10月20日
壱岐の朝食には堅くておいしい島豆腐に「いき壱岐納豆」。
朝食は7時からだが出発は9時と余裕がある。
そこで窓から見える小さな港へ行こうと階段を降りると
すぐ脇の小屋に黒い牛が10頭ほど。
昨晩いただいた壱岐牛がこんなところにいるとは。
港には小さな漁船がたくさん繋がれているが人の姿はなく、今頃咲いてしまった桜が真っ青な空に映えて穏やか。
時間になり、ジャンボタクシーで出発。
宿から15分ほどでやって来たのは猿岩。
どこにでも「○○に見える岩」はよくあるけれど、目や口、頭の毛までこれほどちゃんと猿に見える岩は珍しいかも。ただし猿に見えるのはこの角度だけ、ちょっと動けばただの岩。
この展望台から反対側の丘をちょっと上がると大きな井戸のような穴がある。
これは昭和8年に完成した黒崎砲台の跡。対馬海峡防衛のためにこの穴の中にぐるりと回転する砲が据えられたのだそうだが、1度試射しただけで実戦に使われることはなかったとか。
丘の下に入り口があるが、中は蛇が出るとかで穴の中までは行けなくなっている。
ここから湯ノ本温泉を通り、20分も走れば島の北の勝本町。
壱岐は小さな島なので観光地間の移動は楽だ。
この勝本町には秀吉が朝鮮出兵の時に作った勝本城があり、城山には石組が一部残っているだけだが
頂上には城山稲荷神社があって、今でも毎年大神楽が奉納されるとのこと。
その脇の展望台に上がると
勝本の港と沖の小島がよく見える。
さらにこの丘から下がった所には松尾芭蕉の弟子だった河合曾良の墓がある。
この曾良さん、俳人としてより芭蕉の秘書として優秀だったとのことで晩年に幕府の巡見使となり、対馬にわたる途中この勝本で病死したのだそうだ。
城山から降りるとすぐに勝本の町。その細い路地をちょっと入った所に聖母宮という神社がある。
小さい神社で建物も真新しいが、ここは神功皇后の三韓征伐に因んで建てられた古い神社だそうで
だから祭神も神功皇后。
本来であれば壱岐一宮でもおかしくないのに、なぜか二宮とされている、と出てきて説明してくれた宮司はくやしそう。
勝本の港はお宮のすぐ目と鼻の先。
ここから辰ノ島遊覧船に乗る。
港を出てまっすぐ行くと右手は名鳥島、左は若宮島。
若宮島には名前の通り神社があるが
この島には海上自衛隊の警備所があるので一般人は立ち入り禁止。
その隣にあるのが無人島ながら海水浴場がある辰ノ島。
島の真ん中に深く切れ込んだ湾があって、真っ白な砂浜に近づくにつれて海がエメラルドグリーンになる。
日本とは思えないような海の色。
島の東側は断崖絶壁になっていて
ミルフィーユのような岩の間に湾に通じる隙間があったりする。
この日はピーカン照りでおかげで海がとてもきれいだったが、風は強くて海風は冷たい。
この島の向こう、対馬との間が対馬海峡だが波が高くて遊覧船は島の北側には出られなかった。
こんな海を古代から三韓征伐やら遣唐使船やらで箱を浮かべただけのような原始的な船で渡ったのかと考えると、それは神仏に祈らなければ到底出発できまい。
遊覧船は40分で港に戻った。
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