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紺青小鉢

ミニマムな和の空間で、日本の伝統文化を再発見

始皇帝と大兵馬俑展

2015年11月12日 | 美術館・博物館
モネほどの大混雑ではありませんが、まあ混んでますよ、始皇帝と大兵馬俑展。中国モノの展覧会はやっぱ強いんでしょうかね...。つい先日もNHKスペシャルで関連番組が放送されましたけど、その影響も少しはありそうです。中国大陸を初めて統一した秦の始皇帝、その陵墓の近くから発見された数千体もの兵馬俑。いまそのうちの10体が東京国立博物館で展示されています。
西のはずれの一国に過ぎなかった秦が、どのように強大な国家を築き上げたのか。貴重な青銅器や玉(ぎょく)、金銀類の文物から秦の軌跡が窺えます。中国統一への歩みが記されたとされる始皇帝陵。他の国を次々と征服した軍隊の存在、それを表したのが兵馬俑なのだそうで。
最後の展示室に向かうスロープ。この演出は阿修羅か東寺の密教美術展でもあったような気が。来るぞ来るぞ的な高揚感。そこには目の前に兵馬俑の姿が。ちょっと見下ろすかたちの兵馬俑ビュー。下に降りれば360度ぐるり兵馬俑。その造形美を心ゆくまでご堪能あれ。
ちなみに複製品による兵馬俑坑の再現展示ブースでは撮影可。

その後リニューアルされた考古展示室へ。折しもNHKスペシャルで縄文時代の番組が放送されたばかり。その影響かどうだか知りませんが、リニューアル前に比べて見学する人が多い気がします。



土器の素朴さ良し。土製耳飾りがオシャレ。もしや光浦さん!?

プラド美術館展

2015年10月30日 | 美術館・博物館
前知識なしで行っても、それなりに楽しめる展示内容かと...三菱一号館美術館で開催中のプラド美術館展。比較的小さめの絵が多いので、単眼鏡でご覧になるとより一層プラドの美を感じ取れそうです。
気色悪いキャラを描くヒエロニムス・ボス。その絵がいちばん初めのフロアに展示されています。ほとんど日本に来ることがない、というかボス初来日の作品ですので、ここはまあ列に並んでじっくりと鑑賞を。16世紀の宗教画なども描き込みのなんと細かいことか。衣服のシワや装身具、透けたレースの表現など緻密に描かれたその技には感動を覚えます。
プチっとはじけそうなサワーチェリーの静物画。羽根が本物に見紛うほどの雄鶏の絵。ちょっぴりユーモア、ゴヤの展示室。そして19世紀に描かれた《フォルトゥーニ邸の庭》、マドラーソの《セビーリャ大聖堂のサン・ミゲルの中庭》の日差しの表現は必見です。あともうひとつ...フォルトゥーニ作《ポルティチの浜辺のヌード》のおしりの割れ目は超リアル。

春画展

2015年09月30日 | 美術館・博物館
昨年大英博物館で行われた春画の展覧会は、かなりの評判を得たようです。今回それと全く同じ展示ではありませんが、日本初の本格的な「春画展」が目白台の永青文庫で開催されています。ちなみに初めて都電荒川線に乗りましたけど、永青文庫の何と行きにくいことか。他のメトロだと相当歩きます。こんな面倒な場所にあるのに、なんで午前中から混雑しているんでしょうか。
《古めかしい外観の建物に入ると、そこは艶やかな春画の世界。モザイクもなし》
みんなジ~っと見てます。口に出して言いませんが、頭の中で「こんなデカいのはあり得ん」とかいろいろ考えているはず。
野沢堤雨の『秘戯図巻』は桜花と楓が舞い散る表装が素晴らしい。『陽物涅槃図』の馬鹿さ加減が好き。歌川国貞の肉筆画はいつまでも見ていたいレベルの美しさ。また大名が極秘で発注した春画であれば、豪華絢爛総天然色な感じに仕上げられました。そのため世に出回っている浮世絵に比べても、絵師たちの力の入れようも違うというもの。単にeroticとかそういうことではなく、春画には「芸術的な美」が存在していると思い至りました。それにしても障子破ってあそこに突っ込んでいる図をまじまじ見ている自分って...いったい何なんだか。
図録が4,000円也!! 分厚さ辞書並み。それも糸かがり綴じ製本という本格派。

うらメシ屋~!?

2015年08月13日 | 美術館・博物館
行灯の灯りをたよりに展示室をゆく。真夏の午後に見ると薄ら寒くなりそうな予感。東京藝大美術館で開催中の「うらめしや~冥途のみやげ」展。
明治の落語家である三遊亭圓朝が蒐集した幽霊画を中心に、浮世絵など日本美術における〈うらみ〉の数々が展示されているんですが…暗闇に浮かび上がる圓朝コレクションの展示室がまた不気味で。これ夜中にひとりで鑑賞しろって言われたら、ちょっとお断りですかね…なんだか唸るような音も聞こえますし。なんの音!?

大河原邦男展

2015年08月11日 | 美術館・博物館
上野の森美術館で開催中の大河原邦男展。割とゆったり見れましたけど...展示してあるのがアニメの設定資料などA4サイズくらいのものばかりなので、じっくり見るにはそれなりに待って見るようなかんじです。
ゴワッパーゴーダムなんて懐かしい響き(ぜんぜん覚えてませんが)。ガッチャマンとかボルテスVとか。ガンキャノンとザクのイメージスケッチはカッコ良すぎ。ダグラムの堂々たる佇まいは美し。

生命大躍進展

2015年07月24日 | 美術館・博物館
汗ダラダラで不忍池で蓮を見て...そのあとは科学博物館で開催中の生命大躍進展へ。ここには会場限定の海洋堂カプセルフィギュアが!! ぜひネアンデルタール人を狙いたいところですが、それはまあのちほど。
生命の誕生から人類へ。その40億年という進化の過程を紹介するこの展覧会は、カンブリア紀の生物の化石など展示物は化石や復元模型が主体となっています。ちなみに会場内で流れる映像以外は写真撮影可。ちょうど夏休み期間中ということもあって、焼酎学生(小中)が多いこと...化石ひとつひとつ撮ってます。



右図はノルウェーから初来日した奇跡の霊長類化石「イーダ」(飯田ではない)。化石にも美が存在するとは。
ちなみにカプセルフィギュアはアノマロカリスをゲット。グッズは手ぬぐいとか気になるもの多し。夏休み終わって落ち着いたらもう一回行ってもいいかと思います。たったひとつの細胞から始まった人類への進化。CGで再現された祖先の驚くべき姿。それは壮大な物語でありました。

洗練された美しさ

2015年07月09日 | 美術館・博物館
20世紀を代表する陶芸家、ルーシー・リーの回顧展が千葉市美術館で行われています。ウィーンの美術学校で絵画や彫刻を学ぶつもりが、なぜか陶芸に目覚めたルーシー。初期の作品からこれぞルーシー・リー的なデザインの円熟期までおよそ200点を展示。その大半が日本初公開なのだそうで。
ぐい呑みにしたいような小鉢。ロクロ失敗みたいなぐにゃりとしたフォルムの鉢。よ~く見るとちょい傾いている花器。そういうところが人間らしく温かみのあるデザインかと。ハッとするほど発色のいいブルーのうつわは、口縁部に塗られたブロンズ釉が全体を引き締めています。これでカツ丼とか食べたらどんな味するんでしょうかね…。
そのうつわは偶然の賜物か天性か。

画鬼暁斎

2015年07月03日 | 美術館・博物館
明治初期に来日した英国人建築家、ジョサイア・コンドル。彼が設計した赤煉瓦造りの三菱一号館。その明治時代の建物を復元した三菱一号館美術館で、コンドルの日本絵画の師匠である河鍋暁斎の展覧会が行われています。
幕末から明治にかけて活躍した暁斎は、戯画や動物画、仏画などなんでもござれの天才的絵師。美人画の描き込まれた着物の柄には思わず見入ってしまうほど。
暁斎の絵はマジメ!?なものも多数ありますが、やはり自分は妖怪ものだとかぶっ飛んだモノに心惹かれます。カエルや骸骨がモチーフとなる絵が多いので、個人的には好きな絵師の一人。カーテン一枚掛けた春画のコーナーは生々しく、そして莫迦莫迦しくて良いかと...。

紙風船

2015年06月20日 | 美術館・博物館
重苦しい人物像…暗い。JRの車内広告を見て気になった鴨居玲展。
赤煉瓦が印象的な東京ステーションギャラリー。その薄暗い展示室に掛かる鴨居玲の油彩画は、そこらの美術館で見るよりも、一段と重厚な雰囲気が表れているように思えます。金沢出身の鴨居玲はパリやローマ、スペインほかを転々とし、老婆や酔っぱらいなど人間の心にひそむ闇を描きました。孤独、苦悩、焦燥...あらゆるネガティブ感情を表現した鴨居玲。ほんのいくつか淡い色調で描かれた作品には、何か救いのようなものを感じます。

文人画の風情

2015年06月06日 | 美術館・博物館
何年か前に野球部のマネージャーがドラッカーの本をどうたらとか話題になりましたが、そのピーター・ドラッカーが蒐集した日本の水墨画には、めったに見られない作品もあるようで...「ドラッカー・コレクション 珠玉の水墨画」展が開催されている千葉市美術館に行ってきました。
きょうは土曜日なので混んでいるか!?と思いながら、展示室のあるエレベーターに乗り込みましたけど、そんなに人だらけってわけでもなく、割とゆったりとした感じでした。室町時代の水墨画はじっと見ていると静寂に包まれるような気がして、それが周りにも伝わるのがおもしろいところ。もの言わぬ観者。
周耕『懸崖図』、柴庵『柳燕・竹石鶺鴒図』、浦上玉堂『山声松音図』、中林竹洞『夏冬山水図』...その他いろいろグッとくる稀少な水墨画多し。直感で良いと思った水墨画を蒐集していったドラッカーの先見性。未来を先読みするその力が、経営学の権威として大いに役立ったのではないでしょうか。