FootprintFile

気が向いたら書く

Ray Lamontagne / "Till The Sun Turns Black"

2017-04-30 11:45:13 | 音楽
アメリカ、ニューハンプシャー出身のSSW、レイ・ラモンターニュのセカンドアルバムです。たまたま立ち寄ったブックオフの投げ売りコーナーからサルベージ。音を聴いたことはなかったのですが、名前に覚えがあったので買ってみたら大当たりでした。



地味なジャケットではありますし、中身も派手ではないアルバムです。しかし、このハスキーでありつつ透明感のある声と、アコースティックギターとストリングスを基調としたサウンドのドラマティックさと言ったら、他に類を見ないほどで、全編が良質な映画のサウンドトラックのようです。もちろん、ハリウッドの大作ではなく、ミニシアター系のそれですね。1曲目の「オープニング感」と最後の曲の「エンドタイトル感」はたまりません。

昔の椎名誠のエッセイで、ウォークマンが発売された直後にそれを手に入れ、音楽を聴きながら自分が映画の主人公になったように感じた、というような内容のものがありました。若い人には信じられないかもしれませんが、昔は音楽は持ち歩けるものじゃなかったんですよ。椎名誠は確か「津軽海峡冬景色」かなんかを聴いてたように記憶していますが、結局はウォークマンに対して否定的な結論だったかと思います。うろ覚えですが。

わざわざ椎名誠を持ち出さなくてもいいんですが、何が言いたかったかというと、レイ・ラモンターニュの音が、それほどのドラマティックさを持っているということ。ぼく自身も初めてウォークマンを手に入れた中学生か高校生の頃、街を歩きながら椎名誠と同じような感覚を覚えていたことを思い出さされた、というわけです。日常的に音楽を聴き続けていますが、これはかなり久しぶりの感覚です。単に疲れてるだけかもしれませんが笑。

それはさておき、弾き語りを基本として作り上げられたようなこのアルバムのサウンドデザインは、非常にパーソナルな空気をはらみつつ、丁寧にコントロールされてるように聞こえます。シンプルながら粗さは無く、ラモンターニュの楽曲と声が持つ世界観を深化させています。歌詞の内容を抑えているわけではないのですが、内省、迷い、再生、癒しといった感覚を覚えます。
ぼくは特に後半、8曲目あたりからラストに向かっていく流れが好きです。

このアルバムは、ぜひとも今の季節、晴れた日に散歩をしたり、ドライブしたり、電車にのったりしながら聴いて欲しいです。
途中で電話したり、本を読んだり、スマホを見たりしないで、そこにある景色を見てください。
風に揺れる新緑や、川べりに咲く名もない花、時々すれ違う古い欧州車、手をつないで歩く親子連れ、ウォーキングする老人、走っていく小学生、ふざけ合う中学生のバッグに揺れるキーホルダー、たぶん全てが肯定的に見えると思います。アルバムを聴き終えた時には、どこか優しい気持ちになっているはずです。わずか数十分の贅沢です。

蛇足。
9曲目の小編、"Truly,Madly,Deeply"をやってみました。

Truly, Madly, Deeply

原曲はナイロン弦使ってると思いますが、スチール弦のFT-30です。指で弾いても音が硬くなりますね。あと、たどたどしいw

TOTO / "Rosanna"

2017-04-28 20:06:03 | 音楽
たまには、嫌いではないけど別に好みでもない曲のギターを弾いてみようと思ったのです。いつものSNSにドラム、ベースとこの曲がコラボされてまして、ちょっと練習にやってみようと。

ぼくが洋楽を聴き出したのは90年代初頭ですが、雑誌の名盤紹介みたいなのにはTOTOの赤いジャケットのアルバム(TOTO IV)はよく出ていました。



だけど、当時は尖ったティーンエイジャーですからw、スタジオミュージシャンのバンドなんて興味ないし、なんか世代が違う感じがありました。

加えてその当時、ぼくらの世代では80年代はダサい、という基本概念がありましたから、あえて聴く気にもなりませんでした。まあ今となっては、そんな悪くもないと思うし、当時としてはかなり斬新だったんだろうなあと感じますが、色々な意味で作り込んでる感じとか、やはり自分の好みからはやや外れますかね。

それはさておき、今回の弾いてみた音源です。スティーブ・ルカサーの音はまさに80年代の音という感じで、空間系を綺麗にかけつつ音像のハッキリしたクリーントーンと、割と潰れたディストーションを使い分けていますね。クリーントーンはコンプがガッツリかかってるのかな。

TOTO / "Rosanna"

レコーディングではクリーンと歪みで2本のギターを入れてると思うのですが、nanaは音を重ねるほど音質が劣化していくので無駄なテイクは録音したくないので、一本にまとめます。ちなみに、ライブではルカサーもクランチでやっちゃってますね。

いつものようにZoom G3&Boss OS-2の組み合わせですが、試した結果、今回はOS-2は使いませんでした。G3でコンプをかけたので、その前段に歪みだとちょっと変な感じになってしまったので。

ということで、今回はダイナコンプ、OD-1、CE-1、アンプはSound City、ディレイ、リバーブのモデリングという感じです。6つ使い切ってますねw。実際に何を使ってたかは特に調べたりせず、雰囲気で設定していきました。アンプのチョイスも適当です。サウンドシティなんて知らないし。あまり癖がなければいいや、という感じです。コーラスはCE-1にしたけど、薄くかけたのにちょっとうねり過ぎたかもしれません。もう少しモダンなコーラスでも良かったかな。ショートディレイとリバーブは味付け程度に薄く。歪みもこれまたあまり考えずにOD-1です。

ギターはハムが良いかと思ったのですが、時代的なマッチングで、ビルローレンスL-250を積んだデカタングにしました。エフェクトの乗りがいいかな?程度の考えです。アクティブPUのギターを持っていたら、それにしたと思います。

まあ総じて、それっぽい音は作れたかと思いますが、ぼくの環境だとirigのせいか、録音時に実際に鳴ってる音よりこもるので、もう少しブライトにしても良いのかもしれません。やっぱりハムバッカーのが良かったかな?とか、後からいつも色々気になります笑。

CSN&Y/"Ohio"

2017-04-22 17:02:49 | 音楽
カーステレオではライブラリをランダム再生する設定にしているのですが、エレクトリックギターの音のインパクトで群を抜いているのはニール・ヤングの音です。



曲を覚えていないので、イントロを聴いて「誰だこれ!?」となって、歌が入ると「ああ、ニール・ヤングか」となります。それくらい、なんと言うか、異質な音を出してると思います。正直そんなに聴き込んでるアーティストではありませんが、ある意味ぼくにとっては「ギターヒーロー」にあたるかもしれません。

彼の作品の中でも、最も好きな一曲が今回取り上げる"Ohio"ですが、これはクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング名義ですが、ニール・ヤングの作品。そのいきさつはここに詳しく掲載されています。

Crosby,Stills,Nash and Young/"Ohio"

イントロのギターリフがヤングによるものですが、この音がまた個性的です。歪みつつもエアー感があるというか。グレッチのホワイトファルコンなんですかね?

さて、例によってやってみました。

オハイオ

珍しく歌入りです笑。

ニール・ヤングのリフのパート、あの音は、雰囲気すら再現できないのでテレキャスターにしました。1弦と6弦のみ一音落としてDにするチューニングです。アンプはツイードベースマンのモデリング。というか、前回のドン・フェルダーから変えず、微調整しただけです。

リードはスティーブ・スティルスでしょうが、チョーキングを使わないフレージングです。元々アコギで作ったのかな?こちらも雰囲気コピーです。あとで聴き直したら全然違いましたw。
ギターはバークレイの赤い2ハムストラトです。アンプは同じで、例によってOS-2をブースターでかましてます。このギター、見た目はバカっぽいですが割といい音するんですよね笑。

なんだかんだ使ってるBoss OS-2

2017-04-20 20:58:05 | エフェクター
普段、ギターを弾く時に使ってるのは相変わらずZoom G3(古いやつ)なんですが、最近はその前段にBoss OS-2が鎮座しています。これはブースターとしての役割です。



マルチの良いところは、色々なアンプシミュレーターが入っているところです。マーシャルやフェンダーの名機を使ってる気分になれます笑。でも、それに合わせてブースターのシミュレーターを選ぶのも面倒なんですよね。それなら、前段に汎用性の高いコンパクトエフェクターを繋いでしまった方が、個人的にはラクです。

OS-2はColorの位置でキャラクターを変えられるので、アンプに合わせたサウンドのブースターとして使うことができます。マーシャルにはOD側めいっぱいにしてOD-1的に(使ったことないけど)とか、フェンダー系なら少しDS側に上げて、とか。あとはToneで調整します。

Colorの位置によってGainとToneの帯域がシフトするイメージなのですが、その辺に慣れるとかなり自由度が高くなります。

Gainは基本的に最小です。少しあげることもありますが、盛大にノイズが増えるし、コンプ感もわざとらしくなるのでほとんど上げません。もともとミッドが強いペダルなので、ブースター用途としてはゲイン最小でもコンプ感は必要十分という感じです。
このミッドの強さが災いして、クリーンなアンプに単体の歪みとして使うとイマイチだったのですが(特にハムバッカー)、ブースターとしてならハムでもシングルでも良い感じです。

ただ、やはりノイズが多すぎるのと、ゲイン幅があり過ぎですかね。ぼくの使い方だと、ゲインは半分でもいいくらいです。ポットや抵抗の交換で改善できるなら、改造したいくらいです。


さて、音源はまたホテルカリフォルニアです笑。

ホテルカリフォルニア

でも今回のはジョー・ウォルシュパートを他の方がやってくれていたので、ドン・フェルダーパートでコラボさせてもらいました。普段自己完結型なので緊張します笑。

G3の設定としては、アンプはツイードベースマンでスプリングリバーブを薄めに。その前段にOS-2を入れてブーストしています。写真のように、Colorは9時くらいです。フェンダーの音色に合わせて、モコっとしたオーバードライブにちょっとエッジを足すイメージですかね。

ギターはGibson LP Studioで、リードはフルテンのリア、途中のバッキングはフロントでボリューム3くらいです。OS-2はOD側ならば、割とボリュームに歪みが追従するので、ペダル自体の設定は同じでも、ボリュームを下げることで薄いクランチ程度にできました。リアとフロントでそれぞれプリセットボリューム的に使えるのは、2ボリュームのギブソン系ならでは。1ボリュームなら素直にOS-2をオフします。

Gibsonの498Tはちょっとミッドハイあたりにクセがあるのか、なんか暑苦しいのですが歪ませてリードにはいい感じかもしれません。というか、まけてくれるというかw。

音痩せとかノイズとか、単体での音が中途半端とか、マイナスポイントも多いペダルですが、なんだかんだと使ってしまうOS-2。上記ポイントにこだわる方は瞬殺で不要になると思いますが、補助的な用途ならかなり使えるペダルだと思います。さすがBossのロングセラー。

David Bowie /"Heroes"

2017-04-13 21:00:10 | About Bowie
以前、"Sound and Vision"("Low"収録)をネタにしましたが、今回は"Heroes"です。アルバム全体ではなく、タイトルトラックの話。



有名すぎるジャケットです。イギー・ポップの"The Idiot"と対になってるとか聞いたことありますが、そうなんですかね?



それはそれとして。

このヒーローズの制作秘話として、サンレコのアーカイブでトニー・ヴィスコンティのインタビューが掲載されています。これが色々と興味深く(有名なベルリンの壁の前でキスをする恋人たちはヴィスコンティだった、とか)ファンなら必読です。

David Bowie/"Heroes"

特に、曲のイメージを決定づけているギターのフィードバックサウンドへのアプローチには目を見張るものがあります。立ち位置で音程をコントロールしていたとは。こういった創意工夫は、テクノロジーが進化した現代では必要なくなっているのかもしれませんが、やはり胸が熱くなります。

ちなみに、ヴィスコンティも「誰もがE-Bowを使ったと思うであろう」と言ってますが、後年のライブでアール・スリックがEnowで再現していました。うーん、Ebow欲しいなw

でまあ、やってみたんですが。

ヒーローズ

例のギターは、ボリューム奏法や、マルチのスローアタックを使ってみたのですが、結局良い感じにならず諦めました。
音色としてはレスポールにファズ、アンプはハイワットです。ノイズみたいなのはフランジャーとトレモロ、リバーブなどを組み合わせています。こっちはストラトだったかな?

結論としてはEbow欲しいなあ、ですかねw

ブラックストラトの修正

2017-04-09 21:06:34 | Squier ストラト

※写真はイメージです。笑


手持ちのギターで、最も弾きやすいネックと感じているのがスクワイアのブラックストラト。しかし、セレクターにガリが出ており、プラグインしてまず最初にスイッチをカシャカシャやるのが習慣となっておりました。最近はそれをやってもガリが消えなくなってきてましたので、ここはパーツを交換です。

今までは国産のDM-50ってやつでしたが、フェンダー純正で使われるオーク社製にします。やはりこのDMとかYMは信頼性が低そうです。まあ、自分の半田付けの方が信頼性低いんですけどね。

ついでに、いろいろ仮状態のままだったところも修正しようと思ったのですが。

まず、テープで仮止めされている木片をネジ止め。これはザグリが大きくてピックガードが鳴りすぎるのを抑制するために設置してるので、塗装もしてない適当な木片です。ボディ材自体が集成材ですし…。しかし、下穴を開けずにネジを入れたら木材が割れました(´Д` )。なので取りやめ。

あとは線を継いでいた、ブースター回路の電池スナップも新しいものに交換したかったのですが、面倒になってやめました。それにしても、ほとんどブースター使ってないのに電池の減りが早いです。プラグインしてるだけで消費してるのかな?まあ、ブースター使わなければ音が出るのでいいんですが。

この集成材ボディの問題点は、やはりすぐにネジ穴がバカになることです。ピックガードマウントのストラトキャスターには、音はともかくとして、メンテナンスを行う上で最も向かない材かもしれません。改造前提の安ギターには致命的ですらあります。いっそ、ボディ交換も視野に入れても良いかもしれませんが、そこまでやる価値があるか?というとそうでもなさそうな。

ともあれ、セレクターを替えて快適になりました。OAK製は初めてですが、良い感じです。

ラップアラウンド

2017-04-08 19:32:01 | Gibson LP Studio
レスポールの弦を張り替えたついでに、ラップアラウンドにしてみました。



テールピースの上を通す張り方で、トップラップとも言うようです。これをやるのはデュアン・オールマンのファンくらいではないでしょうか。

どういう効果があるかと言うと、弦の長さが長くなり、かつサドルへの入射角が緩くなるため、「テンション感」が緩くなります。同じレギュラーチューニングならテンションは一定だ、とかの話ではないです。あくまでテンション感。

ギブソンのギターはテールピースを上げることが出来ますが、それよりも更に上からサドルに弦が向かうため、入射角が浅くなります。弦がサドルに押し付けられる力が弱くなるため、テンション感が緩くなるわけです。

ここ最近、ストラトでもテンションピンを緩くしていたので、この方が弾きやすいのです。弦を009から010に変えたのですが、弾き心地はそんなに変わらない感じです。

デュアンがなぜ、このような張り方をしてたのかは定かではありませんが、たぶんスライドではなく、押弦時を想定していたように思います。推測ですが。

デュアンがラップアラウンドにしているのはレスポールのようです。スライド専用にしていたと思われるSGには、画像などから判断する限りラップアラウンドは施されていません。スライドには高い弦高と強いテンション感のほうが向いているはずで、ラップアラウンドにするメリットは思いつかないのです。

同じ理由で、スライドには太い弦が向くと思いますが、そうなると押弦時にはテンション感が緩いほうが弾きやすいはずです。また、弦長が長くテンション感が緩くなると、チョーキングの際に弦を押し上げる距離が長くなるはずで、つまりは一音なら一音上げるまでのコントロールの自由度は高くなります。

スカイドッグと呼ばれるほど自由奔放なスライダーであるデュアンですから、フレットの制約を超えたプレイがアタマの中には展開されていたかもしれません。チョーキングしながらハイフレットに移動して行くようなプレイ("Whipping Post"だと3:40あたりで聴けるようなの)を聴くと、そうだったんじゃないかなと思うのです。
ですので、スライドも押弦もするレスポールしか、ラップアラウンドにしていなかったのではないでしょうか。

まあ、根拠はありませんが、自分ではそう思ってるだけですw