廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

渡辺香津美とドストエフスキー

2017年07月02日 | Jazz LP (70年代)
先週拾ったアルバムたち。 ギターものが相変わらず多いなあ。



Martin Taylor / Taylor Made  ( 英 Wave Records WAVE LP17 )


どう見ても渡辺香津美とドストエフスキーがセッションしている絵にしか見えないんだけれど、これはマーティン・テイラーのデビューアルバム。

マーティン・テイラーは若くしてスーパー・ギタリストの仲間入りを果たしたテクニシャンでその上手さは折り紙付きだが、すでにデビューの時点で
完成されていたんだということがわかる。 なめらか過ぎる運指、正確でまったく崩れないリズム感、濁りのないきれいな音、どれをとっても
完璧すぎる。過去のジャズ・ギター・マスターたちの流れには乗っておらず、むしろアル・ディ・メオラとかジョン・マクラフリンなんかの系統のほうが
近いと言っていい。当時の英国でピーター・インドやアイク・アイザックらが強力に後押しして驚異をもって迎えられた興奮が伝わって来る。

何となく自主レーベルのような雰囲気を醸し出すジャケットだが、これが驚きの高音質。 音圧高く、楽器の音もヴィヴィッドでクリアー。 
ピアノレスのスタジオ録音でスタンダード集という普通の入れ物に見えるが、中身は新しい時代のギター・ジャズになっていて、そのギャップが
面白い。ピーター・インドのベースもとても良くて、こんなにいいベースを弾く人だとは知らなかった。 




Jimmy Raney / Wistaria  ( 蘭 Criss Cross Jazz Criss 1019 )


トミー・フラナガン、ジョージ・ムラーツをバックにしたギター・トリオで、平均年齢が高いにもかかわらず驚くほどみずみずしい演奏だ。
マーティン・テイラーの後に聴くと、よりそれが実感される。 上手ければそれでいい、ということではないのだ。 

ドラムスがいないにもかかわらず3人のリズムは乱れることはなく、一体感を保ちながら音楽が最後まで進んでいくところがすごい。 
そういう至芸の極みがクリス・クロスの高品質な音で再生される。 このあたりのレコードは今は安レコとして流通しているけれど、いずれは再評価
されてその価値が見直されるような気がしてならない。 買うなら今のうちだろうな。


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