)の口座を慌てて開設しなくてもいい理由(その3)

2013-05-15 17:42:04 | NISA

質問です。
皆さんが来年(2014年)100万円の非課税枠を使うために、金融機関にNISA口座を開設しようと思い立ちました。NISA口座の開設スタートは今年の10/1です。では、「いつまでに」口座開設をすればよいでしょうか?

答えは 「2014年(来年)の9月30日まで」です。

ただし、法律上は9月30日までとなっていますが、これは金融機関から税務署への申請期間の締め切り日。ですから、私たちが金融機関に申請書を提出する期日はもう少し前になると思われます(締切日については各金融機関にお問い合わせください)。

最近の早く口座開設を!攻勢にちょっと不安になって、某金融機関のISAお問い合わせTELに電話をしてしまいました。「10月1日から口座受け付け開始ですが、開設はいつまでできるのですか?」と。が、その答えは…。

「口座開設はいつでもできます」
「え? でも、2014年に100万円の枠を使いたい場合には、締め切りがあるのでは?」
「…… ……。 …… ……。 特にないと思いますが…。そこまではわかりません」

結局、お役所と、制度に詳しい方に確認しましたが、やはり口座開設は来年の9月までOkでした。
NISAの案内ページやパンフレットをみると、10月から口座開設スタートとしか書いていないところもあります、中には、「(今年の)10月以降は税務署が混むので、(今年の)9月までに住民票を送ったほうがスムーズに口座開設できる」というような案内をしているところも…。

前のめりの金融機関も多いですが、時間はたっぷりありますので、焦らなくても大丈夫ですよ。口座開設できるのは1口座(1金融機関)。じっくり検討しましょう。

【訂正 2013.06.17】
口座開設の期限ですが、勘定設定期間の最後の年については9月30日まで(=金融機関が税務署に申請を出す締め切り)と法律上決められていますが、その途中の年については期限は決められていないそうです。例えば、「2014年1月1日~2017年12月31日」という感情設定期間でいうと、最後の年(2017年)については9月30日が締め切りです。しかし、その途中である2014年の枠を使うためには2014年12月まで口座が開設できるということになります。といっても、実際には金融機関から税務署に申請する期間を見込まないといけないため、各金融機関がそれぞれ締め切りを設けるということになりそうです。


<参考>
日本版ISAの口座を慌てて開設しなくてもいい理由(その1)
日本版ISAの口座を慌てて開設しなくてもいい理由(その2)


日本版ISA(少額投資非課税制度)の口座を慌てて開設しなくてもいい理由(その2)

2013-04-02 16:06:13 | NISA

 続きです)

もうひとつ、ISA口座を開設するのを慎重にしてほしい理由があります。
ISAのPRが多くなってくると、ついつい「日本版ISA」だけに目が行きがちですが、資産形成を考えるときには使える制度や商品をトータルで考えることが大切です。例えば、原則60歳まで引き出せないという”縛り”はありますが、利用できる人は、企業型確定拠出年金のマッチング拠出や、個人型確定拠出年金を優先的に利用したほうがいいケースもあります(掛け金が全額所得控除の対象になる)。それぞれの特徴を押さえた上で、自分にとっての最適な運用方法を考えたいものです。

 繰り返しになりますが、制度のスタートは来年の1月です。まずは

①自分が使える制度を調べる・整理する
②ISAの制度を理解する
③金融資産全体で考えたときに、ISAではどの商品を利用したらいいか、どう活用したらいいかを考える

その上で、口座開設をする金融機関を決めても遅くはありません。個人にとっての「全体最適」を考えることが大切であって、「日本版ISAありき」ではないと思うのです。ましてや、現段階では「どの金融機関がISA対応をするのか」「ISA口座にどんな商品が入れられるのか」がまだわからないわけですから…。
誤解してほしくないのですが、ISA口座を開設するな、といっているわけではありません。金融機関選びは、じっくり検討してからにしましょうね!ということです。

<ご参考>
3/22(金)にk2k2東京主催で、個人投資家さん向けに「日本版ISAの勉強会&意見交換会」を行いました。金融庁の方から日本版ISAについて説明、次いで、質疑応答と意見交換を行いました。参加された方がブログでその時の模様を書いていますので、ご紹介します。


日本版ISA(少額投資非課税制度)の口座を慌てて開設しなくてもいい理由(その1)

2013-04-01 20:53:17 | NISA

 今朝の日経新聞で大手金融グループが『「日本版ISA」の普及)にグループを挙げて取り組みます」』という対談形式の全面広告を打っていますね。今日、この銀行のインターネットバンキングにログインしたところ、お知らせのところに「知ってますか?日本版ISA!(情報配信登録はこちら)」とありました。また、先週くらいから、他の複数の金融機関からも「日本版ISA(少額投資優遇税制)資料請求受付開始」といったメールが届くようになっています。

 日本版ISAの制度自体は来年1月スタートですが、口座開設は今年10月から可能です。それに向けて、これから金融機関が積極的にPRに動きそうです。
 日本版ISAはどんな制度か分からないという方は以下のサイトをご覧ください(ほかの運用会社でもISAサイトができています)
早分かり日本版ISA(フィデリティ)
日本版ISAとは?(日興アセットマネジメント)

 けれど、「早くISA口座を開設しなくては」と焦る必要はありません。まずは制度を理解した上で、慎重に口座を開設する金融機関を選べばいいでしょう。時間はまだたっぷりあります。
というのも、日本版ISAの利用は、
●原則1人1口座(1金融機関)
●2014~2017年、2018年~21年、2022年~23年はそれぞれ同じ金融機関のISA口座を利用する必要あり
●移管することができない

からです。つまり、原則複数の金融機関に口座を持つことはできないし、一度口座をつくると4年間は同じ金融機関でないといけないし、その途中で移管することもできません。

<2013.04.02追記>「1.2014~2017年」「2.2018年~21年」「3.2022年~23年」のそれぞれのクール(勘定設定期間)ごとに金融機関を変えることはできます。つまり、10年で3つの金融機関にISA口座をつくることは可能。ただし、仮に第1クールでISA口座を開設して運用、非課税期間終了時に再度ISA口座に移管(ロールオーバー)しようと思ったら、第1・第2クールは同じ金融機関でないとだめで、異なる金融機関では移管できません。ロールオーバーしない場合には、課税口座(特定口座など)に時価で移ることになります(売却も可)。

また、制度上の対象商品(上場株式、外国上場株式、公募株式投信、外国籍株式投信、ETF、REITなど)と、金融機関で実際にISA口座に入れられる商品は必ずしもイコールではありません。例えば、制度上は海外ETFはISA口座に入れることは可能ですが、その対応はそれぞれの金融機関が決めるということです。そうした対応は金融機関ごとに異なるでしょう。きちんと「ISA口座の対象となる商品」が分かってから口座を開くのが賢明だと思います。逆にいえば、金融機関も商品・サービスの提示をきちんとしてほしいと思うのです。

そして、もうひとつ金融機関選びを慎重にしてほしい理由があります(続く)