星槎教育研究所ブログ★相談員の部屋

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重松清『小さき者へ』

2009-05-30 23:05:18 | 本の紹介
星槎教育研究所フリースクール・支援センタースタッフGENです

お勧めの本の紹介です。



発達障害の専門書ではなく、小説ですが…

重松清『小さき者へ』

年齢を問わず重松ファンは多いのではないかと思います。

重松作品には、親と子、先生と生徒など、大人と子どもの
やり取り、関係性のなかで起こる葛藤がよく描かれています。
そういう意味でも、子どもとかかわる仕事をしている僕にとって、
重松作品との出会いはごく自然のことであったように思います。

実際本の中には、思い通りに子育てが進まずに苦しむ親、
生徒の対応に四苦八苦する先生や、いじめに苦しむ子、
環境に馴染めずにひきこもりになってしまってしまった子、
などが多数登場します。

なかには、「あれっ、この子発達障害じゃないの!?」
と感じさせられるような子どもも出てきたりします。

今回紹介する「小さき者へ」は一番最近読んだ作品で、
父親からひきこもりの14歳の息子に対して書かれた手紙に
沿ってストリーが展開される、というものです。
詳しい内容はここでは控えますが、引きこもりの問題が実に
リアルに描かれていると思います。

「キッチンの床はソースやケチャップで汚れ、
割れた卵やこぼれた牛乳が水たまりのように広がった中に、
魚の切り身や豚肉のスライスが浸っていた」
(『小さき者へ』より抜粋)

思春期に引き起こされる激しい葛藤を外でぶつけることができず、
家庭内で暴発を繰り返す息子と、その息子の苦しみに対して
親でありながら、大人でありながらも「何もできない」苦しみが
そこに込められているのではないでしょうか。

以前、重松氏のご講演を聞いたことがありますが、そのなかで
重松氏いわく「小説に出る全ての人物にはモデルが存在する」とのこと。
小説ではありますが、こうした家族内の苦しみは紛れもなく
「リアル」に基づいているのです(もちろん小説はフィクションですが…)。

私たちは現在、不登校や引きこもりの支援を行っています。
支援に当たって、まずは当事者の方々と、「一緒に苦しむこと」が
支援のスタートです。

そして、その苦しみを共有するなかで、苦しみを何とかして
あげようとするのではなく、「苦しみながらただただ待つこと」
が支援をする側に必要なことではないでしょうか。

ご興味をもたれた方、是非読んでみてください

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