アメリカ、ニューハンプシャー出身のSSW、レイ・ラモンターニュのセカンドアルバムです。たまたま立ち寄ったブックオフの投げ売りコーナーからサルベージ。音を聴いたことはなかったのですが、名前に覚えがあったので買ってみたら大当たりでした。
地味なジャケットではありますし、中身も派手ではないアルバムです。しかし、このハスキーでありつつ透明感のある声と、アコースティックギターとストリングスを基調としたサウンドのドラマティックさと言ったら、他に類を見ないほどで、全編が良質な映画のサウンドトラックのようです。もちろん、ハリウッドの大作ではなく、ミニシアター系のそれですね。1曲目の「オープニング感」と最後の曲の「エンドタイトル感」はたまりません。
昔の椎名誠のエッセイで、ウォークマンが発売された直後にそれを手に入れ、音楽を聴きながら自分が映画の主人公になったように感じた、というような内容のものがありました。若い人には信じられないかもしれませんが、昔は音楽は持ち歩けるものじゃなかったんですよ。椎名誠は確か「津軽海峡冬景色」かなんかを聴いてたように記憶していますが、結局はウォークマンに対して否定的な結論だったかと思います。うろ覚えですが。
わざわざ椎名誠を持ち出さなくてもいいんですが、何が言いたかったかというと、レイ・ラモンターニュの音が、それほどのドラマティックさを持っているということ。ぼく自身も初めてウォークマンを手に入れた中学生か高校生の頃、街を歩きながら椎名誠と同じような感覚を覚えていたことを思い出さされた、というわけです。日常的に音楽を聴き続けていますが、これはかなり久しぶりの感覚です。単に疲れてるだけかもしれませんが笑。
それはさておき、弾き語りを基本として作り上げられたようなこのアルバムのサウンドデザインは、非常にパーソナルな空気をはらみつつ、丁寧にコントロールされてるように聞こえます。シンプルながら粗さは無く、ラモンターニュの楽曲と声が持つ世界観を深化させています。歌詞の内容を抑えているわけではないのですが、内省、迷い、再生、癒しといった感覚を覚えます。
ぼくは特に後半、8曲目あたりからラストに向かっていく流れが好きです。
このアルバムは、ぜひとも今の季節、晴れた日に散歩をしたり、ドライブしたり、電車にのったりしながら聴いて欲しいです。
途中で電話したり、本を読んだり、スマホを見たりしないで、そこにある景色を見てください。
風に揺れる新緑や、川べりに咲く名もない花、時々すれ違う古い欧州車、手をつないで歩く親子連れ、ウォーキングする老人、走っていく小学生、ふざけ合う中学生のバッグに揺れるキーホルダー、たぶん全てが肯定的に見えると思います。アルバムを聴き終えた時には、どこか優しい気持ちになっているはずです。わずか数十分の贅沢です。
蛇足。
9曲目の小編、"Truly,Madly,Deeply"をやってみました。
Truly, Madly, Deeply
原曲はナイロン弦使ってると思いますが、スチール弦のFT-30です。指で弾いても音が硬くなりますね。あと、たどたどしいw
地味なジャケットではありますし、中身も派手ではないアルバムです。しかし、このハスキーでありつつ透明感のある声と、アコースティックギターとストリングスを基調としたサウンドのドラマティックさと言ったら、他に類を見ないほどで、全編が良質な映画のサウンドトラックのようです。もちろん、ハリウッドの大作ではなく、ミニシアター系のそれですね。1曲目の「オープニング感」と最後の曲の「エンドタイトル感」はたまりません。
昔の椎名誠のエッセイで、ウォークマンが発売された直後にそれを手に入れ、音楽を聴きながら自分が映画の主人公になったように感じた、というような内容のものがありました。若い人には信じられないかもしれませんが、昔は音楽は持ち歩けるものじゃなかったんですよ。椎名誠は確か「津軽海峡冬景色」かなんかを聴いてたように記憶していますが、結局はウォークマンに対して否定的な結論だったかと思います。うろ覚えですが。
わざわざ椎名誠を持ち出さなくてもいいんですが、何が言いたかったかというと、レイ・ラモンターニュの音が、それほどのドラマティックさを持っているということ。ぼく自身も初めてウォークマンを手に入れた中学生か高校生の頃、街を歩きながら椎名誠と同じような感覚を覚えていたことを思い出さされた、というわけです。日常的に音楽を聴き続けていますが、これはかなり久しぶりの感覚です。単に疲れてるだけかもしれませんが笑。
それはさておき、弾き語りを基本として作り上げられたようなこのアルバムのサウンドデザインは、非常にパーソナルな空気をはらみつつ、丁寧にコントロールされてるように聞こえます。シンプルながら粗さは無く、ラモンターニュの楽曲と声が持つ世界観を深化させています。歌詞の内容を抑えているわけではないのですが、内省、迷い、再生、癒しといった感覚を覚えます。
ぼくは特に後半、8曲目あたりからラストに向かっていく流れが好きです。
このアルバムは、ぜひとも今の季節、晴れた日に散歩をしたり、ドライブしたり、電車にのったりしながら聴いて欲しいです。
途中で電話したり、本を読んだり、スマホを見たりしないで、そこにある景色を見てください。
風に揺れる新緑や、川べりに咲く名もない花、時々すれ違う古い欧州車、手をつないで歩く親子連れ、ウォーキングする老人、走っていく小学生、ふざけ合う中学生のバッグに揺れるキーホルダー、たぶん全てが肯定的に見えると思います。アルバムを聴き終えた時には、どこか優しい気持ちになっているはずです。わずか数十分の贅沢です。
蛇足。
9曲目の小編、"Truly,Madly,Deeply"をやってみました。
Truly, Madly, Deeply
原曲はナイロン弦使ってると思いますが、スチール弦のFT-30です。指で弾いても音が硬くなりますね。あと、たどたどしいw