Joe Henderson / At The Lighthouse, "If You're Not Part Of The Solution, You're Part Of The Problem" ( 米 Milestone MSP 9028 )
ウディ・ショウ、ジョージ・ケイブルスのエレピ、という如何にも70年代的な熱の籠った演奏で、特にベースとドラムのべっとりとしたビートに
エレピがまとわりつき、その上を管楽器が刹那的に流れてハードボイルドな雰囲気を醸し出す。 B1の "If You're Not Part Of he Solution,・・・" の
カッコよさは格別だ。 夜のサンフランシスコの街をハリー・キャラハン刑事が車で犯人を追い駆ける光景が目に浮かぶ。 懐かしき70年代。
ウディ・ショウのラッパの音が大きく目立つ中、ヘンダーソンは硬質な音で速いパッセージをたくさん交えながら朗々と吹いていく。 対照的な
サウンドの2つの管楽器のバランスがいい。 ヘンダーソンは難しく重たいフレーズを吹く割にはリズム感が良く、全体のスピードに乗り遅れたり
することがなく、非常に上手く音楽に溶け込んでいるところが凄いと思う。 サックスの演奏の収まりがよくて、難解さをまったく感じない。
そこがいいんだろうと思う。
ライヴ演奏なので個々の演奏の弾け方を愉しむのが本来だろうけど、このアルバムはそれ以上に音楽的な纏まりが良く、何より全体がカッコいい。
だがら、各部品をバラバラに聴くのではなく、一歩引いて全体を丸ごと愉しむのが一番いい。 リズム隊が熱を帯びながらも破たんせずに冷静に
リズムをキープし続けているので、それが音楽全体を纏まりいいものにしているのだと思う。 そういう意味で、このアルバムが成功しているのは
このリズム隊に拠るところが大きい。 アート・ファーマーがコロンビアに残したライヴ盤と雰囲気がよく似ている。
それにしても、東京の街を毎週1~2時間ぶらつくだけで、ジョー・ヘンダーソンのめぼしいアルバムが安価で立て続けに手に入れることが
できるのだから、この街は改めて凄いと思う。 狭い立地も幸いして短時間で効率よく、狙った獲物を確実に仕留められる。
レコード漁りには最高の街だ。
質、量共に一極集中と言うワケで。
羨ましいけど、アブナイ街かも。
こちらは足が棒になるケースばかりなので、もう年に3、4回程度になりました。
でも、探すのは安レコなので、見つかっても大丈夫です。
これなんて、ジャケット不良とは言え、千円でした。