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戦犯を救え BC級「横浜裁判」秘録

2015年09月20日 16時08分02秒 | 政治関連・評論・歴史・外交

清永 聡氏の著書。
清永氏は昭和45年福岡県生まれ。1993年広島大学文学部独語科卒業、NHK記者。
NHK報道局社会部記者として気象庁や司法クラブなどを担当。大分放送局デスク、
司法クラブキャップを経て、社会部副部長であられる。

正直、手に取つて著者の略歴に「NHK」とあるのを見た時は、放送お得意の反日の中身
なのかと思つた。
しかし、どのやうなことを書いてゐるのか興味本位で読み始めたところ

歴史捏造の反日の内容ではなかつた。 犬HKにもかういふまともな人がゐるのかと
多少驚いた次第である。

横浜裁判、といふのは正直知らなかつた。東京裁判は有名であり、「A級」とされた方々への
「国際法違反の裁判といふ名の殺人」といふのが実態であるが、

横浜裁判は、BC級に対するもので本書を読む限りその内容は東京裁判とおなぢく
「国際法違反の裁判といふ名の殺人」といふのが実態」である。

また、日本の当時の外務省の冷淡さも書かれてゐる。外務省といふのは、戦時中からあまり
日本のために働いてゐなかつたやうで、今も反日行為に対して明確に国の為にすることを
してゐない。いつからかうなつたのか知らないが、このころから酷かつたのかと思はざるをへない。

横浜「裁判」の実態については、傍聴した米国人記者の感想がその実態を表してゐる。

「この事件全体は宣誓口述書(被害に遭つた米兵の口述書)を基礎にして構成されたものだが、
その口供書のあるものたるや、法廷はおろか警察担当記者の検討にさえ堪えないものだつた。

みんな食い違いが甚だしく、一つは加害者を五尺くらいの小男だといい他の一つは六尺の
大男だと言っている。一つは体重百ポンドくらいだらうといい、他の口供書によると加害者は
百六十五ポンドの大男になっている。左の眼がガラスの義眼だというのもあれば、右だというのも
ある始末だ。(中略)

私達は思わずくすくす笑いだしたが、アメリカの正義観念を持つ文明人として、やがて不安になり
恥ずかしくもなつてきた。(中略)

この実例によって次の戦争の際には人道と公正を遵守しようなどと考える日本人は一人もいまい」
(P55-56)

この感想は、アメリカ人の「自分が正しいと主張するためにはなんでもする」特質をよく表してゐる。

自分の都合の悪い事はひたすら目をつぶり、相手の弱みだけを攻撃するといふ、この自分勝手な
特質が一番表れたのが日本に対する「裁判」と言ふ名の殺人と名誉棄損であらう。

日本人は日米同盟といふ、「いちお同盟国」といふ相手の特質をよく認識したうえで交渉をしたり
付き合ひを続けていくことが重要だ。

こいつらは平気で自己利益のためなら寝返る。

本書は悪い話ばかりでなく、自国のこのやり方を批判し対処した米国人弁護士の態度も書いてあるが、
米国人は基本、仕事の内容について遂行するといふ意識の持ち主なので、日本の為といふ発想
ではなく、自分が命じられた仕事をどれだけ遂行したか自分に返つてくる評価のために行動したと
割り切つて取る事が重要である。

日本の為と誤解して信頼すると、今度おなじ人間が立場が変はつた時に豹変のやうな対応をする
ことにシヨツクをうけて耐えられないことになる。

いずれにせよ、日本人弁護士がどれだけ不公平な状況のなかで 活動しなければならなかつたのか、
と「戦犯」とされた人々を国は全く救はうとしなかつたのかといふことがわかる書である。

東京裁判や横浜裁判の見直しがされると都合が悪く思ふのは米国だけでなく、外務省もおなぢであらう。
だから見直し議論などが起きるとそれを抑へてゐるのかもしれない。

本書を書くための参考文献、も併せて読んで行きたいと思ふ。



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