今週も枚数は少ないですが、少しつまみました。
■ Charlie Haden / Liberation Music Orchestra ( Impulse! AS-9183 )
恥ずかしながら、これまで避けてきた1枚です。 名盤100選などでは大抵入っている盤ですが、初心者の頃はハードルの高い内容に思えた。
で、そのまま何となく手に取らないまま時間が過ぎてしまいました。 そういう盤は他にもたくさんあります。
スペイン内線を主題にしたコンセプトアルバムで、一般的な意味でのジャズアルバムではありませんが、それをわかった上で聴いても
どうもピンとはきませんでした。 発表当時は時節柄新鮮だったのかもしれませんが、現代の耳で聴くとインパクトはありません。
一夜漬けでカタルーニャ民謡を装ったという感じで、スペインのあの独特の強烈なムードは感じられない。
こんなのを聴くくらいなら、パブロ・カザルスの "鳥の歌" を聴いている方がいい。
チャーリー・ヘイデンという人はどうも苦手です。 これに限らず他の作品でもそうですが、コンセプトややりたいことはよくわかる、でも
この人にはそれを十分に表現しきるだけの才能に欠けていたんじゃないでしょうか。 どれをとっても今一つしっくりこないというか・・・・
ベース奏者として見た場合も、ベースをリズム楽器として演奏していないところもいただけない。 ゆるく張ったガット弦でリズム感なく
ボヨンボヨンと鳴らし続けるあの演奏スタイルは一体どういう趣旨なんだろう、と首を傾げてしまいます。
このアルバムも、本人自身も、ちょっと過大評価され過ぎているのでは、というのが率直な感想です。
■ Pat Martino / Nexus ( High Note HCD 7274 )
1994年、ピアニストのジム・リドルとのデュオで望んだフィラデルフィアのクラブでの未発表ライヴで、2度目の復帰を果たした直後の
真の姿を捉えた重要な音源です。
この人の最高の時期はMUSE時代であることは衆目の一致するところで、大病からの復帰以降はどれも精彩を欠いているという人が多いですが、
これを聴けばその認識は覆るでしょう。 正規録音ではないので音質は十分ではありませんが、そんなことは聴き始めてすぐに気にならなく
なります。 音楽には時々そういう凄まじい演奏があるものです。 もう、すべてに圧倒されます。
ライヴなので何の遠慮もなく弾き倒しています。 それまでの鬱憤をはらすかのようです。 滾々と湧き出る泉の水のようにフレーズは
留まることを知らず、我を忘れてそれを記録していくかのようにパットは弾き続けます。 これは素晴らしい。
元々は別の新品CDを買いにDUに行ったのですが、お目当てのCDの横に置いてあったこれを試聴したら、これがもうヘッドフォンを離せなくなり、
当然のように予定を変更してこちらを買うことになってしまいました。