廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

ジャケ買いの1枚

2015年03月29日 | Jazz LP (Europe)

Various Artists / Swingin' The Blues  ( Tempo Tap 21 )


英国ジャズの何たるかが全くわかっていなかった頃に、ただただジャケットに惹かれて買った1枚。 収録された曲の半分はそれまでに発売された
レコードには時間の関係で収録されなかった曲で、残りの半分は既存の7inchやアルバムからピックアップされている、いわゆるオムニバス盤。

ジャンルを問わず、レギュラー盤から外された楽曲というのは当たり前ですがやっぱり出来が悪いというのが一般的です。 ジャズで言えば
"Cool Struttin'"セッションがいい例で、収録された4曲と選から外れた楽曲の出来の落差はあまりに激しく、同じセッションだったとは
到底思えない。 だから再発時に別テイクを加えることに賛否両論が出てくるのは当然だろうと思います。

ただ、マニアとしては未発表曲や別テイクがあるとなれば聴いてみたいと思うわけで、そういう意味ではこのアルバムのような編集のしかたは
合理的かもしれません。 はじめからそういうものだ、と思って聴けば内容の出来不出来を考える必要もないし、気が楽です。

こういう編集盤は時間を置いて作られるのが普通ですが、この盤のように全盛期のラインの中で作られるのは珍しい。 そのおかげでチープな
ジャケットではなくこだわりのデザインで作られたのは、内容は別にして、運が良かったんだなあと思います。



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中古漁りは不調

2015年03月28日 | Jazz CD
今週も中古CD漁りは成果なし。 どうもDU新宿ジャズ館は中古の回転が悪いです。 カウンターのバックヤードには整理されていない在庫が
たくさん放置されているような感じがします。 以前と比べて、ちょっと雰囲気が変わりました。 いつ行っても新着は同じ顔ぶれで、
徒労に終わる日々が続きます。 なので、少し前に買ったものの中から少し。





■ Art Farmer / 処女航海  ( Columbia Music Entertainment COCB-53476 )

アート・ファーマーの全作品の中で私が最も好きな作品。 佐藤允彦、ロン・カーター、ジャック・デ・ジョネットのリズム隊に加えて、
バックをストリングス・オーケストラで固めた傑作。 軽く見られがちな作品ですが、とんでもない、これは最高に素晴らしい逸品です。

とにかく佐藤允彦のオケのスコアが絶品です。 野心的なところは一切なく、わかりやすい音楽に仕上げています。
叙情的で、感傷的で、少し苦味もあって、本人のピアノやフェンダーローズも粒立ちの良い綺麗な音でアクセントをつけます。
ジャケットのイメージ通りの音楽です。

アート・ファーマーのフリューゲルホーンも霞がかった素晴らしい音色で、原曲のメロディーを大事にしたフレーズを丁寧に紡いでおり、
この人の叙情性が最高に発揮された傑作だと思います。 1989年の録音で、最初に発売された当時からずっと愛聴してきましたが、
まったく飽きません。 この紙ジャケ・リマスター盤は音がとても良く、長い間探していました。

アート・ファーマーのことを一番理解していたのはきっと日本人だったんじゃないでしょうか。 外国人アーティストの日本制作ものが
嫌いな私ですが、この人の場合だけは別です。


■ Peter Brotzmann / A Fish Stinks From The Head ( BRO-F )

こちらは新品で購入。 2013年にドラムスのポール・ニルセン・ラヴとのデュオ録音。

怪獣ブロッツマンも近年の録音での演奏はすっかり枯れて、若い頃とは趣の違う音楽になっています。 当然と言えば当然ですが、フリージャズの
新しい扉を開いて生涯その道を歩いてきた人の演奏の変遷を見ていると、いろいろと感じるものがあります。

年に2~3枚のペースでアルバムを出してきた人なので、中には「ちょっとこれは・・・」という録音も当然あって、それは近年の録音になるほど
顕著なのですが、これはそういう空振り感を払拭する素晴らしい出来です。 

ドラムスが元気で手数の多い演奏を繰り広げる上を、ブロッツマンは上手く波乗りするかのように吹いていきます。 この人はこうして
共演者の熱の度合いに感応していくタイプなんだなと思います。 共演者が熱くなればなるほど、自分の中のヴォルテージも上がっていく。
ここでは激しいだけではなく円熟したなめらかさのようなものもあり、気が付くと2回3回とリピートして聴いていることもしばしば。
これは好きな作品になりました。

ジャケットデザインは緑色のものと青色のものの2種類がありますが、どちらも内容は同じです。 配色のバランスとしては緑のほうが
よかったのでこちらを買いましたが、内容が気に入ったので青色のほうも欲しくなってきました。



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ローカルミュージシャンの底力

2015年03月22日 | Jazz LP

Al Beutler Quartet / ..........As One  ( Royalty L-102 )


アラン・ボイトラーはミシガンを拠点に活動したマルチリード奏者で、広いアメリカに星の数ほどいた典型的なローカルミュージシャン。
このアルバムではテナーとバリトンを吹いていますが、アルトやフルートも吹く人です。
ローカルミュージシャンの宿命でレコード制作には恵まれず、これ以外にレコードがあるのかどうかよくわかりません。

メジャーなところではスタン・ケントン楽団にも在籍したこともあり、その時のサックス群の中にはドン・メンザもいました。
スタン・ケントンは自身の音楽には厳しい人だったので、この楽団で演奏できるというのは当然すごいことです。

このレコードを聴けば、一流ビッグ・バンドのメンバーらしく、技術力の高さがすぐにわかる立派な演奏に終始しています。
曲のタイプに合わせて吹き方を器用に使い分けられるようで、2曲のバラードではサブトーンを効かせたベン・ウェブスターのようだったり、
R&Bタイプの曲ではホンカーのように、と表情はクルクルと変わります。 自己主張をするというよりは、その楽曲を如何にうまく聴かせるかに
重点を置いたような内容で、それがきちんとできるテクニックがあるということを証明しています。

ただ同時に、この器用さが却って仇となったんだろうな、ということもわかります。 これではソロ・アーティストとしてやっていくのは
難しいだろうと思います。 この人にしかできないスタイルで、この人にしかできない音楽を奏でなければソロ・アーティストにはなれない。
力もあり、太く大きな音で魅力的に吹いているだけにこれは勿体ないし、残念だなと思います。

ジャケット裏面のライナーノーツをミシガン州立大学の教授が書いていて、ボイトラーやバックのメンバー達の不遇さを嘆いていますが、
それだけ実際の演奏は見事だったんだろうと思います。 その気持ちは何となくわかりますが、それでも取り敢えずこうしてレコードが
1枚でも残っているんだから、まずは良かったんじゃないでしょうか。 



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最近の成果

2015年03月21日 | Jazz CD
今週の平日の昼下がりに立ち寄ったDU新宿ジャズ館3Fで、こんな会話が。

店員A 「あー、ヴォーカルの在庫は悲惨なことになってるなあ」
店員B 「ほんとですね」
店員A 「よし、ヴォーカルの買取価格を少し高くしよう。 ブログもヴォーカルの記事を多めにしてくれる? 
     あと、買取受付の時にも、ヴォーカル買取を強化してます、って言うようにして」
店員B 「わかりました」

確かに女性ヴォーカルの棚がかなりスカスカになっています。 よく売れているみたいです。 インサイダー情報を入手したはいいけど、
うちは女性ヴォーカルのCDは全然無いんだよなあ・・・ ということで、今なら少し高い査定をしてくれるかもしれません、保証はないですが。


今週は成果が何もありませんでしたので、最近買ったものの中から少し。





■ Al Cohn / Overtones  ( Concord CCD-4194 )

アル・コーンはとても好きなサックス奏者ですが、この人は決定打に欠ける、というのがマニアの共通認識ではないでしょうか。
古くはサヴォイに始まり晩年はコンコード、と録音歴は長いのになぜかこれぞ、というのがない。 ドーンの渦巻きジャケットやコーラルの
ブルックマイヤーとやったやつはいい演奏だと思いますが、ちょっと淡泊で喰い足りない感じだし、ズートとのユニットはやはりどうしても
ズートのほうばかりに耳がいってしまいます。

硬い樫の木のような硬質なビッグトーンでとても魅力的な音を聴かせてくれるのですが、音楽のスタイルがバップでもなくスイングでもなく、
と中途半端なところがまずかったのかもしれません。 焦点を絞りにくく、アルバムプロデュースがしにくいことが容易に想像できます。

だからジャズ黄金期の名盤を求めるのはとうの昔に諦めて近年の演奏を見かける度に手に取るのですが、これらも傾向は変わらずがっかりする
ことが多い。 そんな中でもこのアルバムは全体のまとまりが良く、演奏にも勢いと力があって聴き応えがあります。

息子のジョー・コーンが加わったワンホーンで、ピアノもハンク・ジョーンズ、とメンツもいい。 自作の "Woody's Lament" がしみじみと
聴かせる演奏になっていて、とてもいいです。


■ Arthur Doyle / Live in Japan ~ Doing The Breakdown  ( YOKOTO Music YME-1 )

米国フリーのアンダーグラウンドの第一人者と言えば、まずはこの人です。 単身で日本に招かれてライヴを行い、それが録音されて
CDが発売されてしまうんですから、やはり日本のジャズファンというのは世界一なのは間違いない。 こんなの、あり得ないことでしょう。

たった一人でサックスを吹き、歌(らしきもの)を歌い、ピアノでコードを鳴らす。 この「歌」というのが、よく街中や電車の中で
全身真っ黒に汚れて浮浪している方が大きな声で独りごとを節をつけて唸っているのを見かけると思いますが、まさに「あれ」です。
この人は、まずこういう「歌」を長々と歌い始め、それをなぞるようにサックスの独奏をします。 つまり、この人の場合、サックスは
自身の歌の延長線上にあるらしい。 そして、突然、これまで聴いたことのないような美しい和音をピアノで鳴らしたりします。

しかし、これをジャズとして寛容する日本のフリージャズ・フリークは凄いなあ、と思います。 
このヨレヨレの、涎を垂れ流しているような演奏をジャズとしてきちんと聴くんですから。

この人の代表作はデビューアルバムの "Alabama Feeling" とされていて、例によって自主制作盤です。
おそろしいことにこれもCD化されていて、今では廃盤セールの常連になっています。 先日のセールでもこれが出ていて、7,800円という
値段で今も売れ残っています。 欲しくてもこの値段じゃ買えないよ、と思いレコードの相場を調べてみると、なんと5万円前後・・・・
もうレコードのほうは諦めるしかありません。 CDがもう少し安くなってくれたらなあ、と思いながら溜め息をつく日々です。

でも、このライヴ盤、妙に気に入っています。 まあ酷い内容だと思いますが、なぜか手放す気になれません。



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Jackie-ing の魅力

2015年03月15日 | Jazz LP (Riverside)

Thelonious Monk / Five by Monk by Five  ( Riverside RLP 12-305 )


冒頭の "Jackie-ing" の魅力、の一言に尽きるレコード。

モンクの楽曲はソロやトリオでの演奏ももちろんいいですが、こういう2管編成だとより一層輝くような気がします。 サド・ジョーンズの
コルネットは遠い望郷の念を抱かせるような切ない音色で素晴らしい。 あまりモンクの楽想を活かしているとは言えませんが、それでも
ブルーノートなんかの演奏よりは遥かにこちらのほうがいいです。 チャーリー・ラウズはその点では慣れたもので、モンクのメロディーを
うまく再構築して聴く側に提示しています。 モンクに合わせて自分も破天荒に、とはならないところが、この人、わかってるな、と思わせます。

不協和音のことばかり語られますが、私にはこの程度の不協和音は不協和とは思えない。 モンク自身の演奏を聴いて一番強烈に印象に残るのは
何と言ってもそのリズム感です。 どの演奏にも、もの凄い肉感的なリズムが躍動しています。 演奏中に興が乗ってくるとステージの上で踊り出した
というのは有名な話ですが、この人はいつもリズムのことばかりを考えていたような気がする。

"Jackie-ing" のまるで不思議の国のパレードのファンファーレのようなテーマを聴くたびに、身体の中の普段は絶対に手の届かない部分に
直に触れられるような感覚を覚えます。 モンクの音楽の凄いところはこういうところで、非常にフィジカルに働きかけてくる。 
頭で理解しようとか心で感じようとかではなく、太く大きな手で直接べったりと触ってくる感覚があります。

最後は "Ask Me Now" で閉じますが、この抒情的な曲をこれ以上うまく演奏したものは後にも先にも他にはなく、穏やかな寂寥感に癒されるように
アルバムが終わります。 

また、このレコードはざらっとして深みのある残響が素晴らしく、音響的にも満足感の高いレコードです。 番号的には青小レーベルが初版と
いうことのようですが、このあたりになるとちょうど切り替えの過渡期なので青大レーベルのほうが多く見かけるし、どちらも音の質感は同じです。 
だから、状態さえ良ければそういうところは気にせずに、愉しみながら聴かれるといいと思います。




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今週の成果

2015年03月14日 | Jazz CD
今週も細々とつまみました。





■ Joe Cohn, Noel Jewkes, John Wiitala / S'Posi' ~ The Emeryville Sessions Vol.2  ( Vega Music 00004 )

試聴可能になっていたので何気なく聴いてみたらこれがすごくいい演奏で、即買いしました。 
ギター、テナー、ベースのトリオによる私設スタジオセッション。

ジョー・コーンはアル・コーンの息子さんで、技術力の高さとセンスのいいフレージングなどで評判のいいギタリストです。 
ネームヴァリューのおかげでこの人がリーダー扱いのようですが、実際に聴くとテナーの演奏の良さが目立ちます。
いわゆるズート系ですが、ズートのように低音域をメインにするのではなく中高音域にフレーズを集中しています。

明るく穏やかなスタンダードばかりをとてもゆったりと演奏していくのですが、すごく懐の深いタメの効いた演奏です。
ドラムがいないのでどこまでも穏やかな表情が続き、部屋の中で鳴らすととても気持ちのいい空間に早変わりします。
この手の音楽はダルいことが多いので基本的にあまり興味がないのですが、これは別格の極上の音楽だと思います。

ただ雰囲気がいいだけなのではなく、3人の演奏がとてもしっかりしているおかげでダレるところは一切なく、
耳の肥えた人でも間違いなく満足できる素晴らしい演奏です。 
録音も最新スタジオのキンキンした音ではなく、昔のアナログ録音を思わせる温かみがあり、私には好ましい。

気候がいい時期の夜、窓を開けて夜風にあたりながら聴くのにこれ以上の音楽はないでしょう。


■ Last Exit / Koln  ( ITM Records 1446 )

先日のフリージャズセールで東京でのライヴ盤を買ってあるので、これでラスト・イグジットは4枚が手元に来ました。
カタログの全容がさっぱりわからないので他にもあるのかどうかよくわかりません。 こちらは1986年ケルンでのライブ録音です。
ブロッツマンがデザインしたジャケットも相変わらずカッコいい。

ファーストアルバムの衝撃がまだ色濃く残る内容で、出だしからいきなりデスメタルのような演奏。 ビル・ラズウェルとシャノン・ジャクソンの
機関銃を連射するような重低音の連打速弾きの中をシャーロックのガラスを次々に割っていくようなノイズ系ギターが鳴り、ブロッツマンの
咆哮が被さっていきます。 

表面だけ聴くとこんなの音楽じゃないと敬遠されるんでしょうが、実際に丁寧に聴いていくと、彼らは無軌道なノイズのような音を重ねることで
新しいハーモニーを作ろうとしていることがよくわかります。 常設グループとして活動したのもきっとそれが目的だったのではないでしょうか。
単に価値観を同じくする者同士が集まった、ということだけではないような気がします。 何か意図がある音楽を演奏しているのは明らかです。



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ケニー・バレルの真骨頂

2015年03月08日 | Jazz LP (Verve)

Kenny Burrell / Night Song  ( 独 Verve V6-8751 )


1968年ニューヨークのスタジオでドン・セベスキーの編曲・指揮でオーケストラが伴奏する曲が4曲、バレルのソロ演奏が1曲、ロン・カーター、
リチャード・ワイアンズとのカルテットが4曲。 オケには、J.J.、アービー・グリーン、ジェローム・リチャードソンなど大物が参加する
豪華な内容ですが、セベスキーは元々トロンボーン奏者なのでこのオケもトロンボーンの布陣がやけに分厚いのがおもしろい。

セベスキーやクリード・テイラーらが推し進めたこういう路線がジャズをダメにした元凶だとする向きもあるんでしょうが、当時としては
新鮮なサウンドとして歓迎されたんだろうと思います。 フリーの台頭やメインストリーム側の混乱でジャズという音楽自体が進むべき方向を
見失っていた時代に産み落とされた鬼っ子だったわけで、この壮大なサウンドの中に小さく芽吹いていたポップスの感覚をやがてはフュージョンが
拾い上げていくのですから、音楽というのはすべてが繋がっているなあと思います。

そんな中でケニー・バレルは全編気持ちよく弾きまくっています。 ギター小僧が聴いたら悶絶するようなフレーズの連発。
ああ、こんな風に弾けたらどんなにいいだろう、と溜め息をつきながら聴くことになるでしょう。

バレルのすらっと細くきれいな指から産み出されるギブソンのフルアコの音色が美しい。 ジャズのアルバムでは珍しいことです。
カルテットで演奏される "いそしぎ" や "Night Hawk" には聴き惚れてしまいます。

米国盤のジャケットは濃灰の単色なのでデザインがよくわからないものですが、こちらは独グラモフォン社がMGMからライセンスを受けて
発売した盤です。 ジャケットの色調が明るくラミネートコーティングされていて質感が高いし、DGGプレスなので音質も良好です。




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今週の成果

2015年03月07日 | Jazz CD
DUの新宿ジャズ館の新着棚を総入れ替えした、というので行ってみました。 どれどれ、と見ていきますが、うーん、ない・・・・
仕方ないのでレギュラー棚をピンポイントで漁って何とか1枚つまみ、1Fで新品を1枚買いました。





■ Diana Krall / Wallflower  ( Verve/Universal 0602547018618 )

現役シンガーで、私が唯一、新作が出れば必ず買うのがこの人です。 

ロック、ポップスの名曲をデヴィッド・フォスターのアレンジで歌う、という何とも安易な企画にも関わらす、これが至高の傑作になっています。
ジャズとかポップスとかいう話などはとっくに高い次元で超越しており、凄みを感じます。

ジャズアルバムを作らなきゃ、という枠を取っ払うことでこんなにも自由に音楽を展開できる才能と実力があることが羨ましいです。
今週は毎日聴いていました。 きっと、これからもずっと愛聴し続けることになるでしょう。 
もう十分エスタブリッシュメントなんですから、好きなだけこういう自分のやりたいことをやって欲しいと思います。

それにしても、カッコいいジャケットです。


■ Pat Martino / Footprints  ( Muse BRJ-4529 )

私自身ギターを弾くので、この人の凄さはよくわかっているのですが、技術的な凄さだけではなくこの人独自の暗さ、憂鬱さ、そして
艶めかしさが結晶のように凝縮されていて、音楽的な深い満足感をもらえる素晴らしいアルバムです。

ピアノレスのツインギター構成ですが、もう1人はドライヴ感のあるバッキングに徹しているのでパットのギターを邪魔することはありません。
オクターブ奏法でもの悲しくメロディーを歌わせて、切ない哀感を上手く表現しています。 傑作中の傑作。

ギターという楽器の本当の魅力を教えてくれる人です。 うまく弾く人は無数にいても、こういう感銘を与えてくれる人はあまりいません。



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実は名盤

2015年03月01日 | Jazz LP (Blue Note)

Curtis Fuller / Bone & Bari  ( Blue Note 1572 )


このレコード、実は名盤です。 地味なのであまりクローズアップされませんが、こんなに親しみ易くまとめられたハードバップは珍しい。
ブルーノートの音楽にはいくつかの側面がありますが、これはクール・ストラッティンに代表される「わかりやすい」部門の一角を占める
レコードです。

一応、カーティス・フラーのリーダー作となっていますが、バリトンのテイト・ヒューストンのクセのない透き通った音色の素晴らしさが
この2管の絡みを絶妙なものにしているし、フラーの音階の正確さやタンギングの完璧さ、フレーズのスピード感や音の張りの強さは
他のレーベルのレコードでは聴けない凄みがあります。

でも、一番の功労は何と言ってもソニー・クラーク。 とにかく全編をこの人のピアノの蒼くくすんだトーンが支配していて、これがこのアルバムを
特別なものしています。 ソニー・クラークのリーダー作としてもよかったのでは、と思うくらいです。 "Heart And Soul" でのイントロは
シングルトーンの跳ね方やメロディーの崩し方がこれ以上はないくらい上手く、主題メロディーへ最高の橋渡しをしています。 ジャズピアニスト
としてこれほど真っ当に仕事を果たしているものはなかなか他では見られない。 こういう細部へのこだわりの無数の積み上げがこのレーベルの
演奏を他のレーベルから大きく引き離しているのであって、何もRVGの録音だけの問題ではないはずです。

全体のまとまりの良さと各個人の演奏力の素晴らしさの両立が凄くて、かなりのリハーサルを経ての録音だったんだろうと思います。
録音の全容を聴いてみたいなあと思わせられます。



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