朝井 リョウ氏の作品。
朝井氏は1989年生まれ。岐阜県出身。2009年「桐島、部活やめるってよ」で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2013年本作品で直木賞、14年「世界地図の下書き」で坪田譲治文学賞を受賞。
正直、「桐島・・・」はあまり面白いと思はなかつたので途中で読むのを止めてしまつてゐた。 それから、
次を読まふといふ気持ちがあまりなかつたのだが、本書を図書館で見つけて、「賞」と記してあつて、
みたら直木賞とあつたので、読んでみた。
読後最初の印象・・・ 直木賞ぢゃなくて、 芥川賞ぢやね?
正直、ぞッとする人間の心理が描いてある。 最後の最後にこれでしたか!!といふ、あまりにも
ぞッ
とする展開。
でも人間ッてああいふものなんだらうな・・・・、人の不幸は蜜の味、といふ言葉があるとおり
しあわせな人間を見て面白くないと思ふ人は必ずゐるし、堂々と批判できないから陰で言ふことになるし
(だから、陰口、といふのであらうが)
しかし、SNSといふツウルがある現在、いかにもありがちな内容で人の心理を巧みに描き出した
この作品は
自分で思ひあたることがある人が結構ゐるんぢゃないかな・・・・
登場人物は就職活動中の5人の大学生。
留学経験がある人2名、バンドやつてた人1名、演劇やつてた主人公1名、留学経験がある女生徒の恋人
と、これから就職するにせよなにかやるにせよ、未来が決まつてゐない状態の人達の物語。
就職活動をしていくなか、ある意味「競争」であるので心理的にはお互ひに「一物」ある。
誰が先に内定を得るのか、その得た先はどんな企業なのか、大手なのか否か・・・・等々
そりゃ人間少しでもいいところに行きたいし、人から訊かれた時に堂々と言へるところに行きたい
で、実際さういふところに内定を得る人が出てくる
内定を得るも、大手とは言ひがたいところに決まる人も出てくる
内定を得られない人も出てくる・・・・
こんな、心理戦のやうなお話で、最後の最後にこれですかと言はんばかりの
人間の本質
のやうなものが出てきて・・・・
怖かつた・・・・