紺青小鉢

ミニマムな和の空間で、日本の伝統文化を再発見

塩田千春展

2019年06月21日 | 美術館・博物館
黒い鉄枠の舟と赤い糸が展示室内を覆う《不確かな旅》。まるで蜘蛛の巣のように赤い糸が張り巡らされた室内。黒い舟から天井に向かって立ちのぼる無数の糸。六本木の森美術館で「塩田千春展:魂がふるえる」が開催されています。
前回のボルタンスキー然り、ここ最近インスタレーションと呼ぶものに興味津々な自分ですが、塩田千春さんの作品を実はまだ見たことがありません。



会場入口にある《手の中に》。どれだけの糸を使っているのやら。



先ほどの赤い空間とは対照的な《静けさの中で》。黒焦げのグランドピアノと観客席の椅子が黒い糸で覆い尽くされた光景に圧倒されます。



黒い糸の中に白いドレスが吊るされた《時空の反射》。



赤い糸で吊るされたスーツケースがゆるやかな階段のように上昇していく《集積―目的地を求めて》。モーター仕掛けでスーツケースのいくつかはゆらゆら動いてます。最後は天井にまで張り付くスーツケースの群れ。



この展覧会を提案された2年前にガンの再発を告げられたそうで、大規模なインスタレーションの中にもこれからの不安感や死の影が感じられます。闘病を経て生まれてきたこの展覧会で、命とは何か、存在とは何か...ふるえる魂が問いかけているようです。
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クリスチャン・ボルタンスキー展

2019年06月17日 | 美術館・博物館
暗がりからゲェ~という音が聞こえてくる。この先に何があるのか...真上には青く光るDEPARTの文字。国立新美術館で開催中の「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」展に行ってきました。
ボルタンスキーが初期に制作した映像作品《咳をする男》。ゲホゲホと苦しそうに血を吐く男の姿を描いたものですが、これを見て不安感は増大。どこからか心臓の音も響き渡る薄暗い展示室。国立新美術館の広大な展示スペースに、ボルタンスキーの様々な作品が展示されているこの大回顧展。配られた地図を片手にさまよい歩きます。
モノクロームの写真を電球で装飾した《モニュメント》という作品はまるで教会の祭壇のよう。壁をくるくると回り続ける《影(天使)》。青い電球で囲まれたコートが壁に掛かっている作品は(矢印!?)磔刑図にも見えます。どことなく厳かな雰囲気が漂う展示室。幽霊の廊下を抜けると目の前に真っ黒な《ぼた山》が。これ大量の黒い衣服の山です。



天井からは何枚もの人物像が垂れ下がる。木でできた人型のランプがささやく言葉。



《アニミタス(白)》という映像作品は10時間36分。丸められた紙みたいのが一面に。



《ミステリオス》ずっと見ていられる作品。でも12時間はちょっと。

ゆらゆら揺れる電球とエマージェンシーブランケットが煌めきの世界を形作る《黄金の海》が良かったですね...。たくさんの電球が灯された《黄昏》は、毎日少しずつ消えて、会期最終日には全ての電球が消えるとのこと。ちなみに撮影可能エリアは地図に載ってますのでご参照ください。不気味なものから崇高なもの、心を開放的にさせてくれるもの、その場の空間が心地いい気分にさせてくれるボルタンスキー、けっこういいかも。
外に出たら吉岡徳仁のガラスの茶室が展示されていました。ガラスのベンチも実物見るのは初めて。でもこんな暑い日だと茶室の中はどうなってるんでしょうか...もはや温室状態。

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トム・サックス ティーセレモニー

2019年06月11日 | 美術館・博物館
ニューヨーク在住の現代アーティスト、トム・サックスが「茶の湯」を作るとどうなるか...という展覧会が、東京オペラシティのアートギャラリーで開催されています。
NASAのロゴが入ったパイプ椅子に座って、まずはティーセレモニーの映像作品を鑑賞します。お茶会の準備段階から実際にお茶を点てるまでの映像ですが、単なるお茶会ではありません。茶道具や茶の湯の世界観を、工業用素材や日用品などで表現しているのです。一瞬アホアホな動画かと思いきや、よく見るとものすごい凝った映像作品でした。お茶は電動攪拌器でギュイーンと点てられ、客に出されるお菓子がオレオとPETZだなんて...思わずニヤリ。



茶道具色々。茶筅の中に仕組まれた泡立て器は、マキタのバッテリーで稼働。



茶庭へ向かう門。



池を望む。



本物の鯉が泳いでます。



雪隠の作り込みに感動。これ航空機内のラバトリーユニットですし。便器だけ本物。




つくばいに手指消毒剤を置いてるのがアメリカっぽい。



茶室の裏手に貼ってあった進行表。
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