Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

ムスタン紀行 12 チョサール谷

2011-10-07 20:37:15 | チベット文化圏
8月14日

本日もローマンタンから北へ、チベットとのメイン交易ルートだったチョサール谷へ行く。

  
乾燥した景色の中、川筋だけが灌漑され、麦の畑が広がる。

  
ニンマ派の縞模様に塗られたチョルテンを過ぎると村があり、その周りを囲む岩山にはぼこぼこと洞窟が掘られているのが見える。

そんな洞窟の一つの中を見学。
  
 急な梯子を伝って入ると中は天井の低い部屋が次から次へとつながる構造。
ノミの跡がわかる荒削りの壁や天井はススで黒く汚れ、飾りなどは全くない。
これらの洞窟は仏教僧の修行のためだけではなく、普通の村人も暮らしていたらしい。
よくぞこんなところに掘った、とは思うがあまり面白くはない。

この洞窟からも見えるところにあるお寺はニフ・ゴンパ。
 
ここもお堂の一部は崖を掘って作られている。
 
本堂の壁には色鮮やかな壁画。
  
こちらは瞑想するための部屋だろうか。 
 ここには8歳から16歳まで、22人の小坊主がいる。

同じこの街道筋にはもう一つ、ガルフ・ゴンパがある。
 この扉の向こうにお寺と付属の学校。
 本堂は小さくて暗いが
  
壁を覆う壁画はちょっと変わっていて面白い。ただ表面を厚くニスで塗られ、それが煤で汚れているので写真に写らないのが残念。

日が燦々と照る中庭では上級生たちが勉強中。
 
ネパール語の先生は若くて、僧院なのに女の先生なのがびっくり。

  
他の部屋でも年齢に応じた授業が進行中。
こういった僧院の学校ではチベット語のお経の勉強の他に、ネパール語、英語が教えられているという。

そんなわけで授業はなかなか大変そう。
 ←クリックすると大きくなります。
壁に貼られた時間割を見ると、5時に起床して10時に就寝するまで、授業が10時から3時半まで、あとはお勤めやら自習の時間やらで自由時間は夕方の1時間半しかない。

  
来た道をまたローマンタンまで戻ったが、畑の中では村人たちが集会中。
何の相談だろうか。

町に戻った後はゴンパの壁画を撮影に行き、また町の中をうろうろ。

  
市壁の中にある唯一の畑はチョーデ・ゴンパのものだそうで、この日はカリフラワーを収穫中。

  
通り沿いの玄関前にはおばちゃんたちがずらりと並び、毛糸つむぎに余念がない。
白いのは羊の毛、黒いのはヤクの毛だ。

  
マニ車の前にも大勢のおばちゃん。 
 ここには地面に埋め込まれた石臼のようなものがあって、これで杉の葉を砕いてお香にするのは若い女の子の仕事らしい。

 そんな町の人々を激写しているのは王宮とお寺を案内してくれた宿の若旦那。我が添乗員のカメラを取り上げて写し始めたのだが、撮ったものを見るとセンスが良くてうまい。

今頃は若旦那、マイ一眼レフを入手しているんじゃないだろうか、
 


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ムスタン紀行 11 ナムギャル・ゴンパと王宮訪問

2011-10-04 15:00:47 | チベット文化圏
8月13日

朝、ローマンタンを出て北に広がる谷を馬で遠足。

  
市壁の端に建つ双子チョルテンから外を望むと低い川筋に畑が広がっている。

 丘の上にはすでに廃墟になった要塞。 

こののどかな風景をぽくぽく歩いて、目指すのはローマンタンの市内からも見えるナムギャル・ゴンパ。
  
丘の上に小さな村があり、その一段高い所にお寺がある。

  
お寺の入り口には小坊主たちの学校があり、子供がいっぱい。
昨晩ここに泊まったらしいイタリア人のおばさん2人がちょうど帰るところ。この人たちが学校にアノラックを寄付したらしく、みんなお揃いの真新しいコートを着てうれしそう。

 僧房に囲まれたこちらが本堂。
  
中では若いお坊さんたちが砂曼荼羅を製作中。 
 こちらは案内をしてくれた17歳のお坊さん。鼻筋がすっと通ったハンサム君はきれいな英語を話し、もうじきインドのお寺に修行に行くと言っていたから優等生なのだろう。

ナムギャルの丘を降りてティンカル谷をさらに北へ。
  
また別の丘の上にある村には王様の夏の別荘があるが、もう何年も使われていないらしい。

  
この村の一軒の家で昼食休憩。看板も何も出ていないけれどここが村の茶店らしく、次々に人が入ってくる。
 ここで出会ったお坊さんは高そうな一眼レフを持ち、自分で撮ったお祭りの動画まで見せてくれた。日本の津波のことももちろん知っているし、はて、どういう人なんでしょう。

村から周りを見渡すと一面の緑の草原。
  
木に囲まれた隣村も見えて、何とも気持ちがいい。

  
湿地には馬や牛が放牧され、石壁で囲われた畑で育つのはピンクのそば。美しいところではあるが標高が3800メートルもあるので作れるものは限られている。

谷をぐるっと回ってローマンタンに戻り、夕方になってからは王宮へ行く。
チケットを買い、時間を予約して王様に拝謁するのだ。

 王宮は市の中心にそびえる4階建ての建物。
  
部屋数は相当ありそうだが、中はがらんとしていて人影もない。
  
いるのはお猫様と、2階のテラスから吠えまくるチベット犬ぐらい。

泊まっているホテルの若旦那は王様の妹の孫とやらで、彼に案内されて王様のお部屋に案内される。
 こちらがムスタン国王、ジグミ・パルバル・ビスタ。
すでに政治的な実権はないが、祭礼などを司り、もちろん現地では非常に尊敬されている。

ミントティーをいただきながら若旦那の通訳で質疑応答。
せっかくの機会なので若い頃はチベットに留学もし、お妃もシガツェから迎えた王様に「今のチベットの現状をどうお考えですか」と聞いてみた。
数年前にチベットを訪れたという王様、「伝統が失われつつある様子に胸を痛めている」とのこと。
ローマンタンが思ったほど「中国化」していないのは王様のおかげかもしれない。

王宮訪問を終え、迷路のような市内をフラフラ。
  

すると土産物屋のじいちゃんに手招きされたので後について行く。
案内されたのはじいちゃんの店の屋上。
  
屋根が市壁につながっていて、壁の上をずっと歩くことができるのだ。
  
チョルテンやお寺の壁がよく見えるのを喜んでいると、案内のじいちゃんも得意顔。

 むろんガラクタ置き場のような土産物屋にも案内されるが、じいちゃん商売っ気はほとんどなし。外人観光客とおしゃべりして時間をつぶすのが楽しいらしい。

 こちらはお祭りから帰ってきた息子さん。チベット風の衣装がかっこいい。


 
 
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