

Ira Sullivan and The Chicago Jazz Quintet / Bird Lives ! ( 米 Vee Jay Records VJLP 3033 )
1962年シカゴの "Bird House" で開かれたパーカーのメモリアル・コンサートにアイラ・サリヴァンが出た時の記録が残っている。シカゴ・ジャズ・クインテットとの共演となって
いるが、これがレギュラー・バンドだったのかどうかはよくわからない。地元のローカル・ミュージシャンたちで構成されたバンドだが、テナーのニッキー・ヒルはその後も
サリヴァンと活動を共にしている。
名前だけで判断しがちな我々をあざ笑うかのように、無名のミュージシャンたちが驚異的なレベルの高さで演奏を繰り広げる。スピード感といい、切れの良さといい、
フレーズの滑らかさといい、楽器の音の張りの良さといい、どれも耳を奪われる。パーカーのメモリアルということで彼が演奏した楽曲が軸になってはいるけど、演奏が
上手すぎてビ・バップ感はどこにもない。「パーカーは生きている」というのはパーカーがやった音楽を再現するということではなく、その精神を受け継いだ者たちが演奏する
ということなのだと言わんばかりの内容だ。
アイラ・サリヴァンはトランペットでの演奏だが、格段に上手くなっている。ABC盤では聴けなかった抑揚が十分に効いていて、フレーズの巧みさが増して成熟感が溢れる。
随分腕を磨いたなあという印象で、素朴な管楽器奏者だった姿はここにはもうない。寡黙だが熱い演奏をする強者たちの群れを率いる獅子王という感じだ。
このレコードが教えてくれるのは、名前だけがすべてではないということだ。レコードというのはパッケージ・ビジネスではあるが、演奏者の名前やレーベル名だけに価値が
あるわけではない、という当たり前のことを思い出させてくれる。


Ira Sullivan and The Chicago Jazz Quintet / Bird Lives ! ( 米 Vee Jay Records VJLP SR 3033 )
音圧高く音楽が迫ってくるモノラルプレスの良さに音の分離の良さと楽器の音色の艶の良さが加わるのがステレオプレス。どちらも甲乙付け難い。
この時の演奏は選から漏れた楽曲がまだあり、CDではそれらを加えた2枚組でリリースされているようだ。これは聴かねばならない。